本について

まろ蔵

文字の大きさ
279 / 618

「クスノキの番人」(東野圭吾著:実業之日本社)

しおりを挟む
日本を代表するエンターテイメント作家・東野圭吾さんの最新刊。本作は、ミステリーではなく、氏のもう一つのライフワーク、心を震わせるハートフルストーリー。
「秘密」「時生」「ナミヤ百貨店の奇蹟」に続く感動巨編だ。

主人公は、不幸な境遇の青年・直井玲斗。孤独に生きる彼には頼れるものは何もない、

不当な理由で職場を解雇され、その腹いせに犯した罪で逮捕されて送検、起訴を待つ身となってしまう。
そんな彼の前に突然弁護士が現れ、物語は動き始める。

弁護士の依頼人に全く心当たりはないが、その人の命令を聞くならば、釈放してくれると云う条件が提示される。
刑務所行きか服従か、究極の選択。
コイントスに運命を賭けた玲斗は弁護士に従うことにする。

依頼人の待つ場所へ連れで行かれた彼は、年配の女性に引き合わされる。
驚いたことに千舟と名乗るその女性は実の伯母であると玲斗に告げる。
将来の展望が何も無い玲斗に彼女が申し付けたのは、「クスノキの番人」という、不可解極まる謎の仕事だった、、、。

果たして、玲斗はどうなるのか?

ーーーーーーーー

鎮守の杜と云う言葉があるが、古来よりクスノキを御神木として祀っている神社は多い。

樹齢百年はおろか1000年以上を数える大木も現存するこの樹木は時を超え数多の人々の営みを眺めて来たに違いない。

玲斗が仕える事になった月郷神社のクスノキも直径が五メートルはあろうかと思われる大木。
大樹の脇には巨大な穴が空き、幹の内側には広さ三畳ほどもある洞窟があり、希望者は予約して、この中で蝋燭を灯し祈るのだ。

遥か昔よりこの地を守って来た聖なるクスノキの大木に神秘なる力が宿っていたとしても、なんの不思議も無いだろう。
玲斗は、様々な人と出会い、時を共にして学び、人間としての成長を遂げて行く、、、。

祈念、預念、受念。
大切な人への想いは残り伝えられる。
数々の想いがクスノキの霊力によって蘇り、人々の心を穏やかに溶かしてゆく。

クスノキの杜で森林浴をしたかのような清々しい読後感。

今は、この温かなクスノキの物語が、一人でも多くの方に伝わる様に、祈念している。

(小説現代2020年7月号)
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

真面目な女性教師が眼鏡を掛けて誘惑してきた

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
仲良くしていた女性達が俺にだけ見せてくれた最も可愛い瞬間のほっこり実話です

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

処理中です...