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第4部:それぞれの想い
5.「秘密は、まだ聞かない」 ― 真帆がなおの“今”を静かに受け止める夜 ―
◇ 真帆のモノローグ(ひとりになった帰り道)
帰りの電車で、窓の外を眺めながら、
私はなおのことをずっと考えていた。
お風呂上がりのような、ゆるい空気をまとったまま、
でもどこか肌の奥に“熱”が残っているような――
そんな感覚のまま。
(……可愛かったな、今日のなお)
もちろん、見た目のことじゃない。
姿勢や言葉、目の動き。
誰かのために綺麗でいようとする人って、
それだけで、ものすごく強くて、ものすごく儚い。
(“誰かのもの”になろうとしてる)
そう思った瞬間、なんだか胸の奥がズキンとした。
それが嫉妬なのか、羨望なのか、自分でもよくわからなかった。
でも、ただひとつ確かなのは――
私はこの子の“秘密”に気づいてるけど、まだ聞かないって決めてること。
誰かにちゃんと見られて、愛されて、守られて、
それでも「自分でそうありたい」と思ってる子に、
中途半端な“確認”なんて、いらない。
(“秘密”を教えてもらえるその日まで、私はこのままでいい)
◇ 後日、美月とのカフェでの会話
「ねえ、真帆。エステどうだった?」
カフェラテを両手で抱えながら、美月が言った。
「うん、すごく良かったよ。肌つるつる~」
「なおは?」
「……すごく綺麗だった。
っていうか、“なお”って感じだった」
「ふふ、なにそれ」
美月は笑ってたけど、私の目をちゃんと見ていた。
「やっぱり、変わったよね、なお」
「うん。
でも、“誰かのせいで”じゃなくて、“自分で”変わってるんだよ」
「……うん、わかるかも。
あの子、何かを手放すようにして、どんどん綺麗になってるよね」
「たぶん、“好きな人の前で、女の子でいたい”ってだけじゃなくて――
“その人の前でだけ、ちゃんと女の子でいたい”んだと思う」
「……それって、すごく特別なことだね」
「うん。だから、なおの“今”を壊したくないの。
秘密は、知ってる。でも――まだ聞かない。
それが、私たちにできることじゃない?」
美月はゆっくりと頷いた。
「うん。……なお、幸せそうだもんね」
「うん、ほんとに」
その日、なおには何も伝えなかったけど、
私はちゃんと、心の中で思っていた。
「なお、あなたは今、すごく美しいよ」
帰りの電車で、窓の外を眺めながら、
私はなおのことをずっと考えていた。
お風呂上がりのような、ゆるい空気をまとったまま、
でもどこか肌の奥に“熱”が残っているような――
そんな感覚のまま。
(……可愛かったな、今日のなお)
もちろん、見た目のことじゃない。
姿勢や言葉、目の動き。
誰かのために綺麗でいようとする人って、
それだけで、ものすごく強くて、ものすごく儚い。
(“誰かのもの”になろうとしてる)
そう思った瞬間、なんだか胸の奥がズキンとした。
それが嫉妬なのか、羨望なのか、自分でもよくわからなかった。
でも、ただひとつ確かなのは――
私はこの子の“秘密”に気づいてるけど、まだ聞かないって決めてること。
誰かにちゃんと見られて、愛されて、守られて、
それでも「自分でそうありたい」と思ってる子に、
中途半端な“確認”なんて、いらない。
(“秘密”を教えてもらえるその日まで、私はこのままでいい)
◇ 後日、美月とのカフェでの会話
「ねえ、真帆。エステどうだった?」
カフェラテを両手で抱えながら、美月が言った。
「うん、すごく良かったよ。肌つるつる~」
「なおは?」
「……すごく綺麗だった。
っていうか、“なお”って感じだった」
「ふふ、なにそれ」
美月は笑ってたけど、私の目をちゃんと見ていた。
「やっぱり、変わったよね、なお」
「うん。
でも、“誰かのせいで”じゃなくて、“自分で”変わってるんだよ」
「……うん、わかるかも。
あの子、何かを手放すようにして、どんどん綺麗になってるよね」
「たぶん、“好きな人の前で、女の子でいたい”ってだけじゃなくて――
“その人の前でだけ、ちゃんと女の子でいたい”んだと思う」
「……それって、すごく特別なことだね」
「うん。だから、なおの“今”を壊したくないの。
秘密は、知ってる。でも――まだ聞かない。
それが、私たちにできることじゃない?」
美月はゆっくりと頷いた。
「うん。……なお、幸せそうだもんね」
「うん、ほんとに」
その日、なおには何も伝えなかったけど、
私はちゃんと、心の中で思っていた。
「なお、あなたは今、すごく美しいよ」
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