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<閑話>ミーナとカント
カント=マーキュリー=エクセレント。23歳。
おそらく王太子は間違いないであろう彼だが、婚約者はいない。
友好国の王女を娶るのだろうと囁かれているが、実際は初恋を拗らせているのである。
だが、来春、その『初恋』が結婚する。
そうすれば、自身の結婚も考えてみよう、とカントは思っている。
できれば、叔父上の母方の家門かそれに連なる者がいいのだが、釣り合う年齢の娘がいない。
どうも、辺境伯の家系は男が生まれやすいようだ。
宰相に連れられて、王宮の書架へ本を閲覧しに来たミーナ=シリアス公爵令嬢が侍女や護衛とともに向こうから歩いてきた。
学園入学までまだ2年ある彼女だが、その知性は兄妹の中で最も優れているかもしれない。
小柄な体と幼さの残る容貌だが、立ち居振る舞いや話し方は一人前の大人の貴族だ。
私の……初恋の人の……妹。
銀髪の前髪を七三分けにして、三つ編みと地味な装いだが、本当は彼女は誰より美しい。
私を見て立ち止まり、見事なカーテンシーを披露して横へ避けた。
「ミーナ嬢。今日も書架かい?もう王宮が集めている本くらいじゃないと全部読んでしまったか。流石だね。」
「第一王子殿下。ありがとうございます。ええ、そうですの。本はいいですわ。私、将来、だれでも自由に本が読める場所を作りたいのです。本って高価でしょう?無料で自由に本が読めたら、きっと国民の識字率も上がるでしょうし、もしかしたら思いの寄らないところから天才が生まれるかもしれません。国のためにもいいことだと思いますの。」
「成程ね。平民で教育を受けられない者の中にも、教育さえ受けられていたら画期的なことを発明できる人財が眠っているかもしれないということか。」
「ええ。勿体ないと思いませんか?阿保でお金を使うことしか興味のない盆暗が教育を受けられて、本当に賢い者が受けられないなど、損失です。それに、生活がかかっている者の方が真剣に勉学に励むでしょうし、国の実態が骨身にしみてわかっている分、優れた方策も考えてくれるかもしれませんよ?」
ミーナ嬢はすばらしいな。
「君は本当に優秀だね。イーノと話しているみたいだよ。」
「あら。そうしましたら、私をお妃にしますか?」
えっ。
ふふ、と目の前のレディは淑女の笑みを浮かべる。
「お兄様の代わりでも構いませんよ。私も王妃の方がやりたいことが出来そうですし。私との子なら、お兄様にそっくりの可愛い子が産まれるかもしれません。ただ、シリアス公爵家に偏ってしまいますので、辺境伯家に養女に行って嫁ぐのはいかがでしょうか?」
おぉ………。
おそらく王太子は間違いないであろう彼だが、婚約者はいない。
友好国の王女を娶るのだろうと囁かれているが、実際は初恋を拗らせているのである。
だが、来春、その『初恋』が結婚する。
そうすれば、自身の結婚も考えてみよう、とカントは思っている。
できれば、叔父上の母方の家門かそれに連なる者がいいのだが、釣り合う年齢の娘がいない。
どうも、辺境伯の家系は男が生まれやすいようだ。
宰相に連れられて、王宮の書架へ本を閲覧しに来たミーナ=シリアス公爵令嬢が侍女や護衛とともに向こうから歩いてきた。
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「ええ。勿体ないと思いませんか?阿保でお金を使うことしか興味のない盆暗が教育を受けられて、本当に賢い者が受けられないなど、損失です。それに、生活がかかっている者の方が真剣に勉学に励むでしょうし、国の実態が骨身にしみてわかっている分、優れた方策も考えてくれるかもしれませんよ?」
ミーナ嬢はすばらしいな。
「君は本当に優秀だね。イーノと話しているみたいだよ。」
「あら。そうしましたら、私をお妃にしますか?」
えっ。
ふふ、と目の前のレディは淑女の笑みを浮かべる。
「お兄様の代わりでも構いませんよ。私も王妃の方がやりたいことが出来そうですし。私との子なら、お兄様にそっくりの可愛い子が産まれるかもしれません。ただ、シリアス公爵家に偏ってしまいますので、辺境伯家に養女に行って嫁ぐのはいかがでしょうか?」
おぉ………。
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