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アーサーを見ているのが辛い
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「アーサー。俺、暫く公爵の屋敷に行くよ。」
「えっ。」
「俺が城にいたら、俺の相手をしなきゃって真面目なアーサーは思っちゃうだろうし、今はアーサーも引継ぎ中で忙しいし、俺、アーサーの枷になりたくないんだよ。」
「え、いや。べつに」
「というわけだから!」
俺は言い捨てるように城から逃げた。
「新婚早々けんか?」
公爵様はラグでドージンシを読みふけりながら首を傾げる。
陛下から『いい加減自分のことは気にしないで、その気になったら結婚していいんだからね。』と言われたらしい。
まあそうだよなぁ。
お母様の薬がない時代、やむを得なかったとはいえ、男としての生殖機能も女としての生殖機能も自ら捨てて、独り身を続けていたんだから。
陛下からしたら、自分のせいで兄の幸せが壊れたって思う部分もあるよなぁ………。
と、何にもいえない気持ちになる。
この人は行動力の塊だから、止められなかったのだろう。
「いたければ落ち着くまでいていい、ですよね?」
ジョシュアさんが紅茶をサーブしながらほほ笑む。
「うん。」
見つめあって。
ああ、いいなぁ。
運命の相手じゃなかったかもしれないけど、二人はちゃんと想いあっているじゃないか。
公爵様も気付いたらいいのに……。
俺たちはどうなんだろう?
別の世界線でああいう出会いをして、盛り上がってしまっただけで、俺たちの間に情はあるけどそれが友情なのか愛情なのか、考えれば考えるほどよくわからなくなってしまった。
胸が苦しくて、アーサーを見ていたら辛くなるのは、恋をしているからなのか。
それとも、大好きな友達をとられたようで辛いのか。
俺がアーサーを王にしてやりたかったのも、愛なのか。親心のようなものだったのか。
なんだかもう、よくわからないんだよ。
「えっ。」
「俺が城にいたら、俺の相手をしなきゃって真面目なアーサーは思っちゃうだろうし、今はアーサーも引継ぎ中で忙しいし、俺、アーサーの枷になりたくないんだよ。」
「え、いや。べつに」
「というわけだから!」
俺は言い捨てるように城から逃げた。
「新婚早々けんか?」
公爵様はラグでドージンシを読みふけりながら首を傾げる。
陛下から『いい加減自分のことは気にしないで、その気になったら結婚していいんだからね。』と言われたらしい。
まあそうだよなぁ。
お母様の薬がない時代、やむを得なかったとはいえ、男としての生殖機能も女としての生殖機能も自ら捨てて、独り身を続けていたんだから。
陛下からしたら、自分のせいで兄の幸せが壊れたって思う部分もあるよなぁ………。
と、何にもいえない気持ちになる。
この人は行動力の塊だから、止められなかったのだろう。
「いたければ落ち着くまでいていい、ですよね?」
ジョシュアさんが紅茶をサーブしながらほほ笑む。
「うん。」
見つめあって。
ああ、いいなぁ。
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なんだかもう、よくわからないんだよ。
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