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マジック王国で
閑話 キシリトールは元塔の姫
キシリトール=マジックは23歳の男だ。
艶やかな黒髪に、細くしなやかな体躯、ぱっちりした目に幼く見える顔立ちが、一見女性のようにも見える。
彼が、騎士団長であるギャバに出会ったのは、今から10年も前のことだ。
赤ちゃんの時、悪い魔女に攫われて、塔の中に閉じ込められて育った。
その時、自分の髪は黄金色に変えられていて。
王族の魔力を魔女のために使われていたため、色が抜けて金髪のようになっていたのだ。
俺は魔女の生餌だった。
13歳になった時、一人の盗賊が魔女の屋敷に紛れ込んだ。
それがギャバだ。
ギャバは、俺を塔から救い、両親の下へ届けてくれた。
帰って来た時、両親は心労で子が望めない体になっていた。
それから王子としての教育を受けるのは、本当にしんどかった。
でも、両親は、今までの分も、と愛情をかけて育ててくれた。
俺が気に入る服がないとわかれば、オーダーメイドで作らせる程度には。
「……ふふ、やっと一緒になれるね。ギャバ。」
真っ白な花嫁衣裳を翻して、ギャバに微笑む。
彼の真っ白なスーツもとてもカッコいい。
「…ったく、本当に俺でよかったのかよ。俺、おっさんだし。」
「いいの!俺にとっては、塔に忍び込んで助けてくれたギャバが運命の王子様だったの!」
あの日。城へ送り届けてくれたギャバは、褒美にこれまでの罪を不問にされて、城を出て行った。
俺は彼と離れたことが悲しくて、もう会えないのが辛くて、泣いて暮らした。
1年経って、髪が黒く戻ったころ。
ギャバはお城に騎士の試験を受けに現れた。
そうして、勲章を重ねて、騎士爵を得て、騎士団長にまで登り詰め、迎えに来てくれた。
俺たちが結婚して、子どもができて、その子どもを王太子にしようと思っても。
いくら半分が王家の血でも、盗賊をしていたような平民との子どもでは、難しいだろう。
でも、もしかしたら。
トールとマリーンとの間の子に嫁がせるような形であれば、アリなのかもしれない。
「侍女も侍従もいないんだぜ?苦労するぞ。」
「大丈夫。俺、13歳までは魔女の家で家事もしてたんだから。」
彼の太い首に手を回して、厚い胸板に頬を寄せる。
そして、少し背伸びをして、彼の唇を奪うのだ。
彼はちょっとシャイだから。
艶やかな黒髪に、細くしなやかな体躯、ぱっちりした目に幼く見える顔立ちが、一見女性のようにも見える。
彼が、騎士団長であるギャバに出会ったのは、今から10年も前のことだ。
赤ちゃんの時、悪い魔女に攫われて、塔の中に閉じ込められて育った。
その時、自分の髪は黄金色に変えられていて。
王族の魔力を魔女のために使われていたため、色が抜けて金髪のようになっていたのだ。
俺は魔女の生餌だった。
13歳になった時、一人の盗賊が魔女の屋敷に紛れ込んだ。
それがギャバだ。
ギャバは、俺を塔から救い、両親の下へ届けてくれた。
帰って来た時、両親は心労で子が望めない体になっていた。
それから王子としての教育を受けるのは、本当にしんどかった。
でも、両親は、今までの分も、と愛情をかけて育ててくれた。
俺が気に入る服がないとわかれば、オーダーメイドで作らせる程度には。
「……ふふ、やっと一緒になれるね。ギャバ。」
真っ白な花嫁衣裳を翻して、ギャバに微笑む。
彼の真っ白なスーツもとてもカッコいい。
「…ったく、本当に俺でよかったのかよ。俺、おっさんだし。」
「いいの!俺にとっては、塔に忍び込んで助けてくれたギャバが運命の王子様だったの!」
あの日。城へ送り届けてくれたギャバは、褒美にこれまでの罪を不問にされて、城を出て行った。
俺は彼と離れたことが悲しくて、もう会えないのが辛くて、泣いて暮らした。
1年経って、髪が黒く戻ったころ。
ギャバはお城に騎士の試験を受けに現れた。
そうして、勲章を重ねて、騎士爵を得て、騎士団長にまで登り詰め、迎えに来てくれた。
俺たちが結婚して、子どもができて、その子どもを王太子にしようと思っても。
いくら半分が王家の血でも、盗賊をしていたような平民との子どもでは、難しいだろう。
でも、もしかしたら。
トールとマリーンとの間の子に嫁がせるような形であれば、アリなのかもしれない。
「侍女も侍従もいないんだぜ?苦労するぞ。」
「大丈夫。俺、13歳までは魔女の家で家事もしてたんだから。」
彼の太い首に手を回して、厚い胸板に頬を寄せる。
そして、少し背伸びをして、彼の唇を奪うのだ。
彼はちょっとシャイだから。
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