魔法の勉強に没頭したいので、溺愛はお断りです!

月空ゆうい

文字の大きさ
1 / 3

1.学園に行きたい

しおりを挟む
「フランソワ!またそんな本を読んで!」

 お母様の怒鳴り声が鳴り響く。私の肩がビクッと震える。
 お母様はスタスタとこちらへ来て本を取り上げる。
「またそんなわけのわからない文字の魔法書を・・・」
 ぶつぶつと文句を言ってくる。

「だって・・・」
「だってじゃありません。女性のすべきことは魔法などではなく、裁縫やダンスですよ。」
 女性だって、聖女様のように魔法で活躍している人だっているのに・・・。という言葉は呑み込む。
 分厚い読みかけの魔法書をうらめしく眺めて、途中で辞めた裁縫を始める。

 つまらない。どうして、女の子に産まれたからって、魔法をしちゃいけないの?どうして許してくれないの?  
 子供ながらにそう思っていた。


------------


 それから月日は流れ、私は16歳となった。そして、

「行ってきます!」

 みんなに見送られ、私は学園を目指した。
 その学園は魔術、剣術、武術など、それぞれに特化した勉強をすることができる。
 私はもちろん、魔法だ。ずっとこの日を楽しみに待っていた。

 本当は入学できないはずだった。
 入学したいとお願いしても、過保護なお母様とお兄様に猛反対される。
「あなたはまだそんなこと言って。」
 とお母様には呆れて言われ、
「学園は野蛮だ!なんて行かないほうがいい!家にいてよ!」
 絶対行かないで、とお兄様に説得させられる。

 諦めた方がいいのかな・・・。


 そう思ってたある日だった。
 私はとある噂を聞いた。
「同じ歳の女の子が剣で男子に勝った」と。
 
 その女の子を見たくて、お願いして連れて行ってもらった。
 お父様の職場にしか行ったことない私は、初めての闘技場だった。
 そこで、戦っている彼女を見た。

「すごい・・・」

 感動した。すごいという言葉しか出なかった。
 魔法以上に、男が圧倒的に強くて女は出る幕がないと思われている剣というステージで、堂々と勝負をしている。
 彼女は輝いていた。他の誰よりも。

 彼女は自主的に剣を始めたと聞いた。そして努力し、確かな実力を得た。
 私もしたいことをしたいと言い、極めたい。魔法を勉強したい。

 そう決めた私は両親を説得した。
 私の諦めの悪さを見てか、最終的に「Honorなら許そう」と言ってくれた。
 きっと、私がHonorになれるわけないと思っていたのだろう。
 それはそうだ。Honorっていうのは、魔術科、剣武術科、戦術科、国際科それぞれの学科で1人ずつと普通科で1人、合計5人のみの優秀な生徒にしか与えられないのだ。
 
 でも、ようやく勉強できるチャンスだ。私はがむしゃらに頑張った。勉強に魔術。そして、ちゃんとダンスや裁縫も。

 魔術は主にお父様から。
 お父様は王室の魔法支部長をしている。魔法支部長と言っても、魔法書を読んで、新しい魔法を作って、魔法事件の解決をしてるだけだが、結構偉い人なのだ。

 いつも優しかったお兄様は、私が学園に行くことに大反対だった。お兄様が学園に行く最後の日まで「学園には来ないでくれ。」と言われた。
 お兄様が言いたいこともわかる。私のことを心配して言っていることもわかってる。いろんな人がいて、大変なことも。でも、私は行きたい。
 だから努力をした。そして、

「お父様!お母様!受かったわ!Honorよ!」

 お父様はとても喜んでいた。
 お母様は驚いたり、寂しそうにしていたけど、最後は「おめでとう。」そう言って送り出してくれた。





「お嬢様、到着いたしました」
「えぇ、ありがとう」
 学園のある王都に降り立つ。

 明日が入学式で、今日は学校周辺でお兄様と会う約束をしている。
 あたりを見渡すと「フランソワ!」
 私の名前を呼ぶ声が聞こえる。

「お兄様!」
「フランソワ、来ちゃったんだね。」
「来ちゃいました。」

 お兄様の言葉を待つ。お母様以上に反対していたお兄様だから、帰れ!って言われるかも。どうしよう。

「・・・よく頑張ったね。おめでとう。」
 少し認めたくなさそうに、けれど笑顔で言ってくれる。
「ありがとうございます!」
 お兄様に祝ってもらえて、とても嬉しくなった。

「でも、やっぱり心配だよ。」
 そういうと思って、考えて来たことを一つ提案する。
「私、男になろうと思ってるんです!」

 お兄様が時間が止まったように固まる。
 
「・・・フランソワ?それは、どういうこと?」
「私は男として学園生活を送るのです。」

「・・・どうして?」
「お兄様が心配しているのは、出会い目的の女子生徒による蹴落とし合い。何も考えていない男子生徒によるふしだらな行為。女なのにHonorであるという批判。これらの心配を取り除くことが可能なのは、男子生徒に紛れることだと考えました。」

 お兄様は早口で話す私を呆然と見つめる。
 
「だか、学園の先生達は?」
「もう許可を取りました。」
 先生達も驚いていたが、「男子生徒の服を着て名前をフランにするだけです」と言ったら「まぁいいか」みたいに許可してくれた。この学園ゆるいな。

「でも、男装って体つきは・・・」
「魔法でどうにかなりますわ・・・ほら!」
 髪と胸に魔法をかける。空間魔法と光の反射を利用し、見えなくなる。

「これで制服着たら少年に見えますよね?」
「まぁ、そうだね。」

 お兄様のもう一声を待つ。

「本当、フランソワには敵わないよ。考えてくれてありがとう。」
 お兄様の許可が降りた!

「よかったです!それから、学園内ではフランと呼んでください!」
「わかったよ、フラン。」
「はい!」

 フランソワーーーーいえ、フランは満面の笑みで微笑んだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ちなみに、入学試験は現世のように落ちる・落ちないというのはほとんどありません。そのため、優秀な人は優秀ですが、そうでない人も多くいます。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

借金まみれで高級娼館で働くことになった子爵令嬢、密かに好きだった幼馴染に買われる

しおの
恋愛
乙女ゲームの世界に転生した主人公。しかしゲームにはほぼ登場しないモブだった。 いつの間にか父がこさえた借金を返すため、高級娼館で働くことに…… しかしそこに現れたのは幼馴染で……?

強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!

ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」 それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。 挙げ句の果てに、 「用が済んだなら早く帰れっ!」 と追い返されてしまいました。 そして夜、屋敷に戻って来た夫は─── ✻ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

処理中です...