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はじめてのお給料
はじめてのお給料6
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翌朝、村の門に集まった三人は、足早に進んだ。
ワイルドドッグの出てくる方向へ一直線に。
もはや、剥ぎ取りは行わない。そのため、進行はスムーズだった。
「あっ、あったわ。ここが昨日、私達がたどり着い場所ね。」
レイナは木に結んだ紐をほどいてポケットにしまう。
「なら、ここからが本番ってことね。」
ソーマは言い、レイナは続けた。
「リースさん、大丈夫ですか?」
息を乱している、リースは答える。
「は…い。大丈夫です……。今日はポーションを多めに持ってきたので、それを飲みます。」
そう言いつつ、リースは小瓶に入った液体を飲み干した。
たちまち、リースから疲労の色が消え、乱れていた呼吸も直ぐに整った。
「マジックアイテムって本当に凄いよな。」
ソーマはそう口にすると、レイナはうんうん腕を組みながら頷いている。
『マジックアイテム。魔力の込められた人間が作ったアイテムの事。その用途は様々で、ポーションのように体力や傷、疲労回復をさせる物などもある。』
リースが回復した所をみて、三人は更に突き進む。
やはり、ワイルドドッグは一定方向からしか出てこない。
ワイルドドッグをなぎ払いながら進んでいたソーマが足を止め、レイナ達を制止させる。
レイナ達は止まって見た光景に声を失う。
小さな箱のような物からワイルドドッグが産み出されていると言えばいいのだろうか?ある程度の時間は掛かるものの、次々とワイルドドッグはそこから排出されていた。これなら、いくら狩っても数は減らないはずだ。
「あれは!?何なのですか!?」
口を開いたリースは驚愕する。
「……マジックアイテムなのかしら?私もあんなの見たの初めてだわ。」
「これは村長に報告を先にした方がいいのでは!?」
「でも、このままこの機会を逃せば人に被害が及ぶかもしれないし、この場所にアレがこのまま残っているとも限らない。村長の指令は、原因の排除とも言っていたし、ここは破壊して、その残骸を持ち帰るべきだわ。」
「あれを壊せばいいのかな?」
レイナとリースのやり取りを聞いて、ソーマは言う。
「そうね。」
レイナの答えにリースも頷く。
「なら、壊してくるよ。」
ソーマは走りだし、ワイルドドッグを切り払いながら、箱を一刀両断しようとした。
その瞬間、刃は突然現れた魔法陣に阻まれ、魔法陣から何物かが召喚される。
ソーマは跳び引き、レイナ達はソーマの所へ駆け寄る。
「え!?うそ!?そんなはずは……!!」
リースは言葉を失う。
黒い煙みたいな物は塊になり、その姿を現す。
ワイルドドッグの祖先にもあたる魔獣、『グランウルフ』
外見はほぼワイルドドッグと変わりない、しかし、毛色は赤く、口からは煙りを吐いている。そう。グランウルフは炎を吐くのだ。当然、速度、破壊力もワイルドドッグの比ではない。
「レイナ、リースさんをよろしく。」
「え!?ソーマさん!無理ですよ!!人間が一人で勝てる相手じゃない!逃げましょう!!」
レイナはそう言うリースを引き寄せ、後退する。
「大丈夫。ソーマなら心配ないから。」
「でも!!」
「ソーマは封印の巫女の守り人よ?これくらいでは、動じないわ。それに、私の夫となる人よ。だから大丈夫。」
レイナの根拠の無さそうな自信にリースは戸惑ったが、その目を見て押し黙った。
(この人にも余裕なんてないだ!でも、自分の夫となる人を全力で信じているだ。なら、私も信じなきゃ!!私も見届けなきゃ!!)
リースは少しズレた眼鏡をかけ直して、ソーマの戦いを見つめた。
ワイルドドッグの出てくる方向へ一直線に。
もはや、剥ぎ取りは行わない。そのため、進行はスムーズだった。
「あっ、あったわ。ここが昨日、私達がたどり着い場所ね。」
レイナは木に結んだ紐をほどいてポケットにしまう。
「なら、ここからが本番ってことね。」
ソーマは言い、レイナは続けた。
「リースさん、大丈夫ですか?」
息を乱している、リースは答える。
「は…い。大丈夫です……。今日はポーションを多めに持ってきたので、それを飲みます。」
そう言いつつ、リースは小瓶に入った液体を飲み干した。
たちまち、リースから疲労の色が消え、乱れていた呼吸も直ぐに整った。
「マジックアイテムって本当に凄いよな。」
ソーマはそう口にすると、レイナはうんうん腕を組みながら頷いている。
『マジックアイテム。魔力の込められた人間が作ったアイテムの事。その用途は様々で、ポーションのように体力や傷、疲労回復をさせる物などもある。』
リースが回復した所をみて、三人は更に突き進む。
やはり、ワイルドドッグは一定方向からしか出てこない。
ワイルドドッグをなぎ払いながら進んでいたソーマが足を止め、レイナ達を制止させる。
レイナ達は止まって見た光景に声を失う。
小さな箱のような物からワイルドドッグが産み出されていると言えばいいのだろうか?ある程度の時間は掛かるものの、次々とワイルドドッグはそこから排出されていた。これなら、いくら狩っても数は減らないはずだ。
「あれは!?何なのですか!?」
口を開いたリースは驚愕する。
「……マジックアイテムなのかしら?私もあんなの見たの初めてだわ。」
「これは村長に報告を先にした方がいいのでは!?」
「でも、このままこの機会を逃せば人に被害が及ぶかもしれないし、この場所にアレがこのまま残っているとも限らない。村長の指令は、原因の排除とも言っていたし、ここは破壊して、その残骸を持ち帰るべきだわ。」
「あれを壊せばいいのかな?」
レイナとリースのやり取りを聞いて、ソーマは言う。
「そうね。」
レイナの答えにリースも頷く。
「なら、壊してくるよ。」
ソーマは走りだし、ワイルドドッグを切り払いながら、箱を一刀両断しようとした。
その瞬間、刃は突然現れた魔法陣に阻まれ、魔法陣から何物かが召喚される。
ソーマは跳び引き、レイナ達はソーマの所へ駆け寄る。
「え!?うそ!?そんなはずは……!!」
リースは言葉を失う。
黒い煙みたいな物は塊になり、その姿を現す。
ワイルドドッグの祖先にもあたる魔獣、『グランウルフ』
外見はほぼワイルドドッグと変わりない、しかし、毛色は赤く、口からは煙りを吐いている。そう。グランウルフは炎を吐くのだ。当然、速度、破壊力もワイルドドッグの比ではない。
「レイナ、リースさんをよろしく。」
「え!?ソーマさん!無理ですよ!!人間が一人で勝てる相手じゃない!逃げましょう!!」
レイナはそう言うリースを引き寄せ、後退する。
「大丈夫。ソーマなら心配ないから。」
「でも!!」
「ソーマは封印の巫女の守り人よ?これくらいでは、動じないわ。それに、私の夫となる人よ。だから大丈夫。」
レイナの根拠の無さそうな自信にリースは戸惑ったが、その目を見て押し黙った。
(この人にも余裕なんてないだ!でも、自分の夫となる人を全力で信じているだ。なら、私も信じなきゃ!!私も見届けなきゃ!!)
リースは少しズレた眼鏡をかけ直して、ソーマの戦いを見つめた。
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