釣り人居酒屋『魚んちゅ~』

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やっぱり夏は夜釣りがいいよね?

やっぱり夏は夜釣りがいいよね?6

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 ……釣れない。重くはなるのだけれど、釣れるのはゴミばかり。
 石に木……挙げ句の果てには軍手だ。
 それを釣った時にはフーコさんとユウちゃんはお腹を抱えて笑い出す始末。そして、フーコさんが一言。
 「これだけ、ゴミを釣って、地球を釣らないのは凄いよ。アヤカは地球に優しいね。」
 それはイヤミなのか?誉めているのか私には分からなかった。ただ、私は、地球を釣りにも、清掃をするのに釣りに来たのでもないのだ。タコを釣りに来たのだ。ウネウネと気持ち悪いけれど、美味しいタコを釣りに来たのだ。クーラーの効いた天国を捨て、アイスクリームという極上の一品を後回しにしてまで……。この蒸しっとして暑い中、一生懸命に歩き、釣りをしているのだ。せめて、せめて、一匹だけでも……。
 「よし。次に行こうか。」
 フーコさんはそう言い、また車で移動する。
 今度は30分位掛かっただろうか?今回も明るい堤防だった。人も沢山居る。
 「外灯周辺は人がいっぱい居るけれど、その先は外灯が無いから人が居ないんだ。その辺りからだと人の邪魔にはならないし、釣りも出来るから。アヤカ、あんたも豚の脂身使う?」
 フーコさんはそう言い、フーコさん達と同じ脂身を私にすすめる。
 確かに魅力的だ。でも、私は何故か意固地になっていた。このタコエギで釣ってやる。そんな思いが芽生えていた。
 「いいえ。大丈夫です。ありがとうございます。」
 そう言い、私は戦場へと向かう。

 ここも、アジゴを釣る人達ばかりだった。案外、タコ釣るよりも、アジゴ釣った方が良かったのでは?と、頭をよぎる。だって、釣れているんだもん。
 そんな物を横目に外灯の明かりの切れ目、堤防の折れ曲がっている所から釣り開始だ。
 何か、この角、釣れそう。
 そんな気がした。
 仕掛けを海底に落として、ちょこんちょこんとフーコさんの真似をして待つ。ちょこんちょこんとして待つ。
 すると、ガツンと重くなった!そして、一呼吸置いて、思いっきり竿をグン!!と上に上げた!!
 おお!!重い!!しかも、重いだけじゃない!!なんか引っ張られる感じ??石なんかにはない、生命感というのがある?こ、これはキタんじゃない?!キタんじゃない?!
 私は一生懸命にハンドルを回す。
 そして、水面にはウネウネとしたタコが!!
 やった!!大きい!!フーコさんと同じくらいある!!
 やった!やったよ!!私!!!
 堤防には、ブショッとタコが着陸する。 
 「ええ?!アヤカ!!釣ったの!?言ってよ!!キタッ!!って!!」
 「アヤカちゃん、やったね!!」
 やりましたよ!私!!やりましたとも~!!
 フーコさんはナイフでタコをシメてくれて言った。
 「どうせなら、ユウみたいに写メ撮ったら?」
 ユウちゃんはさっき、釣った時にタコを手に持って写メを撮った。タコもグッタリして触りやすいらしい。
 触りたくはないけど……記念にチャレンジしてみようかな。
 ユウちゃんにスマホを渡して撮ってもらう。
 私の釣った物コレクションにタコが加わった。ちなみに、軍手も入っている。
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