釣りはじめました

初めての一人釣行編

初めての一人釣行編5

　気がつけば、空は少し明るくなりはじめていた。
　釣れたのは相変わらず二杯のみ。満潮まで釣ったら帰ろう。そう思った。
　朝焼け空は徐々に明るさを増し、鳥達の声が聞こえ始め、人が次々に集まり始め、堤防は満員御礼になる。
　どこからともなく、やった！とか、釣れた！とか聞こえてくる。
　ぐぬぬ。ずっと、ここで釣っている自分には釣れないのにどうしてだ！？
　今までに感じた事のない、嫉妬？苛立ち？？を感じてしまった。
　自然と釣りをする動作が速くなり、動作が雑になる。
　焦るな！落ち着け！！他に惑わされるな。初心者の自分が出来る事なんて限られている。……焦るな！……落ち着け～！！
　ゆっくり！と自分に言い聞かせ、ゆっくり、丁寧に釣りをする。
　すると、ようやく久々のアタリがあった。
　すかさずアワセを入れる。
　ロッドは今回一番の曲がりを見せ、ドラグがジー！ジー！と音を勢い良く立てる。
　おお！？やった！これは完璧に今日イチだわ！！
　魚と違って横には走らない。
　慎重にやりとりをして……。
　うわ！？イカ、足一本でハリに掛かってるよ！
　タモ、タモっと。
　タモ入れは、イカの後ろの方から入れる。口からスミと水を吐き出しながら逃げるので……。
　ロッドを利き手と逆の方で持って、イカの頭の方、後ろ側からタモを入れる。……っと。
　おっしゃ！やった！！デカい！どのくらいの重さ有るんだろう？重さを量る道具はないから、帰って量るしかないけど……、でも、とにかくやった！！
　それから、イカは続けて釣れる事はなかったけど、満足して帰れた。
　家に帰って計量器で量ってみたら、600gだった。
　SNSで、ヨシさんや島田社長に写メを送った時に食べますか？と聞いたけれど、気持ちだけ有り難く頂いておきます。との事だったので、家で食べる事にした。
　母に、小さいのは刺身かな？大きいのは天ぷらがいいかも？と言っておいたら、起きた時には既に刺身は出来上がっていた。
　母曰わく。魚は捌けんけど、イカは捌ける。らしく。あとは、夕飯時に揚げるとのこと。これは夕飯が楽しみですぞ～。
　釣りの後、家で夕飯を食べるのは久々な気がした。最近は、島田社長宅や会社で打ち上げばかりだったので、なんかちょっと新鮮な気分。
　食卓には、アオリイカの刺身、天ぷら。それに海老の天ぷらにナスの天ぷらなど、天ぷらのフルコースな感じだった。他には味噌汁にサラダ。これは、ご飯が進む進む。この日も四杯のご飯を平らげ、就寝した。