僕らのトライアングル

パパとパパが再婚？しました

「きゃあ！結城君かっこいい！」

体育の時間、神蔵は目立つ。

いや、いつでも目立つけど。


靭やかな筋肉、長い手足。
恵まれた上背。

神蔵はいつでもヒーローだ。

女子が色めき立つ。


「あ、わう、わ！」


バレーボールなんかきらいだ。

学校の授業にはリベロなんかない。

だから、いつも僕は狙われる。


「させるかよ！」

神蔵は反転して僕の前でボールを跳ね返した。

「お前は俺が守ってやるから。」


ぷくぅ。


女子の黄色い歓声があがる。

僕だって、守られるだけは嫌なのにっ。

助かったけど……。


こういうところ、嫌いなんだ。



だけど、きっとこの快活さが気に入ったのかな。
久遠さんは。

神蔵みたいなタイプは、目上の人にもウケがいいよね。


ギュッと胸が痛くなる。




それなのに。



「帰ろうぜ。」


僕らは一緒に帰宅する。



先週末、神蔵の家族は引っ越してきた。
僕の家に。


僕らの父親が事実婚をしたから。




隣に久遠さんがいる、あの家に。



「おかえり、ふたりとも。今日はカレーだよ。」

父さんの隣には、神蔵の父親の旭さんが座る。


「こんばんは。お邪魔しています。夕飯お呼ばれしちゃった。」

あわわ、久遠さんっ！


「でたな！」

「神蔵はほんと、かわいいなあ。」


むむっ。

ギュッと久遠さんの袖を掴む。


「ふふ、ユウキもかわいいよ。2人ともかわいい。」

「頭なでんな！」


僕のことは撫でて。


何故か神蔵が僕を背中から抱きしめた。