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第3部:フェティシュな装い
第十四話:鍵を返さない ― コルセットと鍵を抱えたまま、日常を生きる ―
朝、目を覚ましたとき、なおの指先は自然と下腹部の鍵の感触をなぞっていた。
昨日も、今日も、鍵は持っていない。
「……このまま、バイト行こう」
そう口に出した瞬間、自分の中で何かが静かに決まった気がした。
鏡の前で、淡いグレージュのランジェリーを身に着ける。
貞操具を収めたあと、いつも通りコルセットを下に巻く。
河合に教わった通り、ウエストのラインに沿って丁寧に。
「ふぅ……」
コルセットを締め終えた呼吸の浅さに、
“女の子”の身体になった実感がよみがえる。
その上にシフォンのブラウスと、膝丈のAラインスカート。
ストッキング、低めのパンプス、髪は巻かずにストレートで自然に。
誰が見ても、ただの清楚なバイトの女の子。
でもなおだけは、その中に封じ込められた“秘密”を知っていた。
バイト先に着くと、真帆と美月が出迎えてくれる。
「なお、今日ちょっと雰囲気違う?」
「え、そ、そう?」
「なんか……内緒でいいことでもあった?」
美月が軽くウィンクをする。
「……ないよ、そんなの。ない、けど……」
口をついて出る言葉は曖昧で。
でも、確かに“何か”を感じ取られている気がして、胸がくすぐったかった。
(だって私、下にコルセットしてるし……。それに、鍵も……)
笑顔で接客しながらも、なおの頭のどこかにはずっと
**「あの人が私をこうしてる」**という感覚が残っていた。
休憩時間。トイレは個室を選んだ。
ブースに入ると、呼吸を整えながらスカートをそっとたくし上げ、
コルセットの締め目に触れた。
(誰にも見えないのに、見られてる気がする。
でも、それが嫌じゃない。むしろ、嬉しい――)
思わず、小さく呟いてしまう。
「……誰のために、こんな格好してるんだろ……」
でも答えは、もうわかっていた。
バイト終わり。スマホを開くと、河合からのメッセージ。
今日もそのまま働いてた?
うん。ずっとそのままだった。
誰にも気づかれなかったけど、ずっと思い出してた。
河合さんが鍵、持ってるってこと……
しばらくして返信が来た。
それはもう、なおさんの“選択”だよ。
鍵は俺が持ってても、着け続けたのはなおさんだから。
俺のなおさんで、いてくれてありがとう。
その言葉を見て、
心の奥で何かが、やさしくしめつけられた。
夜。鏡の前に立ち、服を脱ぐと、
コルセットの跡が腰にくっきり残っていた。
その下の、鍵のかかったままの器具。
自分ではどうにもできないのに――不思議と、落ち着く。
「……返さなくて、いい。
もう、河合さんに持っててほしい」
声に出すと、なんだか安心できた。
鍵を手放したのに、私は自由だった。
むしろ、自由になるために“封じた”のだ。
昨日も、今日も、鍵は持っていない。
「……このまま、バイト行こう」
そう口に出した瞬間、自分の中で何かが静かに決まった気がした。
鏡の前で、淡いグレージュのランジェリーを身に着ける。
貞操具を収めたあと、いつも通りコルセットを下に巻く。
河合に教わった通り、ウエストのラインに沿って丁寧に。
「ふぅ……」
コルセットを締め終えた呼吸の浅さに、
“女の子”の身体になった実感がよみがえる。
その上にシフォンのブラウスと、膝丈のAラインスカート。
ストッキング、低めのパンプス、髪は巻かずにストレートで自然に。
誰が見ても、ただの清楚なバイトの女の子。
でもなおだけは、その中に封じ込められた“秘密”を知っていた。
バイト先に着くと、真帆と美月が出迎えてくれる。
「なお、今日ちょっと雰囲気違う?」
「え、そ、そう?」
「なんか……内緒でいいことでもあった?」
美月が軽くウィンクをする。
「……ないよ、そんなの。ない、けど……」
口をついて出る言葉は曖昧で。
でも、確かに“何か”を感じ取られている気がして、胸がくすぐったかった。
(だって私、下にコルセットしてるし……。それに、鍵も……)
笑顔で接客しながらも、なおの頭のどこかにはずっと
**「あの人が私をこうしてる」**という感覚が残っていた。
休憩時間。トイレは個室を選んだ。
ブースに入ると、呼吸を整えながらスカートをそっとたくし上げ、
コルセットの締め目に触れた。
(誰にも見えないのに、見られてる気がする。
でも、それが嫌じゃない。むしろ、嬉しい――)
思わず、小さく呟いてしまう。
「……誰のために、こんな格好してるんだろ……」
でも答えは、もうわかっていた。
バイト終わり。スマホを開くと、河合からのメッセージ。
今日もそのまま働いてた?
うん。ずっとそのままだった。
誰にも気づかれなかったけど、ずっと思い出してた。
河合さんが鍵、持ってるってこと……
しばらくして返信が来た。
それはもう、なおさんの“選択”だよ。
鍵は俺が持ってても、着け続けたのはなおさんだから。
俺のなおさんで、いてくれてありがとう。
その言葉を見て、
心の奥で何かが、やさしくしめつけられた。
夜。鏡の前に立ち、服を脱ぐと、
コルセットの跡が腰にくっきり残っていた。
その下の、鍵のかかったままの器具。
自分ではどうにもできないのに――不思議と、落ち着く。
「……返さなくて、いい。
もう、河合さんに持っててほしい」
声に出すと、なんだか安心できた。
鍵を手放したのに、私は自由だった。
むしろ、自由になるために“封じた”のだ。
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