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ラナのアタック(エンリケ王子の場合)
「カント王子がだめならエンリケ王子よ!大丈夫!私と結婚すればあなたが王太子よ!」
根拠のない自信がどこから来るのだろう。
勢いよく飛び出した二人。
私は、カント王子やカトレアたちに詫びた。
「本当に申し訳ない…………!」
「いいえ。あなたも大変ね。彼女と子どもなんて作らなければよかったのに。側妃は娶れなかったの?」
「…………側妃はどこの家からも断られて…。今思えばケイトリンが手を回していたのかもしれないが。子どもは、作るつもりはなかったんだが、襲われて。」
「ご愁傷様。自業自得だけれどね。私の子どもたちは皆綺麗で美しいでしょう?ほら、あそこにいるのは私の長男のイーノよ。学園を一番で卒業して宰相補佐と当主の手伝いもしているわ。」
王子の背後に付き添う、宰相によく似た美しい黒髪の青年が会釈する。
ああ、やはり。
と、すれば先ほどの美しい宰相があの時の…。君の夫。
それに君の輝きはあの時より増して。
「私と結婚していれば、貴方の子どもは美も才も兼ね備えていたかもしれないわね。放っておいても良縁には事欠かなかったでしょう。王子なら跡目を継ぐ時が楽しみだと、皆から望まれて。貴方の地位も盤石だったでしょうね。」
「………ああ。エンリケ王子が迷惑だと思うから回収に行くよ。」
「お願いしますわ。」
分かっている。
私の王太子位など今だけだ。時機に弟にとってかわられる。
弟の婚約者はカトレアの姪だ。きっと弟はうまくいく…。
「エンリケさまぁあぁ~~~~~♡」
甘ったるい声を出し、豊かな胸を揺らしてやってきた女に、エンリケは眉を寄せた。
「ラナ王女。先ほど言った通り、僕は貴方が嫌いです。一番嫌いなタイプなんです。離れてください。」
「んもお、私が可愛いから照れてらっしゃるのねっ!」
「話が通じない人ですね。僕は馬鹿は嫌いです。」
「エンリケ様、ラナは天真爛漫で純真無垢なんですわ。きっとあなたの癒しになるでしょう。それに他国の王女との婚姻は、あなたの後ろ盾に…。」
娘が娘なら母親も母親。煩わしい。
「天真爛漫?純真無垢?そのようなもの、王妃どころか王子妃、いや、貴族家の女主人にだって何の役にも立ちませんよ。それがいいといって結婚した者は、いずれ後悔することになる。妻に担ってもらうはずの仕事をそれでは任せられませんから。失礼ですが、だから縁談がないのでは?」
「…………でも、仕事ができなくてもいいくらい私は可愛いでしょう!王女がいるだけで箔がつくし!」
懸命に可愛い顔を作ってしなだれてくる。気持ちが悪い。
「豊かなバストはいずれ垂れます。美貌も年齢とともに損なわれる。王女という地位が役に立つのは、その国と婚姻してでも強いつながりを持ちたいと相手側が切望している場合だけでしょう。我が国はそこまでしてロゼッタ王国と結びつきを求めているわけではない。元々関係は悪くないですしね。第一、僕は王位など目指していませんよ。兄を支えるのが僕の夢。だから、後ろ盾も不要です。最も、貴方の後ろ盾なんて得てもないような薄ーい紙のような盾でしょうけど。」
冷たい視線で畳みかけられ、ラナもケイトリンもあんぐりとあけた口が閉まらない。
「さあ、扉をふさがないでいただけますか。僕は今から愛しい愛しい人のもとへ行くのです。僕の愛しい人は、学業優秀で慎ましく貴族として完璧でありながら、愛嬌があって可愛くて、誰より美しい人なのですよ。老化しやすいかそうでないかは大体親に似ると言いますが、その方はご両親とも若々しいので、年をとってもずっと綺麗だと思います。そうでなくても、内面からくる美は変わりませんから、魅力的でしょうけどね。ラナ様は………残念でしょうね。」
それではっ!と、エンリケは部屋を出て行った。
「…………お母様。私って、本当は魅力がないの?だから誰もお嫁にもらってくれないの?」
「そんなことないわ!王子達の目が腐っているのよ!さあ、ラナ。仕切り直すわよ!日を改めましょう!さっきの宰相の息子はどう?それから王弟殿下もまだ結婚していないらしいわ!」
「………ふたりとも、あまりご迷惑をおかけしないで。」
やってきたアンドリューの声を二人は無視し続けた。
根拠のない自信がどこから来るのだろう。
勢いよく飛び出した二人。
私は、カント王子やカトレアたちに詫びた。
「本当に申し訳ない…………!」
「いいえ。あなたも大変ね。彼女と子どもなんて作らなければよかったのに。側妃は娶れなかったの?」
「…………側妃はどこの家からも断られて…。今思えばケイトリンが手を回していたのかもしれないが。子どもは、作るつもりはなかったんだが、襲われて。」
「ご愁傷様。自業自得だけれどね。私の子どもたちは皆綺麗で美しいでしょう?ほら、あそこにいるのは私の長男のイーノよ。学園を一番で卒業して宰相補佐と当主の手伝いもしているわ。」
王子の背後に付き添う、宰相によく似た美しい黒髪の青年が会釈する。
ああ、やはり。
と、すれば先ほどの美しい宰相があの時の…。君の夫。
それに君の輝きはあの時より増して。
「私と結婚していれば、貴方の子どもは美も才も兼ね備えていたかもしれないわね。放っておいても良縁には事欠かなかったでしょう。王子なら跡目を継ぐ時が楽しみだと、皆から望まれて。貴方の地位も盤石だったでしょうね。」
「………ああ。エンリケ王子が迷惑だと思うから回収に行くよ。」
「お願いしますわ。」
分かっている。
私の王太子位など今だけだ。時機に弟にとってかわられる。
弟の婚約者はカトレアの姪だ。きっと弟はうまくいく…。
「エンリケさまぁあぁ~~~~~♡」
甘ったるい声を出し、豊かな胸を揺らしてやってきた女に、エンリケは眉を寄せた。
「ラナ王女。先ほど言った通り、僕は貴方が嫌いです。一番嫌いなタイプなんです。離れてください。」
「んもお、私が可愛いから照れてらっしゃるのねっ!」
「話が通じない人ですね。僕は馬鹿は嫌いです。」
「エンリケ様、ラナは天真爛漫で純真無垢なんですわ。きっとあなたの癒しになるでしょう。それに他国の王女との婚姻は、あなたの後ろ盾に…。」
娘が娘なら母親も母親。煩わしい。
「天真爛漫?純真無垢?そのようなもの、王妃どころか王子妃、いや、貴族家の女主人にだって何の役にも立ちませんよ。それがいいといって結婚した者は、いずれ後悔することになる。妻に担ってもらうはずの仕事をそれでは任せられませんから。失礼ですが、だから縁談がないのでは?」
「…………でも、仕事ができなくてもいいくらい私は可愛いでしょう!王女がいるだけで箔がつくし!」
懸命に可愛い顔を作ってしなだれてくる。気持ちが悪い。
「豊かなバストはいずれ垂れます。美貌も年齢とともに損なわれる。王女という地位が役に立つのは、その国と婚姻してでも強いつながりを持ちたいと相手側が切望している場合だけでしょう。我が国はそこまでしてロゼッタ王国と結びつきを求めているわけではない。元々関係は悪くないですしね。第一、僕は王位など目指していませんよ。兄を支えるのが僕の夢。だから、後ろ盾も不要です。最も、貴方の後ろ盾なんて得てもないような薄ーい紙のような盾でしょうけど。」
冷たい視線で畳みかけられ、ラナもケイトリンもあんぐりとあけた口が閉まらない。
「さあ、扉をふさがないでいただけますか。僕は今から愛しい愛しい人のもとへ行くのです。僕の愛しい人は、学業優秀で慎ましく貴族として完璧でありながら、愛嬌があって可愛くて、誰より美しい人なのですよ。老化しやすいかそうでないかは大体親に似ると言いますが、その方はご両親とも若々しいので、年をとってもずっと綺麗だと思います。そうでなくても、内面からくる美は変わりませんから、魅力的でしょうけどね。ラナ様は………残念でしょうね。」
それではっ!と、エンリケは部屋を出て行った。
「…………お母様。私って、本当は魅力がないの?だから誰もお嫁にもらってくれないの?」
「そんなことないわ!王子達の目が腐っているのよ!さあ、ラナ。仕切り直すわよ!日を改めましょう!さっきの宰相の息子はどう?それから王弟殿下もまだ結婚していないらしいわ!」
「………ふたりとも、あまりご迷惑をおかけしないで。」
やってきたアンドリューの声を二人は無視し続けた。
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