くず勇者にざまあ。虐げられた聖者に一目ぼれした魔王の側近はやり直す

天使のようなルシフェルさま

「んしょ、んしょ。」

ゆっくりゆっくり、パパたちのお手伝い。

「えらいぞ、カルディ。自分のお皿は自分でな。」


私の猫っ毛の髪を撫でながら、産んだ方のパパ、オルフェがほほ笑む。


「可愛いなあ、カルディは。オルフェそっくりの黒髪黒目で。将来はそっくりの美人になるなぁ。」

もう一人のパパ、ハディースはでれでれ。



「今日は、ルシフェル様と森の泉に行くんだろう？ちゃんと勉強もするんだぞ。」


「はぁい！」


帽子をかぶって、汚れてもいいようにスモックを着て、たすき掛けに身に着けた小さなかばんにはお菓子とハンカチ。




「かーるでぃーくーん。」



「あっ。」




噂をすれば、ルシフェル様が迎えに来てくれた。





この国は一応王家はあるけれど、フラットなのだ。

ルシフェル様は天使だった。


輝くプラチナブランド、エメラルドグリーンの大きな瞳。

後には執事と護衛と、ぼくたちの教師のおじいさん。





森を歩きながら、そのあたりに漂う精霊や妖精に挨拶をしながら、ふと思う。

私たちって、そんなに恐ろしいだろうか。


見ようによっては、人間が崇めている天使とか神に見えるのでは？



鬱蒼とした暗い森の中に住んで、衣装とかも人間に襲われないよう、闇夜に紛れるように黒とかを着ることが多い私たちだけど、それがもしかしたら悪役っぽく見えるのでは？


引きこもっているのが逆効果なんじゃないかしら。

外で悪く言われても全然分からないし、引きこもってたって攻めてきたんだから。

攻めてこられた時、私たちは魔力が高くても、魔力を攻撃に使ったこともないし、能力を使いこなせなくて、あっという間に勇者にやられちゃった。


だったら、引きこもりを辞めた方がいいんじゃ。





ディユの人怖くないキャンペーンをしよう。

外の世界に出て、人助けをして、ディユの名声を高めるんだ。


それに、外にはあの人がいる。



あの人も今は５歳くらいだろう。

きっと、すっごく可愛いと思う。