俺がお前を王にしてやる―隠れオメガクイーンは勇者様―

竜鳴躍

文字の大きさ
54 / 78

アーサーを見ているのが辛い

しおりを挟む
「アーサー。俺、暫く公爵の屋敷に行くよ。」


「えっ。」


「俺が城にいたら、俺の相手をしなきゃって真面目なアーサーは思っちゃうだろうし、今はアーサーも引継ぎ中で忙しいし、俺、アーサーの枷になりたくないんだよ。」

「え、いや。べつに」


「というわけだから!」


俺は言い捨てるように城から逃げた。






「新婚早々けんか?」
公爵様はラグでドージンシを読みふけりながら首を傾げる。

陛下から『いい加減自分のことは気にしないで、その気になったら結婚していいんだからね。』と言われたらしい。


まあそうだよなぁ。

お母様の薬がない時代、やむを得なかったとはいえ、男としての生殖機能も女としての生殖機能も自ら捨てて、独り身を続けていたんだから。

陛下からしたら、自分のせいで兄の幸せが壊れたって思う部分もあるよなぁ………。
と、何にもいえない気持ちになる。

この人は行動力の塊だから、止められなかったのだろう。


「いたければ落ち着くまでいていい、ですよね?」

ジョシュアさんが紅茶をサーブしながらほほ笑む。

「うん。」

見つめあって。


ああ、いいなぁ。


運命の相手じゃなかったかもしれないけど、二人はちゃんと想いあっているじゃないか。

公爵様も気付いたらいいのに……。




俺たちはどうなんだろう?


別の世界線でああいう出会いをして、盛り上がってしまっただけで、俺たちの間に情はあるけどそれが友情なのか愛情なのか、考えれば考えるほどよくわからなくなってしまった。


胸が苦しくて、アーサーを見ていたら辛くなるのは、恋をしているからなのか。

それとも、大好きな友達をとられたようで辛いのか。


俺がアーサーを王にしてやりたかったのも、愛なのか。親心のようなものだったのか。


なんだかもう、よくわからないんだよ。




しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】

古森きり
BL
【書籍化決定しました!】 詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります! たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました! アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。 政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。 男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。 自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。 行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。 冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。 カクヨムに書き溜め。 小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。

ドジで惨殺されそうな悪役の僕、平穏と領地を守ろうとしたら暴虐だったはずの領主様に迫られている気がする……僕がいらないなら詰め寄らないでくれ!

迷路を跳ぶ狐
BL
いつもドジで、今日もお仕えする領主様に怒鳴られていた僕。自分が、ゲームの世界に悪役として転生していることに気づいた。このままだと、この領地は惨事が起こる。けれど、選択肢を間違えば、領地は助かっても王国が潰れる。そんな未来が怖くて動き出した僕だけど、すでに領地も王城も策略だらけ。その上、冷酷だったはずの領主様は、やけに僕との距離が近くて……僕は平穏が欲しいだけなのに! 僕のこと、いらないんじゃなかったの!? 惨劇が怖いので先に城を守りましょう!

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

【完結】end roll.〜あなたの最期に、俺はいましたか〜

みやの
BL
ーー……俺は、本能に殺されたかった。 自分で選び、番になった恋人を事故で亡くしたオメガ・要。 残されたのは、抜け殻みたいな体と、二度と戻らない日々への悔いだけだった。 この世界には、生涯に一度だけ「本当の番」がいる―― そう信じられていても、要はもう「運命」なんて言葉を信じることができない。 亡くした番の記憶と、本能が求める現在のあいだで引き裂かれながら、 それでも生きてしまうΩの物語。 痛くて、残酷なラブストーリー。

長年の恋に終止符を

mahiro
BL
あの人が大の女好きであることは有名です。 そんな人に恋をしてしまった私は何と哀れなことでしょうか。 男性など眼中になく、女性がいればすぐにでも口説く。 それがあの人のモットーというやつでしょう。 どれだけあの人を思っても、無駄だと分かっていながらなかなか終止符を打てない私についにチャンスがやってきました。 これで終らせることが出来る、そう思っていました。

[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった

ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン モデル事務所で メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才 中学時代の初恋相手 高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が 突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。 昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき… 夏にピッタリな青春ラブストーリー💕

契約満了につき

makase
BL
仮初めの恋人として契約を結んだ二人の、最後の夜。

処理中です...