受付バイトは女装が必須?

なな

文字の大きさ
58 / 206
第4部:それぞれの想い

1.なんとなく知ってる彼女のまなざし― 真帆の心にふれた“なお”という存在 ―

なんでだろう。
最初に“なお”に会ったときから、女の子っぽいなって思った。

雰囲気とか、話し方とか、服の選び方も。
でも、たぶんそれだけじゃない。
“自分を大事にしてる”って感じが、仕草の中ににじみ出てた。

最初は、ただのおしゃれ好きな男の子かと思った。
でもバイト中、ふとした瞬間にその線は曖昧になっていった。

たとえば、棚を拭く姿勢。
たとえば、トイレから戻ってくるまでの時間。
たとえば、美月に耳元で何かを囁かれたときの頬の赤さ。

「この子、自分が“誰なのか”を、ずっと探してるんだ」

そう思ったのが、最初の直感。

ある日、休憩中に見た、なおの首元。
いつもと違う、細いチョーカーの跡がうっすら残っていた。

彼は「疲れた~」って笑ってたけど、
私の目には、その跡が「誰かの存在」を物語っているように見えた。

ああ、この子はたぶん、
誰かに“名前”を呼ばれて、生きてる。

そして、それを――
幸せだと感じてる。

エステに一緒に行ったとき、確信に近づいた。

背中、ウエスト、腰のライン。
普通の男の子の身体じゃない“意識”がそこにあった。
“隠すため”ではなく、“見られる前提”の整え方。

それでも私は、何も言わなかった。

だって、彼が望んでいたのは
「バレること」じゃなくて、「わかってもらうこと」だったから。

言葉じゃなくて、視線で。
気づいても、問い詰めずに。
ちゃんと“見てるよ”って、伝わるように。

「コルセットって、使ってる?」

そう聞いたときの、なおの反応は可愛かった。
ちょっと驚いたあと、静かにうなずくその目に――
私は、まっすぐな“女の子”を見た。

それだけで、十分だった。

いつかきっと、
なおが“秘密”じゃなく“自分”として、私に話してくれる日が来る。
そう思えるほどに、彼はもう、ちゃんと“綺麗だった”。

“なんとなく知ってる”。
それは、たぶん“愛し方”のひとつだと思う。
感想 2

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。