虐げられた前王の子に転生しましたが、マイペースに規格外でいきます!

竜鳴躍

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貴方の名は

「フォレスさん、怪物は何体?」

「全部で3体。ここと城の方に1体ずつ交戦中、無人状態の貴族街の方で1体暴れてる!」


傷だらけのみんな。

師匠たちもあんなに傷ついて。
僕許せないんだからね!

『グォォオォォォ…』



怒ってる。

苦しい、きついって聞こえる。


遺伝子レベルで汚されて。

体の中から毒素を吐くようにまき散らすんだ。



でもね。


だからってこういうのはよくないでしょ?


『グォオオオオオオオオオオオッ!』


怪物の動きが早くなり、乱暴に揺さぶられた尾が、爪が僕に向かう。


「キシリッシュ!!」


大丈夫だよ、みんな。


僕はなんでもできるみたい。

イメージすればどんなことでも。


天使のような光の羽で飛び、攻撃を躱す。
そして、ぽっかり空いた口から放たれるエネルギー波を吸収して宙へ放った。

その空いたままの口に僕はある魔法を叩きこんだ。



「浄化!!!!」



優しい光があたりを包んだ。









その頃貴族街では、城を捨てて逃げ出す者で溢れかえっていた。

貴族たちは既にタウンハウスを捨て、それぞれ領地に逃げ帰っている。

「お、俺の城が…!お前たち、城に戻れっ!城には…国王陛下と王妃殿下がいるんだぞ!国の宝も!」


少し先を焦げ付かせた髪で、逃げ惑う騎士たちに命じるが誰も聞いてくれず、ハッカは立ち往生していた。

「それが殿下の本性ですか!がっかりです!どうせあの炎じゃ無理ですよ!近衛騎士たちが逃がしていることに期待するしかないでしょう!」

「もうあんなのは無理ですよ!みんなで国を捨てるんだ!」

「そうだそうだ!金銀財宝より命だ!少しでも多くの国民を助けながら逃げよう!」


「なんで誰も言うことを聞いてくれないんだ!」



「うわぁあぁあ!追って来た!!!怪物だ!!!」


「もたもたしてるからだ!もうおしまいだ!」

「殿下がひきとめるからですよ!」



『グルグルグル…』

かぱっと怪物の口が開く。



「離れて!!!」


どこからか凛とした少年の声が響く。



怪物の口に向かって、光が降り注ぐ。



『グ………キュウゥ』




怪物の体は、徐々に小さく、岩のようだった肌はツルツルに、黒から白に変わっていく……。


「もう大丈夫ですよ。怪物はいなくなりましたから。」




「あ、あなたは……!」

「おまえはっ!嘘だ!死んだはずじゃ!!!」




上空に浮かぶ光の翼を生やした美しい少年。

その少年のもとへ、怪物だった白い竜は嬉しそうに飛んでいく。

よくみれば、既に2体の白竜が近くを舞っていた。


銀髪に青い目、その容貌は先代の国王の色で。
容貌もよく似ていて。

なにより、3歳以降全く表に姿を現さなかった殿下が大きくなれば今頃はこうだろうという姿をしている。



「キシリッシュ様!キシリッシュ様ですよね!私は騎士団長のピエールです!」
騎士の中で最も位が高く、古株で、幼いキシリッシュを知っていた黒ひげの騎士団長が駆け寄った。


「キシリッシュじゃないよっ。キシリー商会のキシリーだよ!そういうことにしといて!」

「わかりました。死んだことにしないと命を狙われるんですね。」


「ざわ。ざわ。それじゃあ病弱とかいうのも嘘で、殿下はずっと閉じ込められて…!?」
「ヒッ!」
騎士たちがざわめき、ハッカを睨んだ。

「とにかく、もう怪物はいないから!川下のねぐらに住んでいた国の守り神の聖獣が川を汚されて精神汚染で怪物化しただけだから!金輪際、公害を出さないようにね!自然は壊れたら簡単には戻らないんだから!」


「公害って……。そういえば最近原因不明の病気が流行って大量に死者が出なかったか…?」

「垂れ流しって、そういえば王家がなんか工場立ててたな。変な液体や臭いガスがそこから出てたって…。」

「つまり、全部原因は王家!?」


「今回だけサービスで浄化しとくから!もし公害で苦しんでる人いたらキシリー商会の支部からポーション配るから飲ませてね!身分差別したら許さないからね!人の命に貴賤はないっていっても貴族にはよくわからないだろうけど、国民あっての国なんだからね!」


「ああっ!待って!貴方こそ本当の王!」

皆が止める間もなく、キシリッシュはどこかへ行ってしまった。




「誰が無学だって?キシリー商会の会頭の発明王なんじゃないか。」

「思いやりもあるし。」

「あんなに強いし。」

「大体めちゃくちゃ元気じゃないか。」



「この件が片付いたら断罪だ。ハッカをとらえろ!生きていたらあの夫婦もな!」


「きさま!不敬だぞ!!!」


「黙れ!貴様らは国家反逆罪だ!」


ハッカの栄光はどこへ。騎士たちに拘束され、消火された城の跡地へ引きずられていく。

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