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キャサリンは辺境伯家の遠縁の伯爵家の令嬢

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「………ふん。また、なの…?どうしてそんなにあの子がいいのよ。あんな地味な男オメガ。ちっとも魅力なんてないのに。」


キャサリンは、郵便受けに届いた書類を奥様に届けるために整理する。

それは、この屋敷に公爵夫人の侍女として行儀見習いに来た時からの日課である。


それまでは、自分の小遣いで郵便屋を買収していた。

どうしても婚約したい従兄がいて、政略結婚を止めたいのだと泣きながら訴えれば、馬鹿な郵便屋はブライアン辺境伯家からの文書を途中で私に渡してくれた。


だがどうも効率が悪い。



辺境伯と公爵の間の手紙も、仕事の話もあって、綺麗にして公爵家に戻すのも一苦労だし、もし罰されるようなことがあっても困る。

だから、両親に行儀見習いにいきたいと懇願して、侍女として潜り込んだ。



何度も来る婚約打診の手紙。

それを何度も何度も処分した。

そのうち諦めて、私との婚約を結んでくれると信じているのに。

早く諦めてくれないと、私、いきおくれちゃうじゃない!


自慢じゃないが、豊かな金色の髪、パッチリした翠の眼、鼻筋が通って整った顔にはしみやそばかすがなく、私は同級生の間では男子生徒のアイドルだった。

私と結婚したい男もダンスをしたい男も山ほどいて、そのどれも断って来たのだ。

彼らの中には、有力な貴族の子息も金持ちの貴族の子息もいた。
既に他の女と結婚した男も多い。

ケニーと一緒になるために良縁を捨てたのに、このままじゃ何のために待っているのか分からない!


実家の兄はパッとしない嫁をもらって、もう子どもだっている。
そろそろ当主は兄だ。
妹2人は、生意気にも公爵家と侯爵家に嫁にいったのよ。
しかも、公爵家の方は、フローラ王国から来た新しい公爵のところの子息だっていうじゃない!
公爵は、王弟殿下。つまり、彼らは王族で…。
ちらっとしか見せてもらえなかったけど、すごく素敵な方だった。

兄弟姉妹で一番美しかったのは私なのに、許せない。



忌々しく思いながら、いつものように辺境伯家からの手紙を暖炉で燃した。

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