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第3部:フェティシュな装い
第十五話:秘密をつけたまま外に出る― 誰にも見えない羞恥を抱えて、日常の中へ ―
「今日は男の格好でいいよ。
でも、“中身”は、ちゃんと“なおさん”でいて」
朝のメッセージに、なおは少しだけ息を飲んだ。
河合が求めたのは、“女の子の姿”ではなく――
“女の子としての感覚”を保ったまま、日常へ戻ること。
貞操具は外していない。
鍵は、河合が持っているまま。
昨夜のままの状態で、シャワーを浴び、ランジェリーをつけて、
その上にコルセットを巻いた。
「……男の格好って、こういうこと?」
Tシャツとジャケット。細身のスラックス。
髪は中性的に外ハネでセットし、チョーカーは外さなかった。
リップは、わずかにツヤを乗せるだけ。
“女装”じゃない。だけど、“なお”として過ごす、男の姿。
電車の揺れ。
脚を閉じて立ち、吊革を握るたびに、
コルセットが腰を締めているのを感じる。
視線を下げたとき、スラックス越しにほんのわずかに
貞操具の存在が意識された。
(誰も気づいてない。わかってない……でも、私は今、“誰かのもの”)
羞恥が胸にこみ上げる。
それは劣等感ではなく、甘い熱だった。
大学。
昼休み、カフェテラスで一人ランチを取っていたとき、
突然、声をかけられた。
「あれ、直人?」
振り返ると、ゼミで同じグループだった男子学生。
軽く挨拶をして、少しだけ立ち話をする。
(声、ちゃんと出せてる? 動き、不自然じゃない?)
いつもなら気にしない会話が、全身の神経を刺激していた。
貞操具が軽く擦れ、コルセットが呼吸を制限してくる。
(何も知らないのに、私はここで、“直人”として立ってる)
ふいに、汗が首筋を伝った。
午後、少し街に出る。
駅ビルで軽く買い物を済ませたあと、
ガラス越しの自分をふと見つめる。
中性的な外見。
なのに、身体の奥には、女の子としての“秘密”が詰まっている。
「……誰にも見えないのに、見られてるみたい」
胸が熱くなった。
夜。
スマホの通知が鳴る。
どうだった?
“彼のもの”のままで、外に出た気分は。
……見られてないのに、ずっと意識してた。
みんな普通に接してたけど、
心のどこかで“気づいて”ほしかった気もする。
しばらくして返ってきたメッセージ。
俺だけが知ってる“なおさん”。
見えないところで支配されて、安心してたんだよね。
うん……誰にもバレてないのに、すごく満たされてた。
鍵、まだ持ってるよ。
その一言で、なおの身体はビクリと震えた。
夜、鏡の前。
チョーカーをそっと外すと、赤い跡が残っていた。
でも――コルセットは、まだそのまま。
「今日、私……“誰かのもの”のままで歩いてたんだな」
そうつぶやいた自分の声が、
ほんの少し高くなっていた気がした。
“鍵を渡したまま、日常を歩く”
それは、誰にもわからない秘密の中で生きる、私の誇りだった。
でも、“中身”は、ちゃんと“なおさん”でいて」
朝のメッセージに、なおは少しだけ息を飲んだ。
河合が求めたのは、“女の子の姿”ではなく――
“女の子としての感覚”を保ったまま、日常へ戻ること。
貞操具は外していない。
鍵は、河合が持っているまま。
昨夜のままの状態で、シャワーを浴び、ランジェリーをつけて、
その上にコルセットを巻いた。
「……男の格好って、こういうこと?」
Tシャツとジャケット。細身のスラックス。
髪は中性的に外ハネでセットし、チョーカーは外さなかった。
リップは、わずかにツヤを乗せるだけ。
“女装”じゃない。だけど、“なお”として過ごす、男の姿。
電車の揺れ。
脚を閉じて立ち、吊革を握るたびに、
コルセットが腰を締めているのを感じる。
視線を下げたとき、スラックス越しにほんのわずかに
貞操具の存在が意識された。
(誰も気づいてない。わかってない……でも、私は今、“誰かのもの”)
羞恥が胸にこみ上げる。
それは劣等感ではなく、甘い熱だった。
大学。
昼休み、カフェテラスで一人ランチを取っていたとき、
突然、声をかけられた。
「あれ、直人?」
振り返ると、ゼミで同じグループだった男子学生。
軽く挨拶をして、少しだけ立ち話をする。
(声、ちゃんと出せてる? 動き、不自然じゃない?)
いつもなら気にしない会話が、全身の神経を刺激していた。
貞操具が軽く擦れ、コルセットが呼吸を制限してくる。
(何も知らないのに、私はここで、“直人”として立ってる)
ふいに、汗が首筋を伝った。
午後、少し街に出る。
駅ビルで軽く買い物を済ませたあと、
ガラス越しの自分をふと見つめる。
中性的な外見。
なのに、身体の奥には、女の子としての“秘密”が詰まっている。
「……誰にも見えないのに、見られてるみたい」
胸が熱くなった。
夜。
スマホの通知が鳴る。
どうだった?
“彼のもの”のままで、外に出た気分は。
……見られてないのに、ずっと意識してた。
みんな普通に接してたけど、
心のどこかで“気づいて”ほしかった気もする。
しばらくして返ってきたメッセージ。
俺だけが知ってる“なおさん”。
見えないところで支配されて、安心してたんだよね。
うん……誰にもバレてないのに、すごく満たされてた。
鍵、まだ持ってるよ。
その一言で、なおの身体はビクリと震えた。
夜、鏡の前。
チョーカーをそっと外すと、赤い跡が残っていた。
でも――コルセットは、まだそのまま。
「今日、私……“誰かのもの”のままで歩いてたんだな」
そうつぶやいた自分の声が、
ほんの少し高くなっていた気がした。
“鍵を渡したまま、日常を歩く”
それは、誰にもわからない秘密の中で生きる、私の誇りだった。
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