釣りはじめました

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出逢いは突然に、だけど必然に?

出逢いは突然に、だけど必然に?編4

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 なんて言うんだろう?そこだけスポットライトが当たっている感じ?……あれ?これ??どこがで聞いた事があるような……。
 結婚式に参列なさるのだろうか?。
 会場に入って羽織っていたコートをその女性は脱いだ。
 大人びたネイビーのパーティードレス。
 年はあまり変わらないだろう。それでも、凄く大人っぽく感じた。
 同じ方向へ歩く。
 あれ?もしかして、さとみちゃんのお友達??
 さとみちゃん側の受付にその女性は並んだ。
 僕は立ち止まり、その人を眺めてしまう。
 「おう。ヒロ。なにそんな所で立ち止まってんの?」
 トイレにでも行っていたのだろう。児嶋に声を掛けられた。
 「あ、ああ。児嶋。ちょうど良かった。ここで切るのは何だから、トイレ行こうよ。」
 「ええ~。俺は今行ったばかりだぞ。」
 「まあまあ。」
 僕は見とれていた事を児嶋に悟られないように、トイレに連れて行き、ほつれた糸を切って、ハサミをポケットにしまった。
 小さいから、邪魔にはならないだろう。そのまま僕達は受付まで戻った。
 そして、披露宴が始まる。
 先ほどの長い黒髪の女性は、どうやら、さとみちゃんの会社の同僚か親族らしい。友人達の席には見あたらない。
 披露宴は進み。いよいよ、僕のスピーチの番がやってきた。 
 ……やばい。凄く緊張してきた。一応、暗記はしてきた。いざとなったら、カンニングペーパーを堂々と読んでやる!そう言っていた、さっきまでの勢いは、シュンとしぼんでしまっていた。
 「それでは、ここで新郎のご友人を代表して、瀬高浩志様より……。」
 あっ、やべぇ。緊張で言葉も上手く聞き取れないや……。一礼しなくちゃ。
 立って、また一礼。身体が緊張して錆び付いたように動かない。それでも、スタッフの方に誘導されて、ゆっくり歩いて向かう。案内されたのは、新郎新婦と同じ壇上。
 え?壇上には上がらず、その脇でやるんじゃないの??
 マイクが壇上に上げられる。
 頭は真っ白になった。
 あぁ……、新郎新婦に一礼だっけ?周りにも一礼だっけ??
 「つぐはる君。さとみさん。本日はご結婚ありがとうございます。ご両家ならびにご親族の皆様方にも、心からお祝い申し上げます。」
 ここでも一礼だっけ??って、何か間違わなかった?僕??
 「どうぞ、おかけください。」
 おぉ……つぐはるちゃん。心配そうに見るなよ~。さとみちゃんはニコニコしてるし……。その微笑みが何か逆に怖いよ。
 「ただいまご紹介にあずかりました。新郎の友人。瀬高浩志と申します。友人を代表して挨拶させて頂きます。つぐはる君とは高校時代からの付き合いで、一緒にサッカー部で汗や涙を流した仲でもありま……す。……。」
 あれ?続き何だったっけ??
 ストンと何か抜け落ちたかのように真っ白になってしまった。
 思い出せ!思い出せ!!
 しばらくの沈黙が凄く長く感じられる。
 あっ!そうだ!!カンニングペーパー。そう、もうこうなったらカンニングペーパーを読み上げるしかない!
 僕はポケットに入れたカンニングペーパーを取り出そうと、ポケットを漁る。
 すると、有り得ない事に、ポケットに入れていたハサミが飛び出して、床にダイブした。
 カランカランと音がなる。キャップのついた、釣り用のハサミは転がり、キャップは壇上の下まで転げ落ちてしまった。
 
 
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