揚げ物、お好きですか? 第二部

ツ~

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新しい日々の始まり

新しい日々の始まり 8

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 「それでは、マーガレット、リーネのローネ。そして、レイブンさんの引っ越し記念して、乾杯!」
 「「「乾杯!!!」」」

 街をあっという間に濡らした夕立は上がり、空の唸り声は虫の歌声に変わっていた。
 結局、あの後、俺がトイレから出てきた時には空は泣き出していた。
 そして、それとほぼ同時にイリア達は帰ってきたのだが、運が悪かったのか、家までもう少しだと生活魔法を使わなかったおかげで、体はビチョビチョになっていた。
 イリア達は直ぐに風呂に入り、その間に、ターニャさん、マーガレット、ローネ、リーネの順で帰って来たが、四人は濡れていなかった。
 四人曰わく、あれだけ厚い雲に覆われていたのだから、予め、生活魔法は使っておく。のが普通らしい。
 やはり、イリア達は少し変わっているのか?
 まあ、そんなこんなで、ララ以外の女性陣は先に風呂に入り、ローネもその後、食事の前に汗を流してもらった。
 全開に開けられた窓からは、雨の香りの残る風が静かに流れてくる。
 その風に乗って、風呂上がりの何とも言えない甘い香りが鼻をかすめ、俺は目を閉じて思いっきり鼻で息を吸い込む。
 ……やっぱり、たまらん!この風呂上がりの香り!!
 イリア達には話した事ないけれど、俺はこの香りが大好きだ。
 その香りを楽しんでいると、聞こえてくる虫の歌に負けじとゴクゴクゴクと喉を鳴らす音が聞こえる。

 「ぷっは~~っっ!お風呂上がりのエラールテ………もとい、ビールは最高ですね~。おや?どうしたのですか?ヤマト??キョトンとして?」

 いつの間にか、隣にやってきていたイリアはこちらを不思議そうな顔で見ている。
 流石に、イリア達の風呂上がりのいい匂いを嗅いでいた。なんて言えるはずがない。

 「いや……。なんか、感慨深いな。と思ってな。この世界に来てから一年とちょいと。最初はどうなるかと思ってたけど、今では、元の世界の店とは比較に出来ないくらい大きな店に、貴族並みの邸宅。まあ、借金なんだが。それでも、凄い所まできたな。と思ったんだよ。」
 「そうですね。普通では考えられないくらいの成功をおさめちゃてます。でも、私は遅かれ早かれ、こうなると思っていましたよ?」
 「本当か?」

 嬉しそうに微笑みながら、俺を見上げるイリアに俺は聞き返した。

 「はい。ララやターニャ達までヤマトの事を好きになるとは思ってはいませんでしたが、ヤマトが料理屋さんで成功する事は確信していましたよ。それ程、人間界で食べたヤマトの料理は革命的だったのです。私にとっては。いえ、私達にとっては……。それに、今だから本心を言えますけれど……。」
 「本心?」
 「私にすればどちらでも良かったのですよ。確信していたと言え。成功しても失敗してお金がも……。私は、ヤマトと一緒に居れさえすれば。」
 「……イリア。」
 「……結局は、この気持ちのせいで、ヤマトに迷惑を掛けましたけれど……。」

 先ほどの笑顔と違い、苦笑いをイリアは浮かべる。

 「イリア!そんな!」
 「ヤマト兄ちゃん。何、イリア姉ちゃんとイチャイチャしてるんだよ。」

 タイミングが良いのか悪いのか、ローネがニコニコと笑いながら声を掛けてきた。……その隣りにはリーネもいるな。

 「すみません。ヤマト兄さん。イリアさんと大切なお話をされている時に……。ローネ。だから、もう少し待とうっていったでしょう?」
 「何言ってるんだよ。姉ちゃん。こんな時はタイミングより勢いが大事だろ?ヤマト兄ちゃんだって酒飲むんだから、酔った後に気持ちを伝えても、記憶に残らないがもしれないだろ?」
 「……そうかも知れないけど……。」
 「ああ。大丈夫だよ。リーネ。それで、どうしたんだ?二人とも??」

 俺の言葉に二人は顔を見合わせ。そして。

 「ヤマト兄さん。私達をこの家に住まわせて頂き、ありがとうございます。」
 「ありがとうございます。」

 二人はそう言い、深々と頭を下げる。
 この世界では珍しい、双子姉弟の二人。
 セミロングにウェーブのかかった赤毛のリーネ。
 ローネはエルフには珍しい、赤毛の短髪。
 二人とも、魔力の高い証である、金色の瞳をしている。
 年齢は、14歳。来年の春からは魔導大学へと進学へと進学する事が決まっている。それくらいに優秀な二人だ。
 流石、スタイルの良いエルフだ。お辞儀も様になっているな。

 「頭を上げてくれ。リーネ、ローネ。俺達だって、二人と一緒に住めて嬉しいんだ。なあ、イリア。」
 「そうですよ。リーネ。ローネ。頭を上げて下さい。新しい家族が増えるのですから。これほど嬉しい事はありません。」

 リーネもローネも、俺の事を兄と言って慕ってくれているんだから、確かに家族に近いのかもしれないな。
 そんな事を思い出しながら、リーネとローネに初めて会った日の事を俺は思い出していた。
 
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