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兄さん事件です
「兄上っ!」
「げは、げはっ。」
ある日、第二王子のエンリケが鼻息を荒くして飛び込んできたので、カントは飲んでいた紅茶を器官に入れてしまい、むせた。
「どうしたっていうんだ。突然。」
「あのシリアス公爵家が今夜、夜会をやるって本当!!?」
「ああ。私もイーノに招待されているが、遠慮しようと思ってるんだ。どうやら、夫人は子どもたちに社交の教育をしようとしているようだ。全員が全員、公爵家にずっといられるわけではないからね。他の家の人間になって、社交をするようになった時にうまくやれなかったら困るだろう?………でも、向こうも向こうなりにこれまで社交を避けていた理由があるからね。親族と、お世話になった人、本当に信頼出来て親しい相手だけを招くらしい。身内だけだと、社交の訓練にならないからかな。」
招待者のリストアップや、アレルギーや嗜好の把握、それによる会場の飾りつけや余興、食事のメニュー、ホストとしての対応など、学ぶべきことはたくさんある。
「兄上、僕、行きたいです!叔父様も招待されているんでしょう!?」
「そりゃあまあ、ニーノが今、叔父上のところで仕事を学んでいるからね。」
カントは自分の弟の様子がおかしいことに段々気づいてきた。
なんでこんなに異様に燃えているんだろう。
「………叔父様にニーノは渡さない…。」
「え」
「僕、ニーノが好きなんです!」
「そんなお前、学園でも接点なかったじゃないか。何を今になって……。」
えええ……。叔父と甥で三角関係なの…?本人が無自覚なのに……??
エンリケはぽっと頬を染めた。
「思い返せば、昔、城で会った時から僕は彼が好きだったんです。だけど、お茶会に誘っても彼は来ないし、そのうち疎遠になってしまって。学園では勉強はできるけどとっつきにくい感じで、会話もなかったし…。でも、叔父様の屋敷で会った彼は本当に表情がキラキラしてて。思い出したんです!僕は、彼がお茶会に来てくれなくて、残念だなってずっと思ってた!彼と友達になりたかったし、僕の側近候補になって欲しかったんだ!僕は、彼が好きなんだ!」
「…………エンリケ。お前は王子だ。私に何かあった時のスペアとして、女性と結婚して子をもうけなければならない。それに、まだ王太子の拝命は受けていない。お前の可能性だってあるんだぞ?」
エンリケの目が本気なのは分かる。
分かるが…。
「お兄様に何かあるわけないし、王太子はどう見てもお兄様でしょう?僕は第二王子なんだから、家臣になりますよ。だから、子どももいりません。」
「無責任な……。それに、お前………。言ってしまうが、叔父上はニーノと結婚するつもりだ。向こうの親もそのつもりでいる。」
キッと、鋭い視線が向けられる。
「叔父上は二股をかけています!『ローズ』という女性にプロポーズしているんですよ!僕は許せません!兄上がダメだって言っても、僕は参加しますからね!」
ああああ…。ローズもニーノなんだよ…!
説明する間もなく、エンリケは去ってしまった。
「………はぁ。夜会が荒れないか心配だ。行くか……私も。」
本当は、婚約者をエスコートするイーノを見るのがつらかったから、行くのをやめるつもりだったのだが。
―――エンリケ。お前は、王子として自覚が足りない。無責任だ。
騎士に襲われて、心に傷を受けたイーノ。
そんな彼の傷を抉らないように、恋心に封をした。
それに、王子なのだから、将来の公爵当主になる彼とどうこうなってどうする。
そんなふうに、自分を律するしかなかった私の心情など、お前には理解できないのだろうな。
「げは、げはっ。」
ある日、第二王子のエンリケが鼻息を荒くして飛び込んできたので、カントは飲んでいた紅茶を器官に入れてしまい、むせた。
「どうしたっていうんだ。突然。」
「あのシリアス公爵家が今夜、夜会をやるって本当!!?」
「ああ。私もイーノに招待されているが、遠慮しようと思ってるんだ。どうやら、夫人は子どもたちに社交の教育をしようとしているようだ。全員が全員、公爵家にずっといられるわけではないからね。他の家の人間になって、社交をするようになった時にうまくやれなかったら困るだろう?………でも、向こうも向こうなりにこれまで社交を避けていた理由があるからね。親族と、お世話になった人、本当に信頼出来て親しい相手だけを招くらしい。身内だけだと、社交の訓練にならないからかな。」
招待者のリストアップや、アレルギーや嗜好の把握、それによる会場の飾りつけや余興、食事のメニュー、ホストとしての対応など、学ぶべきことはたくさんある。
「兄上、僕、行きたいです!叔父様も招待されているんでしょう!?」
「そりゃあまあ、ニーノが今、叔父上のところで仕事を学んでいるからね。」
カントは自分の弟の様子がおかしいことに段々気づいてきた。
なんでこんなに異様に燃えているんだろう。
「………叔父様にニーノは渡さない…。」
「え」
「僕、ニーノが好きなんです!」
「そんなお前、学園でも接点なかったじゃないか。何を今になって……。」
えええ……。叔父と甥で三角関係なの…?本人が無自覚なのに……??
エンリケはぽっと頬を染めた。
「思い返せば、昔、城で会った時から僕は彼が好きだったんです。だけど、お茶会に誘っても彼は来ないし、そのうち疎遠になってしまって。学園では勉強はできるけどとっつきにくい感じで、会話もなかったし…。でも、叔父様の屋敷で会った彼は本当に表情がキラキラしてて。思い出したんです!僕は、彼がお茶会に来てくれなくて、残念だなってずっと思ってた!彼と友達になりたかったし、僕の側近候補になって欲しかったんだ!僕は、彼が好きなんだ!」
「…………エンリケ。お前は王子だ。私に何かあった時のスペアとして、女性と結婚して子をもうけなければならない。それに、まだ王太子の拝命は受けていない。お前の可能性だってあるんだぞ?」
エンリケの目が本気なのは分かる。
分かるが…。
「お兄様に何かあるわけないし、王太子はどう見てもお兄様でしょう?僕は第二王子なんだから、家臣になりますよ。だから、子どももいりません。」
「無責任な……。それに、お前………。言ってしまうが、叔父上はニーノと結婚するつもりだ。向こうの親もそのつもりでいる。」
キッと、鋭い視線が向けられる。
「叔父上は二股をかけています!『ローズ』という女性にプロポーズしているんですよ!僕は許せません!兄上がダメだって言っても、僕は参加しますからね!」
ああああ…。ローズもニーノなんだよ…!
説明する間もなく、エンリケは去ってしまった。
「………はぁ。夜会が荒れないか心配だ。行くか……私も。」
本当は、婚約者をエスコートするイーノを見るのがつらかったから、行くのをやめるつもりだったのだが。
―――エンリケ。お前は、王子として自覚が足りない。無責任だ。
騎士に襲われて、心に傷を受けたイーノ。
そんな彼の傷を抉らないように、恋心に封をした。
それに、王子なのだから、将来の公爵当主になる彼とどうこうなってどうする。
そんなふうに、自分を律するしかなかった私の心情など、お前には理解できないのだろうな。
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