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「我、過てり」(仁木英之著:角川春樹事務所)
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古代中国史から、時代小説、ファンタジーにミステリーと何でもこなす天才小説家・仁木英之さん会心の書き下ろし最新刊である。面白く無い筈がない。此度は、戦国を駆け抜けた武将たち四名のアンソロジー小説である。
テーマは〈しくじり〉。各短編の要所をおおよそまとめると次の通りである。
村上義清「天敵」合戦巧者の義清は甲斐の虎・武田信玄を幾度もはね返しながらも、何故全てを失ったのかーー勝って兜の緒を締めよ。伊達政宗「独眼竜点睛を欠く」言わずと知れた奥羽の雄・政宗は太閤豊臣秀吉の惣無事を無視し続けるが果たして竜は鼠の器に勝てるのかーー画竜点睛を欠く。岩見重太郎「土竜の剣」大坂夏の陣で大失態を犯し橙武者と揶揄される薄田兼相(岩見重太郎)は太陽になれるのかーー正月飾りの橙武者。立花宗茂「撓まず屈せず」鎮西一の豪勇・立花宗茂〈義〉の生涯。「忠義」と「節義」の重さはいかにーー枝葉末節に捕らわれ大局を見失う。
現代に名を残す名将の共通項は、栄華を極めながらも道を誤り失墜し、それでもそこから教訓を得て這い上がるという。そう、彼らは現代にも通じる戦国の世の「しくじり先生」なのだ!
胸を打つ数々のエピソードが満ち溢れ、教えとなって心に響く。このような着想をもって短編集を書けるとは、やはり仁木英之さんは、天才と言える。
柴田勝家『レギオニス』(中公文庫)の時も、現代の中間管理職に繋がる人生訓と悲哀を感じたが、今回の四名のしくじり方は、今を生きる万人の参考になること間違いない。もちろん上質のエンターテインメントとしても最高級である、心して紐解こうではありませんか。
蛇足ながら、表題の『我、過てり』は古代中国の書「礼記」による孔子の門人・子夏の言葉であるらしい。古来より人は過ちを犯す生き物なのだが、本書の主人公たち同様、したたかに時代を繋いでいく。本作は短編集でありながら、四作とも読み応えたっぷりの長編に匹敵する満足感をもたらしてくれる教訓に満ちた作品集である。
(小説現代2021年3月号)
テーマは〈しくじり〉。各短編の要所をおおよそまとめると次の通りである。
村上義清「天敵」合戦巧者の義清は甲斐の虎・武田信玄を幾度もはね返しながらも、何故全てを失ったのかーー勝って兜の緒を締めよ。伊達政宗「独眼竜点睛を欠く」言わずと知れた奥羽の雄・政宗は太閤豊臣秀吉の惣無事を無視し続けるが果たして竜は鼠の器に勝てるのかーー画竜点睛を欠く。岩見重太郎「土竜の剣」大坂夏の陣で大失態を犯し橙武者と揶揄される薄田兼相(岩見重太郎)は太陽になれるのかーー正月飾りの橙武者。立花宗茂「撓まず屈せず」鎮西一の豪勇・立花宗茂〈義〉の生涯。「忠義」と「節義」の重さはいかにーー枝葉末節に捕らわれ大局を見失う。
現代に名を残す名将の共通項は、栄華を極めながらも道を誤り失墜し、それでもそこから教訓を得て這い上がるという。そう、彼らは現代にも通じる戦国の世の「しくじり先生」なのだ!
胸を打つ数々のエピソードが満ち溢れ、教えとなって心に響く。このような着想をもって短編集を書けるとは、やはり仁木英之さんは、天才と言える。
柴田勝家『レギオニス』(中公文庫)の時も、現代の中間管理職に繋がる人生訓と悲哀を感じたが、今回の四名のしくじり方は、今を生きる万人の参考になること間違いない。もちろん上質のエンターテインメントとしても最高級である、心して紐解こうではありませんか。
蛇足ながら、表題の『我、過てり』は古代中国の書「礼記」による孔子の門人・子夏の言葉であるらしい。古来より人は過ちを犯す生き物なのだが、本書の主人公たち同様、したたかに時代を繋いでいく。本作は短編集でありながら、四作とも読み応えたっぷりの長編に匹敵する満足感をもたらしてくれる教訓に満ちた作品集である。
(小説現代2021年3月号)
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