13 / 44
貴方の名は
「フォレスさん、怪物は何体?」
「全部で3体。ここと城の方に1体ずつ交戦中、無人状態の貴族街の方で1体暴れてる!」
傷だらけのみんな。
師匠たちもあんなに傷ついて。
僕許せないんだからね!
『グォォオォォォ…』
怒ってる。
苦しい、きついって聞こえる。
遺伝子レベルで汚されて。
体の中から毒素を吐くようにまき散らすんだ。
でもね。
だからってこういうのはよくないでしょ?
『グォオオオオオオオオオオオッ!』
怪物の動きが早くなり、乱暴に揺さぶられた尾が、爪が僕に向かう。
「キシリッシュ!!」
大丈夫だよ、みんな。
僕はなんでもできるみたい。
イメージすればどんなことでも。
天使のような光の羽で飛び、攻撃を躱す。
そして、ぽっかり空いた口から放たれるエネルギー波を吸収して宙へ放った。
その空いたままの口に僕はある魔法を叩きこんだ。
「浄化!!!!」
優しい光があたりを包んだ。
その頃貴族街では、城を捨てて逃げ出す者で溢れかえっていた。
貴族たちは既にタウンハウスを捨て、それぞれ領地に逃げ帰っている。
「お、俺の城が…!お前たち、城に戻れっ!城には…国王陛下と王妃殿下がいるんだぞ!国の宝も!」
少し先を焦げ付かせた髪で、逃げ惑う騎士たちに命じるが誰も聞いてくれず、ハッカは立ち往生していた。
「それが殿下の本性ですか!がっかりです!どうせあの炎じゃ無理ですよ!近衛騎士たちが逃がしていることに期待するしかないでしょう!」
「もうあんなのは無理ですよ!みんなで国を捨てるんだ!」
「そうだそうだ!金銀財宝より命だ!少しでも多くの国民を助けながら逃げよう!」
「なんで誰も言うことを聞いてくれないんだ!」
「うわぁあぁあ!追って来た!!!怪物だ!!!」
「もたもたしてるからだ!もうおしまいだ!」
「殿下がひきとめるからですよ!」
『グルグルグル…』
かぱっと怪物の口が開く。
「離れて!!!」
どこからか凛とした少年の声が響く。
怪物の口に向かって、光が降り注ぐ。
『グ………キュウゥ』
怪物の体は、徐々に小さく、岩のようだった肌はツルツルに、黒から白に変わっていく……。
「もう大丈夫ですよ。怪物はいなくなりましたから。」
「あ、あなたは……!」
「おまえはっ!嘘だ!死んだはずじゃ!!!」
上空に浮かぶ光の翼を生やした美しい少年。
その少年のもとへ、怪物だった白い竜は嬉しそうに飛んでいく。
よくみれば、既に2体の白竜が近くを舞っていた。
銀髪に青い目、その容貌は先代の国王の色で。
容貌もよく似ていて。
なにより、3歳以降全く表に姿を現さなかった殿下が大きくなれば今頃はこうだろうという姿をしている。
「キシリッシュ様!キシリッシュ様ですよね!私は騎士団長のピエールです!」
騎士の中で最も位が高く、古株で、幼いキシリッシュを知っていた黒ひげの騎士団長が駆け寄った。
「キシリッシュじゃないよっ。キシリー商会のキシリーだよ!そういうことにしといて!」
「わかりました。死んだことにしないと命を狙われるんですね。」
「ざわ。ざわ。それじゃあ病弱とかいうのも嘘で、殿下はずっと閉じ込められて…!?」
「ヒッ!」
騎士たちがざわめき、ハッカを睨んだ。
「とにかく、もう怪物はいないから!川下のねぐらに住んでいた国の守り神の聖獣が川を汚されて精神汚染で怪物化しただけだから!金輪際、公害を出さないようにね!自然は壊れたら簡単には戻らないんだから!」
「公害って……。そういえば最近原因不明の病気が流行って大量に死者が出なかったか…?」
「垂れ流しって、そういえば王家がなんか工場立ててたな。変な液体や臭いガスがそこから出てたって…。」
「つまり、全部原因は王家!?」
「今回だけサービスで浄化しとくから!もし公害で苦しんでる人いたらキシリー商会の支部からポーション配るから飲ませてね!身分差別したら許さないからね!人の命に貴賤はないっていっても貴族にはよくわからないだろうけど、国民あっての国なんだからね!」
「ああっ!待って!貴方こそ本当の王!」
皆が止める間もなく、キシリッシュはどこかへ行ってしまった。
「誰が無学だって?キシリー商会の会頭の発明王なんじゃないか。」
「思いやりもあるし。」
「あんなに強いし。」
「大体めちゃくちゃ元気じゃないか。」
「この件が片付いたら断罪だ。ハッカをとらえろ!生きていたらあの夫婦もな!」
「きさま!不敬だぞ!!!」
「黙れ!貴様らは国家反逆罪だ!」
ハッカの栄光はどこへ。騎士たちに拘束され、消火された城の跡地へ引きずられていく。
「全部で3体。ここと城の方に1体ずつ交戦中、無人状態の貴族街の方で1体暴れてる!」
傷だらけのみんな。
師匠たちもあんなに傷ついて。
僕許せないんだからね!
『グォォオォォォ…』
怒ってる。
苦しい、きついって聞こえる。
遺伝子レベルで汚されて。
体の中から毒素を吐くようにまき散らすんだ。
でもね。
だからってこういうのはよくないでしょ?
『グォオオオオオオオオオオオッ!』
怪物の動きが早くなり、乱暴に揺さぶられた尾が、爪が僕に向かう。
「キシリッシュ!!」
大丈夫だよ、みんな。
僕はなんでもできるみたい。
イメージすればどんなことでも。
天使のような光の羽で飛び、攻撃を躱す。
そして、ぽっかり空いた口から放たれるエネルギー波を吸収して宙へ放った。
その空いたままの口に僕はある魔法を叩きこんだ。
「浄化!!!!」
優しい光があたりを包んだ。
その頃貴族街では、城を捨てて逃げ出す者で溢れかえっていた。
貴族たちは既にタウンハウスを捨て、それぞれ領地に逃げ帰っている。
「お、俺の城が…!お前たち、城に戻れっ!城には…国王陛下と王妃殿下がいるんだぞ!国の宝も!」
少し先を焦げ付かせた髪で、逃げ惑う騎士たちに命じるが誰も聞いてくれず、ハッカは立ち往生していた。
「それが殿下の本性ですか!がっかりです!どうせあの炎じゃ無理ですよ!近衛騎士たちが逃がしていることに期待するしかないでしょう!」
「もうあんなのは無理ですよ!みんなで国を捨てるんだ!」
「そうだそうだ!金銀財宝より命だ!少しでも多くの国民を助けながら逃げよう!」
「なんで誰も言うことを聞いてくれないんだ!」
「うわぁあぁあ!追って来た!!!怪物だ!!!」
「もたもたしてるからだ!もうおしまいだ!」
「殿下がひきとめるからですよ!」
『グルグルグル…』
かぱっと怪物の口が開く。
「離れて!!!」
どこからか凛とした少年の声が響く。
怪物の口に向かって、光が降り注ぐ。
『グ………キュウゥ』
怪物の体は、徐々に小さく、岩のようだった肌はツルツルに、黒から白に変わっていく……。
「もう大丈夫ですよ。怪物はいなくなりましたから。」
「あ、あなたは……!」
「おまえはっ!嘘だ!死んだはずじゃ!!!」
上空に浮かぶ光の翼を生やした美しい少年。
その少年のもとへ、怪物だった白い竜は嬉しそうに飛んでいく。
よくみれば、既に2体の白竜が近くを舞っていた。
銀髪に青い目、その容貌は先代の国王の色で。
容貌もよく似ていて。
なにより、3歳以降全く表に姿を現さなかった殿下が大きくなれば今頃はこうだろうという姿をしている。
「キシリッシュ様!キシリッシュ様ですよね!私は騎士団長のピエールです!」
騎士の中で最も位が高く、古株で、幼いキシリッシュを知っていた黒ひげの騎士団長が駆け寄った。
「キシリッシュじゃないよっ。キシリー商会のキシリーだよ!そういうことにしといて!」
「わかりました。死んだことにしないと命を狙われるんですね。」
「ざわ。ざわ。それじゃあ病弱とかいうのも嘘で、殿下はずっと閉じ込められて…!?」
「ヒッ!」
騎士たちがざわめき、ハッカを睨んだ。
「とにかく、もう怪物はいないから!川下のねぐらに住んでいた国の守り神の聖獣が川を汚されて精神汚染で怪物化しただけだから!金輪際、公害を出さないようにね!自然は壊れたら簡単には戻らないんだから!」
「公害って……。そういえば最近原因不明の病気が流行って大量に死者が出なかったか…?」
「垂れ流しって、そういえば王家がなんか工場立ててたな。変な液体や臭いガスがそこから出てたって…。」
「つまり、全部原因は王家!?」
「今回だけサービスで浄化しとくから!もし公害で苦しんでる人いたらキシリー商会の支部からポーション配るから飲ませてね!身分差別したら許さないからね!人の命に貴賤はないっていっても貴族にはよくわからないだろうけど、国民あっての国なんだからね!」
「ああっ!待って!貴方こそ本当の王!」
皆が止める間もなく、キシリッシュはどこかへ行ってしまった。
「誰が無学だって?キシリー商会の会頭の発明王なんじゃないか。」
「思いやりもあるし。」
「あんなに強いし。」
「大体めちゃくちゃ元気じゃないか。」
「この件が片付いたら断罪だ。ハッカをとらえろ!生きていたらあの夫婦もな!」
「きさま!不敬だぞ!!!」
「黙れ!貴様らは国家反逆罪だ!」
ハッカの栄光はどこへ。騎士たちに拘束され、消火された城の跡地へ引きずられていく。
あなたにおすすめの小説
【経験値貸付(ローン)】の強制取り立て 〜「無能」と追放された付与術師、元仲間のレベルを「利息付き」で没収して無双する〜
りい
ファンタジー
五年間、勇者レオン率いるSランクパーティのために尽くしてきた付与術師のアベル。
彼は固有スキル【経験値譲渡(ギフト)】を使い、自分が獲得するはずの経験値をすべて仲間に捧げてきた。その結果、仲間は次々とレベル90を超える一方で、アベル自身はどれだけ戦っても「万年レベル1」のまま。
「レベル1の無能はもういらない。死にたくなければ消えろ」
理不尽な宣告と共に、ゴミのように捨てられたアベル。しかし、勇者たちは知らなかった。
アベルのスキルの真の名は――【経験値貸付(ローン)】。
パーティを脱退し「契約」が解除された瞬間、これまで与えてきた膨大な経験値が、年率10%の「複利」を伴ってアベルへと強制返還される!
一瞬にしてレベル999、神の領域へと至るアベル。
一方で、全経験値を没収されレベル1の弱者に転落し、路頭に迷う元仲間たち。
「戻ってきてくれ」と泣きつく彼らに、最強の債権者(アベル)は冷たく言い放つ。
「君たちに貸せるものは、もう何もないよ」
これは、お人好しすぎた少年がすべてを取り戻し、圧倒的な力で自由を謳歌する逆転無双。
追放された雑用おじさん、実は唯一無二の料理スキルで最強ギルドを支えてました~なお、その価値に気づいた隣国の姫様だけが俺を溺愛して離さない
宮田花壇
ファンタジー
王国最大の冒険者ギルドに勤めるシンヤは、下級ながらも貴族だからという理由だけで疎まれ、日々こき使われていた。
そんなある日、彼はギルドの金を横領していたマスターのガルドから濡れ衣を着せられ、そのまま冤罪により国外追放に処されてしまう。
「クク、お前みたいなグズの代わりはいくらでもいる。どこへなりと心置きなく消えるがいい」
しかしガルドは知らなかった。彼らのギルドがSランクという最高評価を得られるまで成長できたのは、実はシンヤがギルドの酒場で作っていた《とある料理》のおかげだったことを。
その一方、隣国への護送の道中でモンスターに襲われたシンヤは、偶然居合わせたリリという美少女騎士に命を救われる。
そして空腹だと言う彼女のため、お礼として料理を振る舞うのだが――。
【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~
きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。
前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。
48歳の元非正規、異世界で《工場召喚》に目覚める〜失業者を雇ったら、街の経済が回り出した。バナナの皮剥き30年は無駄じゃなかった〜
風
ファンタジー
48歳、非正規パート歴30年。剥川正太郎の仕事は、食品工場でひたすらバナナの皮を剥くことだけだった。
過労で倒れた彼が異世界で授かったのは、まさかの《工場》召喚スキル。現地の失業者や訳ありの人々を雇い、バナナ工場を動かし始めると、街の暮らしも経済も少しずつ回り出す。
亡き妻の「あなたの仕事は必要なもの」という言葉を、異世界で初めて他人に返していく、中年お仕事ファンタジー。
過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜
由香
恋愛
過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。
初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。
溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。
私はダンジョンの中に部屋を所有しており、今はそこに住んでいます。仲間に裏切られた後、ゼロからやり直しています。
MayonakaTsuki
ファンタジー
レオは「月のダンジョン」を攻略したパーティーのエリート弓使いだった。名声、強い仲間、そして守ると誓った恋人、アンナ。しかし、一杯のジュースと「可愛い」笑顔が、彼の栄光を灰に変えた。身に覚えのない罪を着せられ、信頼していた仲間に全てを奪われたレオは、雨の中に放り出される。唯一の逃げ場は、旅が始まったあの場所――月のダンジョンの深淵だった。
料理の上手さを見込まれてモフモフ聖獣に育てられた俺は、剣も魔法も使えず、一人ではドラゴンくらいしか倒せないのに、聖女や剣聖たちから溺愛される
向原 行人
ファンタジー
母を早くに亡くし、男だらけの五人兄弟で家事の全てを任されていた長男の俺は、気付いたら異世界に転生していた。
アルフレッドという名の子供になっていたのだが、山奥に一人ぼっち。
普通に考えて、親に捨てられ死を待つだけという、とんでもないハードモード転生だったのだが、偶然通りかかった人の言葉を話す聖獣――白虎が現れ、俺を育ててくれた。
白虎は食べ物の獲り方を教えてくれたので、俺は前世で培った家事の腕を振るい、調理という形で恩を返す。
そんな毎日が十数年続き、俺がもうすぐ十六歳になるという所で、白虎からそろそろ人間の社会で生きる様にと言われてしまった。
剣も魔法も使えない俺は、少しだけ使える聖獣の力と家事能力しか取り柄が無いので、とりあえず異世界の定番である冒険者を目指す事に。
だが、この世界では職業学校を卒業しないと冒険者になれないのだとか。
おまけに聖獣の力を人前で使うと、恐れられて嫌われる……と。
俺は聖獣の力を使わずに、冒険者となる事が出来るのだろうか。
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。