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完成!新店舗!!
完成!新店舗!! 7
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「うん。うまか。」
揚げたての天ぷらを頬張り噛み締めたあと、頷き、ゼウス様は満面の笑顔を浮かべ、
「本当に美味しいですね。鬼クジャクが揚げると
、こんなに美味しくなるなんて初めて知りました。」
口に手をあて、ラファエルさんは驚いた表情を浮かべている。
どうやら、ラファエルさんの口にもあったようだ。ゼウス様は、前、家の屋台に顔を出していたからな。揚げ物は大丈夫だろう。って言うか、話を聞いた限りでは人間界にもたまに赴いていたのかもしれない。うどんがどうこう言っていたから。
「お口にあって、良かったです。」
「久しく人間界にも行けとらんけん、うどんば食べるのも久しぶりたい。こん世界は、パンとかサラダばかりやけん、嫌気のさしとったばってん、ヤマトん所で色んな料理ば食べられると思うと、こん世界も捨てたもんじゃなかね。」
ゼウス様はうどんをすすり、鬼クジャクの天ぷらにまた手を伸ばす。
「そうだね。新しく色々な料理が食べられる事にかんしては、僕も同意見だよ。それで聞きたい事があるんだけれど、ヤマト君はこの先どうするんだい?店も大きくなった事だし。」
口振りからすると、ありがたいことに、魔王様もこれから、ちょくちょくと来店してくれるのだろう。なので、これからの事が気になるようだ。
「そうですね。酒も出せるようになりましたし、営業時間は長くなると思います。この世界の酒場の基準と同じ、オーダーストップは23時、閉店は24時でしょうか?開店はその分、前の店より遅く11時開店にしようと思います。」
この世界に、24時間営業のファミレスのようなレストランなどはない。遅くまでやっているバーのような店はあるが、出す料理は元の世界のようにお洒落な物もない。大ニワトリのから揚げやエビフライを出す店は増えてきたが、どこでもある訳でもない。早ければ、20時には閉店している飲食店もあるくらいだ。
それに、元々、サラダやパン、ケーキが主流の世界だから、酒にあう料理が多いわけではない。ナッツ類やチーズくらいだろうか?酒のつまみになる物と言えば……ワインに果物をつまんだりするからな、この世界……まあ、美味いんだけどさ。特にメロンを半分に切って、種を取ってそこにブランデーを入れたやつなんて、最初はびっくりしたが、美味いんだよな……。
「それじゃあ、冒険の方はどうするんだい?前のお持ち帰り専門店のようにはいかないだろう?それとも、同じようにするのかい?」
魔王様の指摘はごもっともだ。
前の店の時は、俺のわがままで食材調達、新食材探しの為に、一日おきの営業をしてきた。
テイクアウト専門の店で、かなり小さかったし、女王様から頂いた店だったから、家賃もローンもなかった。
それが今度は、元の世界の時の店と比べても各段に大きな店になってしまったのだ。
最初、これほど大きな店にするつもりはなかったんだ。俺とイリア、ターニャさんにララ、それと後々雇うであろう従業員が暮らす居住スペースが二階にくらいの建物にする予定だった。それでも、元の世界の店よりかなり大きく、テンションは爆上がりしたのだけれど……。
町外れとは言え、この首都に似合わない膨大な土地。それと信じられないくらいに安い地価。今思えば、その事を知った時から自分でも頭がおかしくなっていたのだろうと思う。エリも増えた辺りから、あ~でもない。こ~でもない。と言っているうちに計画は、あれよあれよと大きくなった。店はさらに広くなり、二階の住居スペースは個室へ。元々、住宅は別に建てる計画はあったものの、別に建てた住居を含めれば、その広さは貴族の邸宅並みのなってしまったのだ。
そして、そうなると、かさむ借金の額。それに、税金の額が馬鹿にならない。
この世界でも当たり前に、借金には利子が掛かるし、税金も建物の広さや土地の広さで変わってくる。この国の税金は良心的ではあるし、借金も大工衆達と仲良くなっていたおかげで改築にも快く応じてくれたし、かなり工賃などまけてもらっている。それでも額が額だ。イリア達が前に稼いできてくれたお金や、元の家を売ったお金を借金返済へあててくれたが、それでも残ってしまっている。今の状態のままだと、一日おきの営業では借金も返せないし、税金も払えない。ダンジョンには行きたいけど、週一の休業日に、ダンジョンへ赴くしかないだろう。イリアには怒られそうだが。
経営が安定し、従業員が増え、ララ達以外に料理を任せられる人が出来れば、ゆくゆくは2日間くらいダンジョン探索にあてたいものだ。
「そうですね。今のところは週一の休業日にダンジョン探索をやろうと思っています。従業員が増えて、店を任せられるようになって、安定してきたら、週2日くらい行けるのが理想ですかね。」
「そうか。でも、それはしょうがないね。これだけの規模の邸宅だ、税金もかなりのものだろうから。しかし、ヤマト君。週一とは言え、ダンジョンへ向かうなら武器が要るだろう?君達の武器は、ここにいるゼウスがダメにしたのじゃなかったかい?」
そうなのだ。魔王様には全てではないが、ゼウス様とあったことを話している。
ゼウス様との戦いで俺の麗月は折られ、ララの剣やアリシアの短剣などを失った。
特にララの剣は魔法との融和性が良いミスリル製。数千万エルウォンする程の高級品だ。現に、ララは勇者の役目を終え、勇者慰労金をほぼ費やし購入している。
そして、何より、ララのスキルである『魔法剣』は、聖剣以外にはミスリル製の物しか使えない。硬度やキレ味なら、オリハルコンなどが上らしいのだが、魔法との融和性が皆無なのらしい。
俺の麗月などは変わりの物を直ぐに用意出来るだろうが、ララの剣に関してはかなりの時間が必要になる。普通のダンジョン探索なら、魔法剣なしでもララの実力なら問題はないだろう。けど、この世界には『神々の気まぐれ』と言う、とんでもイベントがある。装備は万全にしておかなければならない。
「ふふん。その事なら心配なかよ。」
鬼クジャクの天ぷらとうどんをペロリと平らげ、この件の当事者であるゼウス様は何故か鼻高々な様子で口を開いた。
「何を偉そうにしているだい?ゼウス??この事に関しては、君のせいだろう?」
「そりゃ、しょうがなかじゃなかね?事の成り行き上、そうなってしまったとやけん。」
魔王様の言葉にゼウス様は悪びれもせずに言う。そして、
「だけん、ちゃんとしたもんば引っ越し祝いとして持って来たとたい。」
「ちゃんとした引っ越し祝い?どこにあるんだい?そんな物。」
「なんね……。そんな事も忘れたと?少し、下界に染まりすぎちゃおらんか??」
ゼウス様は少し呆れたように魔王様に言い、腰を上げ、一歩、後ろへ下がり、左手を横に突き出す。
そして、そこで俺は信じられない物を目にした。
……え?嘘だろ??ゼウス様の左手の肘から先が消えた??
そう、ゼウス様の左腕が元から無かったように消えたのだ。
その姿を見て、イリア達も驚愕している。
しかし、魔王様は何かを思い出したように呟く。
「アイテムボックス……。」
「そぎゃんたい。神だけに許された権能。アイテムボックスたい。」
アイテムボックス?あのゲームでよくあるやつ??俺にはただ、左腕が消えたようにしか見えない。
「よっと。まずは、これたいね。」
ゼウス様は左腕が消えた空間から引き抜いた。
そこには、見たことのない白銀の金属の大きな塊が握られていた。
「……ミスリル。」
ララはその金属を見て、ぼそりと呟く。
「そぎゃん。ミスリルのインゴットたい。これだけあれば、ララちゃんの剣の他に短剣数本は打てるはずたいね。予備に使ってもよかし、アリシアちゃんの武器にあててもよかと思う。はい、どうぞ。」
ゴトンと、テーブルの上には重たい音がし、軋む音がした。
そして、更にゼウス様は続ける。
「まだ、これだけじゃなかよ。」
ゼウス様はまた左腕を何もない空間に突っ込み、引っこ抜く。
そして、
「これが、本日の目玉。わし特製の槍たい!」
自信満々に一本の槍を掲げた。
うお!何だあの槍は?!刀身……確か、穂と言ったか?薄く金色に光る穂が蛇矛みたいに?いや、これは雷をイメージしているのか?カクカクと折れ曲がっている。何やら装飾も施され、綺麗だ。
「はい。こん前は色々と迷惑を掛けてすまんかったね。ヤマト。ほい。お詫びのしるしじゃなかばってん、新築祝いとして受け取ってくれんね。ゼウス特製『雷槍・ケラウノス』」
ゼウス様はそう言い、槍を俺に渡す。
その姿を見て、ラファエルさんが唖然としていた。
「ゼウス様が……謝るなんて……。しかも、手製の品を……。」
どうやら、ゼウス様が謝る事や何か手製の物を贈る事は珍しいようだ。
しかし、それに魔王様が難色を示す。
「おい。ゼウス。君、これは少しやり過ぎじゃないかい?神が作った物なんて、聖剣レベルじゃないか……ヤマト君が変な事に巻き込まれたらどうするんだ?」
「なん。そりゃ、大丈夫たい。わしもそぎゃん馬鹿じゃなかよ。聖剣みたいな事はしとらんけん。わしの槍と同じ銘ば刻んどるばってん、性能は雲泥の差がある。あくまでも人が使える武器たい。こん世界の鍛冶師が打てる『最高の物』程度の武器にしとるから安心しなっせ。念じれば、雷属性の攻撃ば出せるばってん、魔原石ば組み込んどるけん、雷の特殊効果は使えば魔力は普通にきれるし、ちゃんと研がんと切れ味も落ちる。折れる事も普通にあるけん、普通の武器たい。魔王が心配するような性能もなければ、素材自体もミスリルやこん世界でも手に入る物やけん、これば複製しようと思えば出来るけん、わしが作った事もバレはせんたい。」
「……それなら、いい……か?」
魔王様にしては、珍しく歯切れが悪い。それだけ、俺達の事を心配してくれているのか?悩みながらも納得した表情を浮かべ、ゼウス様との話は続く。
「ところで、魔王の引っ越し祝いは、そのカゴに入ったフルーツだけね?」
周りを見渡して、何故か勝ち誇ったような目でゼウス様は魔王様にたずねた。
「ああ。持ってきた物はフルーツだけだよ。」
「はん!なんね。そんだけ!?魔王たる者が引っ越し祝いに、フルーツ盛り合わせって。ありふれた、しけたもんば持って来たね!!」
ゼウス様はあからさまに語尾を強める。
なんか、まるで……自分が魔王様より、立派な物、優れている物を持ってきた。と俺達に自慢している?アピールしているようだ。
「別にいいじゃないか?果物は美味しいだろう?この世界の定番さ。これが普通だよ。」
どうやら、魔王様は意に介さないようだ。
「定番って、お前……。恥ずかしか~。お前、魔王やろ?こん世界ば創造した一人ばい?言わば、この世界の顔と言ってて良い存在ぞ?お前は??……妹と天界ば出て……下界に下りて……もっと出来る事もあるやろうに……それが定番の果物の盛り合わせってあるか。普通ってあるか?恥ずかしか~。こりゃ、恥ずかしかよ~。落ちぶれたね~。魔王も。こげんかもんしか思い浮かばんとは。わしば見んね。こん世界では最高峰の武器ば持って来たとぞ?クックック。グワ~ッハッハ!」
そう高らかに笑うゼウス様の声には先ほどとは違い少し寂しさのようなものが混ざっているように俺には思えた。
それに、魔王様に妹?初めて聞いたけど??俺の聞き間違いか?
確認しようと俺が口を開こうとした、その時、
「別に落ちぶれてもいいけど、何か勘違いしていないかい?ゼウス??」
遮るように魔王様は、静かに口を開いた。
その静かな声にゼウス様も高笑いを止め、魔王様を見据える。魔王様の雰囲気が少し変わったからだ。
「何ね?勘違いって??」
「勘違いは勘違いだよ?簡単な勘違い。」
「だから、何ね!?」
「僕が持って来た物は、果物の詰め合わせだけだよ。物はね。」
「物……は?」
「そう。物は、果物だけ。でもね、僕がヤマト君の新築祝いに持参したのはそれだけじゃない。この子さ。」
そう言い、魔王様はレイブンさんの所に行き、肩に手を置いた。
え?!レイブンさん!?
呆気にとられている俺と同じように、ゼウス様も口をあんぐりと開けて固まっている。
ま、まさか……レイブンさんを引っ越し祝いになんて……それはあんまりじゃ?レイブンさんの意志もあるだろうし??
「お、お前……そ、そげんか屁理屈ばこねんでよかとぞ?」
「屁理屈?」
「そぎゃん。そん子、お前んとこのホムンクルスやろ??言わば、お前にとっては家族のようなもん。とってつけたように、連れてきたそん子ば引っ越し祝いってこじつけんでよかとぞ?わしが、いくら、こん世界で最高の物ば持って来たからっていって……正に、屁理屈やろうもん??」
「何を言ってるんだい?さっきも言っただろう?この子はモノじゃない。ただ、それだけの事さ。これだけ、大きな家。それに店。この先、ヤマト君の所に人手が要る事は火を見るより明らか。それなら、どんな魔道具よりも、この子の方がヤマト君の役に立つ。そう思ったから、この子をつくったんだよ。」
「で、でも……それは、やり過ぎじゃなかか?ホムンクルスやろが?こん世界で作り出せるんはお前だけやろ?!バランスブレイカーになるんやなかか?魔力も体力も……なんでんかんでんモリモリにしとるんやなかか?」
「それは大丈夫さ。能力はイーシャ達と変わらない。それに、僕が作ったホムンクルスは、僕が作ったダンジョン以外には入れないからね。」
「……。」
「まあ、でも……僕の作ったレイブンは、君の言うところの、この世界の最高よりも。少し上だけどね。僕にしか作れないし。この子を見たら誰もが僕が作った事が分かる。金で買える物じゃないから、手には入らない。君の作った槍とはわけが違うよ。この世界に住んでいる僕だから、誰にも文句は言われないしね。」
魔王様は珍しくゼウス様へ向かい、したり顔で満面の笑顔を見せた。
そうか。最初から意に介さなかったのはこの為だったんだ。
その顔を見え、ゼウス様はワナワナと震える。
「お、お前。何、勝ち誇った顔ばしよっとか?今からでん、あん槍に能力は付与するくらいはできっとぞ。お前んごつ、こん世界じゃ出来ん物も作れるとぞ!?」
「そんな事、出来るのは分かっているさ。でもね。それはそれで良いと思うけどさ……そんな事をしたら君が関与したって直ぐにバレて、ヤマト君に迷惑が掛かるよ?他の神がヤマト君に目をつけていいのかい?それは、君が望んだ事とは違うだろ??」
「ぐぬぬ。」
「まあ、僕は元々、君と競り合うつもりもなかっし、ヤマト君の現状を把握していたからね。変に君が突っかかってくるような事をするから、自分自身で恥をかくような事になるんだよ。ハア……これだから、性格の悪い見栄っ張りの神は……みっともない事、この上ないね。」
魔王様は、あからさまに溜め息をついて見せた。その姿を見て、ゼウス様はワナワナと更に激しく震えている。
何だか、魔王様も頭にきてたのだろうか?案外、元・神だから、魔王様も見栄っ張りなんじゃ?
俺がそんな事を思っている時、ゼウス様はスクッと立ち上がり魔王様の側に寄る。そして、
「ちょっと、ラファエルちゃん。こっちこんね。」
ラファエルさんを手招きして呼ぶ。
「はい。何でございますか?ゼウス様??」
食事を終えていたラファエルさんは立ち上がり、ゼウス様の元へ向かう。
「よしよし。こっち、こっち。」
ゼウス様は自分の立っていた位置と入れ替わるようにラファエルさんの後ろに並び、両肩に手を置く。
その状況に不思議そうに笑顔を浮かべながら、ラファエルさんは首を傾げた。そして、次の瞬間、俺達の目を疑うような光景が映し出される。
「ふん!」
ゼウス様はラファエルさんの肩から手を離し、ラファエルさんの頭上にある、天使の輪に手を掛け、天使の輪を掛け声と共に引っこ抜いたのだ。
「……え?」
ラファエルさんの現状を把握出来ていない声が響く。
「「「「「「ええーーーーーーっ!?」」」」」」
俺達は一様に、同じ声を上げる。
て、天使の輪が……取れた?!ってか、あれ、取れるのか?!どういう仕組みなんだ??
いやいや。それより、ラファエルさん、大丈夫なの??天使の輪が外されて、微動だにしないけど??天使の輪って大切な物じゃないの??
案の定、ゼウス様の手にある天使の輪はラファエルさんを包んでいた淡い光りを吸い取られているようだ。
そして、ラファエルさんを覆っていた全ての光りを吸い込み終わったのを確認し、ゼウス様は口を開いた。
「ふむ。よし。これで、ラファエルちゃんが天使やっとる事はバレんやろ。」
「……天使だって事がバレない?ゼウス、君は何をしたのか分かっているのかい??天使から輪を取り上げるなんて……。しかも、ラファエルちゃんは大天使だろう?!」
やはり、天使の輪には何かあるようで、魔王様はゼウス様のこの行動に腹を立てているようだ。それでも、ゼウス様は気にしてはいないようだった。
「知っとるよ。そんぐらい、神やったら誰でも知っとるやろが??天使から輪ば取るとどげんなるか。そうばってん?それがどぎゃんしたとか??大天使だろうが関係なか。わしは、わしがしたいようにしただけやけん。」
「君は何がしたいんだい?」
「ふん。わしがしたいようにするだけたい。……ラファエルちゃん、お前はわしが許可するまでヤマトん所で働け。よかね。分かったか?」
「まさか……君は……。」
「ふふん。これで、わしはお前には負けとらんやろ??天使ばい?しかも、大天使。それが地上で働くって、これ以上のもんはなかろうもん??前代未聞よ!」
「そんな下らない事で……。」
「下らなくはなかろうもん。やられっぱなしは、性に合わん。じゃ、そう言うこっで。ヤマト、後は頼んだばい。」
そう言い残し、ゼウス様は姿を消した。
え?俺に任せたって……どうすればいいの??ねえ?!ねえ!!
揚げたての天ぷらを頬張り噛み締めたあと、頷き、ゼウス様は満面の笑顔を浮かべ、
「本当に美味しいですね。鬼クジャクが揚げると
、こんなに美味しくなるなんて初めて知りました。」
口に手をあて、ラファエルさんは驚いた表情を浮かべている。
どうやら、ラファエルさんの口にもあったようだ。ゼウス様は、前、家の屋台に顔を出していたからな。揚げ物は大丈夫だろう。って言うか、話を聞いた限りでは人間界にもたまに赴いていたのかもしれない。うどんがどうこう言っていたから。
「お口にあって、良かったです。」
「久しく人間界にも行けとらんけん、うどんば食べるのも久しぶりたい。こん世界は、パンとかサラダばかりやけん、嫌気のさしとったばってん、ヤマトん所で色んな料理ば食べられると思うと、こん世界も捨てたもんじゃなかね。」
ゼウス様はうどんをすすり、鬼クジャクの天ぷらにまた手を伸ばす。
「そうだね。新しく色々な料理が食べられる事にかんしては、僕も同意見だよ。それで聞きたい事があるんだけれど、ヤマト君はこの先どうするんだい?店も大きくなった事だし。」
口振りからすると、ありがたいことに、魔王様もこれから、ちょくちょくと来店してくれるのだろう。なので、これからの事が気になるようだ。
「そうですね。酒も出せるようになりましたし、営業時間は長くなると思います。この世界の酒場の基準と同じ、オーダーストップは23時、閉店は24時でしょうか?開店はその分、前の店より遅く11時開店にしようと思います。」
この世界に、24時間営業のファミレスのようなレストランなどはない。遅くまでやっているバーのような店はあるが、出す料理は元の世界のようにお洒落な物もない。大ニワトリのから揚げやエビフライを出す店は増えてきたが、どこでもある訳でもない。早ければ、20時には閉店している飲食店もあるくらいだ。
それに、元々、サラダやパン、ケーキが主流の世界だから、酒にあう料理が多いわけではない。ナッツ類やチーズくらいだろうか?酒のつまみになる物と言えば……ワインに果物をつまんだりするからな、この世界……まあ、美味いんだけどさ。特にメロンを半分に切って、種を取ってそこにブランデーを入れたやつなんて、最初はびっくりしたが、美味いんだよな……。
「それじゃあ、冒険の方はどうするんだい?前のお持ち帰り専門店のようにはいかないだろう?それとも、同じようにするのかい?」
魔王様の指摘はごもっともだ。
前の店の時は、俺のわがままで食材調達、新食材探しの為に、一日おきの営業をしてきた。
テイクアウト専門の店で、かなり小さかったし、女王様から頂いた店だったから、家賃もローンもなかった。
それが今度は、元の世界の時の店と比べても各段に大きな店になってしまったのだ。
最初、これほど大きな店にするつもりはなかったんだ。俺とイリア、ターニャさんにララ、それと後々雇うであろう従業員が暮らす居住スペースが二階にくらいの建物にする予定だった。それでも、元の世界の店よりかなり大きく、テンションは爆上がりしたのだけれど……。
町外れとは言え、この首都に似合わない膨大な土地。それと信じられないくらいに安い地価。今思えば、その事を知った時から自分でも頭がおかしくなっていたのだろうと思う。エリも増えた辺りから、あ~でもない。こ~でもない。と言っているうちに計画は、あれよあれよと大きくなった。店はさらに広くなり、二階の住居スペースは個室へ。元々、住宅は別に建てる計画はあったものの、別に建てた住居を含めれば、その広さは貴族の邸宅並みのなってしまったのだ。
そして、そうなると、かさむ借金の額。それに、税金の額が馬鹿にならない。
この世界でも当たり前に、借金には利子が掛かるし、税金も建物の広さや土地の広さで変わってくる。この国の税金は良心的ではあるし、借金も大工衆達と仲良くなっていたおかげで改築にも快く応じてくれたし、かなり工賃などまけてもらっている。それでも額が額だ。イリア達が前に稼いできてくれたお金や、元の家を売ったお金を借金返済へあててくれたが、それでも残ってしまっている。今の状態のままだと、一日おきの営業では借金も返せないし、税金も払えない。ダンジョンには行きたいけど、週一の休業日に、ダンジョンへ赴くしかないだろう。イリアには怒られそうだが。
経営が安定し、従業員が増え、ララ達以外に料理を任せられる人が出来れば、ゆくゆくは2日間くらいダンジョン探索にあてたいものだ。
「そうですね。今のところは週一の休業日にダンジョン探索をやろうと思っています。従業員が増えて、店を任せられるようになって、安定してきたら、週2日くらい行けるのが理想ですかね。」
「そうか。でも、それはしょうがないね。これだけの規模の邸宅だ、税金もかなりのものだろうから。しかし、ヤマト君。週一とは言え、ダンジョンへ向かうなら武器が要るだろう?君達の武器は、ここにいるゼウスがダメにしたのじゃなかったかい?」
そうなのだ。魔王様には全てではないが、ゼウス様とあったことを話している。
ゼウス様との戦いで俺の麗月は折られ、ララの剣やアリシアの短剣などを失った。
特にララの剣は魔法との融和性が良いミスリル製。数千万エルウォンする程の高級品だ。現に、ララは勇者の役目を終え、勇者慰労金をほぼ費やし購入している。
そして、何より、ララのスキルである『魔法剣』は、聖剣以外にはミスリル製の物しか使えない。硬度やキレ味なら、オリハルコンなどが上らしいのだが、魔法との融和性が皆無なのらしい。
俺の麗月などは変わりの物を直ぐに用意出来るだろうが、ララの剣に関してはかなりの時間が必要になる。普通のダンジョン探索なら、魔法剣なしでもララの実力なら問題はないだろう。けど、この世界には『神々の気まぐれ』と言う、とんでもイベントがある。装備は万全にしておかなければならない。
「ふふん。その事なら心配なかよ。」
鬼クジャクの天ぷらとうどんをペロリと平らげ、この件の当事者であるゼウス様は何故か鼻高々な様子で口を開いた。
「何を偉そうにしているだい?ゼウス??この事に関しては、君のせいだろう?」
「そりゃ、しょうがなかじゃなかね?事の成り行き上、そうなってしまったとやけん。」
魔王様の言葉にゼウス様は悪びれもせずに言う。そして、
「だけん、ちゃんとしたもんば引っ越し祝いとして持って来たとたい。」
「ちゃんとした引っ越し祝い?どこにあるんだい?そんな物。」
「なんね……。そんな事も忘れたと?少し、下界に染まりすぎちゃおらんか??」
ゼウス様は少し呆れたように魔王様に言い、腰を上げ、一歩、後ろへ下がり、左手を横に突き出す。
そして、そこで俺は信じられない物を目にした。
……え?嘘だろ??ゼウス様の左手の肘から先が消えた??
そう、ゼウス様の左腕が元から無かったように消えたのだ。
その姿を見て、イリア達も驚愕している。
しかし、魔王様は何かを思い出したように呟く。
「アイテムボックス……。」
「そぎゃんたい。神だけに許された権能。アイテムボックスたい。」
アイテムボックス?あのゲームでよくあるやつ??俺にはただ、左腕が消えたようにしか見えない。
「よっと。まずは、これたいね。」
ゼウス様は左腕が消えた空間から引き抜いた。
そこには、見たことのない白銀の金属の大きな塊が握られていた。
「……ミスリル。」
ララはその金属を見て、ぼそりと呟く。
「そぎゃん。ミスリルのインゴットたい。これだけあれば、ララちゃんの剣の他に短剣数本は打てるはずたいね。予備に使ってもよかし、アリシアちゃんの武器にあててもよかと思う。はい、どうぞ。」
ゴトンと、テーブルの上には重たい音がし、軋む音がした。
そして、更にゼウス様は続ける。
「まだ、これだけじゃなかよ。」
ゼウス様はまた左腕を何もない空間に突っ込み、引っこ抜く。
そして、
「これが、本日の目玉。わし特製の槍たい!」
自信満々に一本の槍を掲げた。
うお!何だあの槍は?!刀身……確か、穂と言ったか?薄く金色に光る穂が蛇矛みたいに?いや、これは雷をイメージしているのか?カクカクと折れ曲がっている。何やら装飾も施され、綺麗だ。
「はい。こん前は色々と迷惑を掛けてすまんかったね。ヤマト。ほい。お詫びのしるしじゃなかばってん、新築祝いとして受け取ってくれんね。ゼウス特製『雷槍・ケラウノス』」
ゼウス様はそう言い、槍を俺に渡す。
その姿を見て、ラファエルさんが唖然としていた。
「ゼウス様が……謝るなんて……。しかも、手製の品を……。」
どうやら、ゼウス様が謝る事や何か手製の物を贈る事は珍しいようだ。
しかし、それに魔王様が難色を示す。
「おい。ゼウス。君、これは少しやり過ぎじゃないかい?神が作った物なんて、聖剣レベルじゃないか……ヤマト君が変な事に巻き込まれたらどうするんだ?」
「なん。そりゃ、大丈夫たい。わしもそぎゃん馬鹿じゃなかよ。聖剣みたいな事はしとらんけん。わしの槍と同じ銘ば刻んどるばってん、性能は雲泥の差がある。あくまでも人が使える武器たい。こん世界の鍛冶師が打てる『最高の物』程度の武器にしとるから安心しなっせ。念じれば、雷属性の攻撃ば出せるばってん、魔原石ば組み込んどるけん、雷の特殊効果は使えば魔力は普通にきれるし、ちゃんと研がんと切れ味も落ちる。折れる事も普通にあるけん、普通の武器たい。魔王が心配するような性能もなければ、素材自体もミスリルやこん世界でも手に入る物やけん、これば複製しようと思えば出来るけん、わしが作った事もバレはせんたい。」
「……それなら、いい……か?」
魔王様にしては、珍しく歯切れが悪い。それだけ、俺達の事を心配してくれているのか?悩みながらも納得した表情を浮かべ、ゼウス様との話は続く。
「ところで、魔王の引っ越し祝いは、そのカゴに入ったフルーツだけね?」
周りを見渡して、何故か勝ち誇ったような目でゼウス様は魔王様にたずねた。
「ああ。持ってきた物はフルーツだけだよ。」
「はん!なんね。そんだけ!?魔王たる者が引っ越し祝いに、フルーツ盛り合わせって。ありふれた、しけたもんば持って来たね!!」
ゼウス様はあからさまに語尾を強める。
なんか、まるで……自分が魔王様より、立派な物、優れている物を持ってきた。と俺達に自慢している?アピールしているようだ。
「別にいいじゃないか?果物は美味しいだろう?この世界の定番さ。これが普通だよ。」
どうやら、魔王様は意に介さないようだ。
「定番って、お前……。恥ずかしか~。お前、魔王やろ?こん世界ば創造した一人ばい?言わば、この世界の顔と言ってて良い存在ぞ?お前は??……妹と天界ば出て……下界に下りて……もっと出来る事もあるやろうに……それが定番の果物の盛り合わせってあるか。普通ってあるか?恥ずかしか~。こりゃ、恥ずかしかよ~。落ちぶれたね~。魔王も。こげんかもんしか思い浮かばんとは。わしば見んね。こん世界では最高峰の武器ば持って来たとぞ?クックック。グワ~ッハッハ!」
そう高らかに笑うゼウス様の声には先ほどとは違い少し寂しさのようなものが混ざっているように俺には思えた。
それに、魔王様に妹?初めて聞いたけど??俺の聞き間違いか?
確認しようと俺が口を開こうとした、その時、
「別に落ちぶれてもいいけど、何か勘違いしていないかい?ゼウス??」
遮るように魔王様は、静かに口を開いた。
その静かな声にゼウス様も高笑いを止め、魔王様を見据える。魔王様の雰囲気が少し変わったからだ。
「何ね?勘違いって??」
「勘違いは勘違いだよ?簡単な勘違い。」
「だから、何ね!?」
「僕が持って来た物は、果物の詰め合わせだけだよ。物はね。」
「物……は?」
「そう。物は、果物だけ。でもね、僕がヤマト君の新築祝いに持参したのはそれだけじゃない。この子さ。」
そう言い、魔王様はレイブンさんの所に行き、肩に手を置いた。
え?!レイブンさん!?
呆気にとられている俺と同じように、ゼウス様も口をあんぐりと開けて固まっている。
ま、まさか……レイブンさんを引っ越し祝いになんて……それはあんまりじゃ?レイブンさんの意志もあるだろうし??
「お、お前……そ、そげんか屁理屈ばこねんでよかとぞ?」
「屁理屈?」
「そぎゃん。そん子、お前んとこのホムンクルスやろ??言わば、お前にとっては家族のようなもん。とってつけたように、連れてきたそん子ば引っ越し祝いってこじつけんでよかとぞ?わしが、いくら、こん世界で最高の物ば持って来たからっていって……正に、屁理屈やろうもん??」
「何を言ってるんだい?さっきも言っただろう?この子はモノじゃない。ただ、それだけの事さ。これだけ、大きな家。それに店。この先、ヤマト君の所に人手が要る事は火を見るより明らか。それなら、どんな魔道具よりも、この子の方がヤマト君の役に立つ。そう思ったから、この子をつくったんだよ。」
「で、でも……それは、やり過ぎじゃなかか?ホムンクルスやろが?こん世界で作り出せるんはお前だけやろ?!バランスブレイカーになるんやなかか?魔力も体力も……なんでんかんでんモリモリにしとるんやなかか?」
「それは大丈夫さ。能力はイーシャ達と変わらない。それに、僕が作ったホムンクルスは、僕が作ったダンジョン以外には入れないからね。」
「……。」
「まあ、でも……僕の作ったレイブンは、君の言うところの、この世界の最高よりも。少し上だけどね。僕にしか作れないし。この子を見たら誰もが僕が作った事が分かる。金で買える物じゃないから、手には入らない。君の作った槍とはわけが違うよ。この世界に住んでいる僕だから、誰にも文句は言われないしね。」
魔王様は珍しくゼウス様へ向かい、したり顔で満面の笑顔を見せた。
そうか。最初から意に介さなかったのはこの為だったんだ。
その顔を見え、ゼウス様はワナワナと震える。
「お、お前。何、勝ち誇った顔ばしよっとか?今からでん、あん槍に能力は付与するくらいはできっとぞ。お前んごつ、こん世界じゃ出来ん物も作れるとぞ!?」
「そんな事、出来るのは分かっているさ。でもね。それはそれで良いと思うけどさ……そんな事をしたら君が関与したって直ぐにバレて、ヤマト君に迷惑が掛かるよ?他の神がヤマト君に目をつけていいのかい?それは、君が望んだ事とは違うだろ??」
「ぐぬぬ。」
「まあ、僕は元々、君と競り合うつもりもなかっし、ヤマト君の現状を把握していたからね。変に君が突っかかってくるような事をするから、自分自身で恥をかくような事になるんだよ。ハア……これだから、性格の悪い見栄っ張りの神は……みっともない事、この上ないね。」
魔王様は、あからさまに溜め息をついて見せた。その姿を見て、ゼウス様はワナワナと更に激しく震えている。
何だか、魔王様も頭にきてたのだろうか?案外、元・神だから、魔王様も見栄っ張りなんじゃ?
俺がそんな事を思っている時、ゼウス様はスクッと立ち上がり魔王様の側に寄る。そして、
「ちょっと、ラファエルちゃん。こっちこんね。」
ラファエルさんを手招きして呼ぶ。
「はい。何でございますか?ゼウス様??」
食事を終えていたラファエルさんは立ち上がり、ゼウス様の元へ向かう。
「よしよし。こっち、こっち。」
ゼウス様は自分の立っていた位置と入れ替わるようにラファエルさんの後ろに並び、両肩に手を置く。
その状況に不思議そうに笑顔を浮かべながら、ラファエルさんは首を傾げた。そして、次の瞬間、俺達の目を疑うような光景が映し出される。
「ふん!」
ゼウス様はラファエルさんの肩から手を離し、ラファエルさんの頭上にある、天使の輪に手を掛け、天使の輪を掛け声と共に引っこ抜いたのだ。
「……え?」
ラファエルさんの現状を把握出来ていない声が響く。
「「「「「「ええーーーーーーっ!?」」」」」」
俺達は一様に、同じ声を上げる。
て、天使の輪が……取れた?!ってか、あれ、取れるのか?!どういう仕組みなんだ??
いやいや。それより、ラファエルさん、大丈夫なの??天使の輪が外されて、微動だにしないけど??天使の輪って大切な物じゃないの??
案の定、ゼウス様の手にある天使の輪はラファエルさんを包んでいた淡い光りを吸い取られているようだ。
そして、ラファエルさんを覆っていた全ての光りを吸い込み終わったのを確認し、ゼウス様は口を開いた。
「ふむ。よし。これで、ラファエルちゃんが天使やっとる事はバレんやろ。」
「……天使だって事がバレない?ゼウス、君は何をしたのか分かっているのかい??天使から輪を取り上げるなんて……。しかも、ラファエルちゃんは大天使だろう?!」
やはり、天使の輪には何かあるようで、魔王様はゼウス様のこの行動に腹を立てているようだ。それでも、ゼウス様は気にしてはいないようだった。
「知っとるよ。そんぐらい、神やったら誰でも知っとるやろが??天使から輪ば取るとどげんなるか。そうばってん?それがどぎゃんしたとか??大天使だろうが関係なか。わしは、わしがしたいようにしただけやけん。」
「君は何がしたいんだい?」
「ふん。わしがしたいようにするだけたい。……ラファエルちゃん、お前はわしが許可するまでヤマトん所で働け。よかね。分かったか?」
「まさか……君は……。」
「ふふん。これで、わしはお前には負けとらんやろ??天使ばい?しかも、大天使。それが地上で働くって、これ以上のもんはなかろうもん??前代未聞よ!」
「そんな下らない事で……。」
「下らなくはなかろうもん。やられっぱなしは、性に合わん。じゃ、そう言うこっで。ヤマト、後は頼んだばい。」
そう言い残し、ゼウス様は姿を消した。
え?俺に任せたって……どうすればいいの??ねえ?!ねえ!!
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