年下上司の溺愛は甘すぎる

春野カノン

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誰かの気配2

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思えば夏樹と真斗くんは幼なじみと言っていたし、そんな二人が一緒の会社で働くなんてなんだかとってもエモい。
夏樹が描いたデザインを真斗くんが作製する、なんて素敵な話なんだろう。


「瀬奈さんと冬木さん⋯よければ、先にお昼どうぞ」

「うん、それじゃお先にいただくね」


私と真斗くんは一足先に一緒に休憩スペースでお昼をとることにした。
テーブルを挟むように対面に座り、一緒にスマートフォンを覗きデリバリーするためメニューを見る。


お昼代も会社が払ってくれるため持ってくる必要がないのはすごくありがたく助かっていた。
こういう所は個人の会社のメリットだと思う。


「何食べます?」

「うーんどうしようかな⋯あ、この海鮮丼にしようかな」

「あ、いいすね。俺ならこのサーモンの親子丼にします」


そのまま真斗くんが私の分もまとめて注文してくれたため、私はお湯を沸かして完備されているインスタントのお味噌汁やお茶の準備を始める。
しばらくするとメニューが届くと通知が来たため、真斗くんが外まで取りに行ってくれた。


「瀬奈さん届きましたよ」

「ありがとう。ちょうどお茶も入れ終わったよ」


テーブルを囲み頼んだ海鮮丼を広げさっそくいただく。
私が頼んだ海鮮丼は色んな種類の魚が乗っており、どこを食べても味が違って楽しい。


大きな口で海鮮丼を口に運んでいるとジーッと真斗くんに見つめられていることに気づく。
無我夢中で食べ進める姿が滑稽だったのだろうか、と咄嗟に口に手を当てて上品さを装う。


「瀬奈さんて、夏樹と一緒に住んでるんすよね」

「え、あ、うん。居候です」

「夏樹から誘ってきたんです?」


私が夏樹と住んでいることを知っていたはずだが、この一ヶ月一切この話に触れてこなかったのに突然のことで思わず動揺してしまう。
何か思考を巡らせているのか一点を見つめて黙り込む真斗くん。


「どうかした?」

「いや⋯あの、悪いことは言わないんであいつのことは好きにならない方がいいですよ」

「えっ、どういうこと?」


どういう意味で真斗くんが私に忠告しているのか全然理解が追いつかない。
好きにならない方がいい、それは私のために言っていることなのだろうか。


「多分、瀬奈さんたちってセフレでしょ?」

「え⋯⋯っ」

「どういうつもりで瀬奈さんを家に住まわせてるのかは俺にも分からないですけど、あいつの心のどこかには今でもある人がいるんじゃないかなって思ってます」

「⋯それって、好きな人、ってこと?」

「それは分かりません。好きとかそういう感情なのかどうかも確信はないですし、ただの幼なじみの勘ってやつです。だからあいつのこと好きになっても辛いだけかもしれないですよ」


幼なじみの彼が言うのだからきっとそれは間違っていないんだろう。
私だって沙也加のことでなんとなくの勘が働く時がある。


「⋯⋯なんで私が夏樹を好きになるのを前提に話してるの?」

「だってあいついいやつじゃないですか。一緒に住んでたら分かるんじゃないです?」

「うん⋯確かに」

「俺は瀬奈さんが来て一ヶ月、よりいい職場になったからこそ今のこの構築されつつある関係を壊したくないんです」
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