くず勇者にざまあ。虐げられた聖者に一目ぼれした魔王の側近はやり直す

竜鳴躍

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恩赦

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「グラディウス、こっちこっち。」

「出かける前に陛下がお話があるって!」


「全く、何だって言うんだよ。」

こっそり旅立とうと思っていたのに、キースとルースの兄弟に見つかって、引き摺られるように城へ向かった。

マロン陛下はニコニコと、相変わらず何を考えているか分からない。



そして、マロン陛下の隣には、見違える程美しく、立派になった元婚約者。



かつての過ちが思い起こされる。


カルディやユースも見守る中、陛下の発言を待ち、頭を垂れる。


「勇者グラディウス。長年の献身につき、私の婚姻、息子マシロの誕生、即位、息子の立太子………その他諸々を考慮して、全ての罪を許し、これより騎士爵の爵位と騎士団隊長の職を与えることとする。」


「えっ………。」


「お前は変わった。お前がこの10年で救った人々から城への歎願書もだいぶ積み重なっているからな。恩赦だ。これからは罪人ではなく、騎士として、国を回るといい。」

「あっ………ありがとうございます!」



「勘違いするな。次はないのは変わらない。そもそもお前のためではないからな。」






「グラディウスさまっ………。」




人垣をかき分けて現れたのは、ミカエル。




「二人が恋に落ちたのは、皆気づいている。幸せになりなさい。」



「あっ………ありがとう、ございますっ
!」





二人はともに旅に出た。

互いに支え合い、きっと幸せになれるだろう。
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