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三角関係かもしれない
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僕の名前は工藤ユウキ。花も綻ぶ15歳である。
今日から高校1年生!
鏡の中を覗けば、ぴょこっとクセ毛が立った。
年齢より幼く見える丸顔も、小さくて低い鼻も、丸っこいくりっとした瞳も、あまり好きじゃない。
だって、あの人の隣に似合わないから…。
牛乳だってたくさん飲んだのに、身長だってあまり伸びなくて、華奢なままな僕は、学生服を着ていても、まるで小学校から進学したばかりの中学生みたいだ。
さらっとした黒髪に櫛を入れて、くせ毛を直すと、キッチンから父さんの声が聞こえてくる。
「ユウキ、もう神蔵君が来る時間だろ?弁当も出来てるから早く朝食食べちゃいな?お握りにしといたから!」
「ありがとー!」
僕の家は父と僕だけだ。
父さんと母さんは学生時代の友人だったらしいんだけど、大人になって再会して、結婚して僕が生まれたんだって。
でも、母さんは病気でお星さまになっちゃったんだけどね…。
僕を大人にしたような容姿の父さんは、もう35歳なのに、学生でも通用するくらい若々しい。
昔はちょっととがってて、就職に苦慮したらしく、ある時、自分がカワイイことに気付き、そのキャラで生きることにしたら就職が決まって、今ではSEだ。
僕もオトナっぽくなるのは諦めるべきなのかもしれない。
お握りを放り込み、冷めたみそ汁を流し込んでいる間に、父さんはスーツに着替えている。
知ってるよ、そのスーツ、彼氏に選んでもらったやつでしょ。
ピーンポーン。
「ユウキー!おはよーっ、迎えに来てやったぜ!」
「こらっ!言葉が汚い!」
「「あ。」」
近所に住む結城神蔵とその父親。
神蔵はお互いオムツを履いていた時からの仲。
ちょっとオラついてて苦手なんだよな、悪い奴じゃないんだけど。
何故か昔から世話を焼かれてしまってる僕である。
そして、僕の父は神蔵の父親と絶賛交際中、らしい。
いやー、しょうがないね。
遺伝だね。
性的嗜好に遺伝はないと思うけど、そういうことにしておこう。
そうすれば、孫の顔を見せられない罪悪感も薄れそう。
愛は平等だしね。
だって好きなんだから仕方ない。
僕の父が神蔵の父親と付き合っているように、僕の好きな人も男性だ。
「スーツ似合っているよ、洸。」
「お、おぅ……。」
「あー、お熱い!いこうぜ、ユウキ。あいつらもこれから同伴出勤だし。ゆでだこになる前に。」
「あ、うん。」
神蔵の刈り上げた後頭部を見ながら、マンションのエレベーターのボタンを押す。
神蔵はすぐ階段から行きたがるけど、さすがに12階から駆け下りたくないな。
シャッツと扉が開き、あの人が中から現れた。
「あ。おはよう、ゆうきくん、神蔵くん。」
ゆったりとしたシャツとズボンにサンダル。
そんな格好でも輝いて見える。
長めのミルクティ色に染めた髪はふわりと肩で遊び、前髪を掻き分ける仕草も素敵。
隣の部屋の大学生のお兄さん。
斎藤久遠さん。
ああ、すきっ。
いい匂い。
ゴミを出してきたのかなっ。
オトナっぽい。
高校生の頃から優しくて、いつも勉強教えてくれて、素敵なお兄さん。
「神蔵君はいつも元気だね。」
「そんなことねーよ!」
でも、久遠さんは僕より神蔵のことを目で追っていることが多いんだ。
もしかして、三角関係ってやつかもしれない。
今日から高校1年生!
鏡の中を覗けば、ぴょこっとクセ毛が立った。
年齢より幼く見える丸顔も、小さくて低い鼻も、丸っこいくりっとした瞳も、あまり好きじゃない。
だって、あの人の隣に似合わないから…。
牛乳だってたくさん飲んだのに、身長だってあまり伸びなくて、華奢なままな僕は、学生服を着ていても、まるで小学校から進学したばかりの中学生みたいだ。
さらっとした黒髪に櫛を入れて、くせ毛を直すと、キッチンから父さんの声が聞こえてくる。
「ユウキ、もう神蔵君が来る時間だろ?弁当も出来てるから早く朝食食べちゃいな?お握りにしといたから!」
「ありがとー!」
僕の家は父と僕だけだ。
父さんと母さんは学生時代の友人だったらしいんだけど、大人になって再会して、結婚して僕が生まれたんだって。
でも、母さんは病気でお星さまになっちゃったんだけどね…。
僕を大人にしたような容姿の父さんは、もう35歳なのに、学生でも通用するくらい若々しい。
昔はちょっととがってて、就職に苦慮したらしく、ある時、自分がカワイイことに気付き、そのキャラで生きることにしたら就職が決まって、今ではSEだ。
僕もオトナっぽくなるのは諦めるべきなのかもしれない。
お握りを放り込み、冷めたみそ汁を流し込んでいる間に、父さんはスーツに着替えている。
知ってるよ、そのスーツ、彼氏に選んでもらったやつでしょ。
ピーンポーン。
「ユウキー!おはよーっ、迎えに来てやったぜ!」
「こらっ!言葉が汚い!」
「「あ。」」
近所に住む結城神蔵とその父親。
神蔵はお互いオムツを履いていた時からの仲。
ちょっとオラついてて苦手なんだよな、悪い奴じゃないんだけど。
何故か昔から世話を焼かれてしまってる僕である。
そして、僕の父は神蔵の父親と絶賛交際中、らしい。
いやー、しょうがないね。
遺伝だね。
性的嗜好に遺伝はないと思うけど、そういうことにしておこう。
そうすれば、孫の顔を見せられない罪悪感も薄れそう。
愛は平等だしね。
だって好きなんだから仕方ない。
僕の父が神蔵の父親と付き合っているように、僕の好きな人も男性だ。
「スーツ似合っているよ、洸。」
「お、おぅ……。」
「あー、お熱い!いこうぜ、ユウキ。あいつらもこれから同伴出勤だし。ゆでだこになる前に。」
「あ、うん。」
神蔵の刈り上げた後頭部を見ながら、マンションのエレベーターのボタンを押す。
神蔵はすぐ階段から行きたがるけど、さすがに12階から駆け下りたくないな。
シャッツと扉が開き、あの人が中から現れた。
「あ。おはよう、ゆうきくん、神蔵くん。」
ゆったりとしたシャツとズボンにサンダル。
そんな格好でも輝いて見える。
長めのミルクティ色に染めた髪はふわりと肩で遊び、前髪を掻き分ける仕草も素敵。
隣の部屋の大学生のお兄さん。
斎藤久遠さん。
ああ、すきっ。
いい匂い。
ゴミを出してきたのかなっ。
オトナっぽい。
高校生の頃から優しくて、いつも勉強教えてくれて、素敵なお兄さん。
「神蔵君はいつも元気だね。」
「そんなことねーよ!」
でも、久遠さんは僕より神蔵のことを目で追っていることが多いんだ。
もしかして、三角関係ってやつかもしれない。
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