受付バイトは女装が必須?

なな

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第2部:ナイトプール・ミッドナイトドレスコード

第二章:試着室の鏡のなかで

週末、新宿の百貨店ビルの6階、リゾートウェアの売り場。
カラフルなビキニ、フリルのついたワンピース、シンプルなタンキニ……
店内は眩しいほど明るく、女性たちの笑い声があちこちから聞こえる。

なおは、その真ん中で、少しだけ肩をすくめていた。

今日は“なお”として来ている。
ゆるい白のニット、膝丈のスカート、ナチュラルなメイクにリップだけ少し艶を出した。
誰が見ても、自然な女の子。

だけど――
“この身体”に水着を着るということが、なおにとってはまったく別次元のことだった。

「ねえねえ、これどう?」

真帆がフリル付きのセパレートタイプを差し出す。
美月はシックなワンピースタイプを手にしている。

「なおはこっちが似合うと思うな。ラベンダーで、肩がちょっと開いてて……」

「そうそう! 下着のライン隠せるし。っていうか、もう絶対こっち!」

「……あの、ほんとに試着、するの?」

「するよ~。着ないとわかんないじゃん!」

真帆に背中を押されるように、なおは試着室へ向かった。

カーテンを閉め、静けさが訪れる。

水着を手にしたまま、なおはしばらく立ち尽くした。

(大丈夫。バイトでも下着姿には慣れてる。
 でも、水着は……“見せる”ためのものだ)

ゆっくりと服を脱ぎ、ストッキングを外し、
ブラとショーツの上から、ワンピース型の水着を滑らせていく。

胸元は、パッド入りのスポンジがある程度のふくらみを作ってくれた。
ウエストはタイトすぎず、でもラインを拾う。

最後に裾を引き下ろし、鏡の前に立つ。

そこには、どこから見ても“女の子”に見える自分がいた。

(これ……私なの?)

喉仏がほとんど目立たず、髪も女の子らしく整えられていて、
胸もそれなりに見える。脚もツルツルにしてある。

“男の体”なのに、“女の子として見られてしまう”服装。
それが、恥ずかしいのに嬉しくて、少しだけ……興奮する。

「なお~? 着られた?」

「……うん。今、出る」

カーテンをそっと開けると、美月と真帆が同時に声をあげた。

「うわっ、可愛い!!」

「えっ、めっちゃ似合ってるじゃん……! なんでそんな自然なの?」

なおは照れ笑いしながら、少しだけ頬を赤くした。

「そんな……ちょっと見てみたかっただけ、だから……」

「これ買おう! これで決まり!」

「ちょ、ちょっと、まだ決めてないってば!」

笑い声の中で、なおの心は、くすぐったくて温かかった。

帰り道、ワンピースの柔らかな感触が、身体に残っていた。
ショッパーの中には、さっきまで試着していた水着が入っている。

(これを着て、外に出るんだ。
 知らない人たちの中に、“なお”として……)

怖さと、楽しみと、見られることへの期待。
すべてがまじりあって、手のひらがずっと熱かった。

感想 2

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