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手を離したくない
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「エン!」
ギアはギアなりに心配だったのだろう。
入って来たエン王子を見て、駆け寄った。
入ってきたエンは普段感情を表すことが苦手のギアが自分を想う様子に涙を滲ませながら陛下の前で礼をし、
そばの人が膝をつく。
「たいへんだったな。私たちはおまえではないと分かっている。お前の手助けをしよう。」
陛下はエンに応えるように、結論をまず伝えた。
「ですが………。」
「王らしく言えば、隣国の混乱は我々にも害がある。そなたの父親が止めていた増税や貴族だけを重んじる政策。国民は難民になるかもしれん。」
エンの顔が暗い。
「だが、そなたの父親の親友として、そなたを守りたいのだ。」
「ありがとうございます。」
「して、彼は。女性の姿をとっているが、パーティーのときついていた影の青年かな?もう影も何もないだろう。名を。」
「私はシャーマン=カーンと申します。」
プラチナブロンドの綺麗な人は、凛とした声で挨拶をした。
「本来はこうして告げる名もないのですが。私たちの一族はエン王子につき、我々を逃がすため城で足止めを致しました。おそらく無事ではおりますまい。けれども、我々はエン王子にこそ王位についていただきたいと考えております。国を取り戻したとして、中枢は既に宰相に牛耳られており、組織は総入れ替え。エン王子にはいばらの道が続きまする。何卒、エン王子をよろしくお願い申し上げます。」
「………後ろ盾が必要、か…。我々に姫がいればな。マチルダ、どこかに良いご令嬢はおらぬかな。」
―――――え?
その言葉、話の流れは至極当然のものだった。
なのに、慌てたのは、他ならないエン王子だった。
「お待ち下さい!陛下!………私は、隣の……シャーマンと結ばれたく…。シャーマンにはまだ伝えておりませんが…。」
「ああ。エン王子はギアの研究のことを知っているのでしたな。確かに、性別は問わないでもよいかもしれませんが…。」
シャーマンはスッとした冷静な顔で続けた。
「恐れ多くもエン殿下。私はあなたの影でございます。影の一族の次期当主でもあります。確かに表向き爵位もございますが、私は貴方の妃にはなれません。」
「何故だ、別に急に思い立ったわけではない。幼い頃見た君に恋をした。初恋だった。だが、君は消えた。君の面影を追って、どこかが似た誰かに恋をした。だけど、本当に好きだったのは君だ!影は姿を見せた時点で光になる。俺が国を取り戻すなら、影の一族は宰相の一族に変わって……。」
「あなたは馬鹿ですか。どこかの一族に権力集中させたらいけません。今はよくても、後の世、人は変わるものです。それに、私は次期当主として『継ぐ者』ですから、処女性は気にせずまいりました。貴方のために他の男に抱かれたこともあります。嫁げるはずも嫁ぐつもりもございません。」
「えっ……あぁ。あ~~~~~~~~。それでも、二度と手を離したくないんだ……。シャーマン…。」
頭を抱えながら、エンはシャーマンの手をとった。
「………困ります。」
無表情を貫く彼の、瞳が揺れている気がする。
「うーむ、どうしたものかなぁ。」
陛下も相当困っているようだ。
ギアはギアなりに心配だったのだろう。
入って来たエン王子を見て、駆け寄った。
入ってきたエンは普段感情を表すことが苦手のギアが自分を想う様子に涙を滲ませながら陛下の前で礼をし、
そばの人が膝をつく。
「たいへんだったな。私たちはおまえではないと分かっている。お前の手助けをしよう。」
陛下はエンに応えるように、結論をまず伝えた。
「ですが………。」
「王らしく言えば、隣国の混乱は我々にも害がある。そなたの父親が止めていた増税や貴族だけを重んじる政策。国民は難民になるかもしれん。」
エンの顔が暗い。
「だが、そなたの父親の親友として、そなたを守りたいのだ。」
「ありがとうございます。」
「して、彼は。女性の姿をとっているが、パーティーのときついていた影の青年かな?もう影も何もないだろう。名を。」
「私はシャーマン=カーンと申します。」
プラチナブロンドの綺麗な人は、凛とした声で挨拶をした。
「本来はこうして告げる名もないのですが。私たちの一族はエン王子につき、我々を逃がすため城で足止めを致しました。おそらく無事ではおりますまい。けれども、我々はエン王子にこそ王位についていただきたいと考えております。国を取り戻したとして、中枢は既に宰相に牛耳られており、組織は総入れ替え。エン王子にはいばらの道が続きまする。何卒、エン王子をよろしくお願い申し上げます。」
「………後ろ盾が必要、か…。我々に姫がいればな。マチルダ、どこかに良いご令嬢はおらぬかな。」
―――――え?
その言葉、話の流れは至極当然のものだった。
なのに、慌てたのは、他ならないエン王子だった。
「お待ち下さい!陛下!………私は、隣の……シャーマンと結ばれたく…。シャーマンにはまだ伝えておりませんが…。」
「ああ。エン王子はギアの研究のことを知っているのでしたな。確かに、性別は問わないでもよいかもしれませんが…。」
シャーマンはスッとした冷静な顔で続けた。
「恐れ多くもエン殿下。私はあなたの影でございます。影の一族の次期当主でもあります。確かに表向き爵位もございますが、私は貴方の妃にはなれません。」
「何故だ、別に急に思い立ったわけではない。幼い頃見た君に恋をした。初恋だった。だが、君は消えた。君の面影を追って、どこかが似た誰かに恋をした。だけど、本当に好きだったのは君だ!影は姿を見せた時点で光になる。俺が国を取り戻すなら、影の一族は宰相の一族に変わって……。」
「あなたは馬鹿ですか。どこかの一族に権力集中させたらいけません。今はよくても、後の世、人は変わるものです。それに、私は次期当主として『継ぐ者』ですから、処女性は気にせずまいりました。貴方のために他の男に抱かれたこともあります。嫁げるはずも嫁ぐつもりもございません。」
「えっ……あぁ。あ~~~~~~~~。それでも、二度と手を離したくないんだ……。シャーマン…。」
頭を抱えながら、エンはシャーマンの手をとった。
「………困ります。」
無表情を貫く彼の、瞳が揺れている気がする。
「うーむ、どうしたものかなぁ。」
陛下も相当困っているようだ。
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