受付バイトは女装が必須?

なな

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第4部:それぞれの想い

12.「その夜、鏡の前で」 ― 河合との“ご奉仕”の準備を整えるなお。心と身体の揺れ ―

お部屋の灯りを落として、
なおは鏡の前に立っていた。

薄く照らされたライトの下で、
唇にほんの少し艶を重ねる。
香りは控えめに、でも肌のケアは入念に。
お風呂上がりの肌には、ボディミルクを塗って、
河合から「好き」と言われた手首の内側にも、同じ香りをのせた。

コルセットは今夜は外している。
けれど、貞操具はついたまま。
鍵は、もちろん彼が持っている。

「ご奉仕……してあげたいって、思ったのは、
たぶん、ほんとうに好きになったからだと思う」

美月との帰り道、そう思った。
身体を触れ合うことが嬉しいんじゃない。
触れてもらった記憶を、自分の中で反芻するのが、幸せなんだ。

そして、
「ありがとう」と「好き」を、
自分のやり方で返したいと思った。

服を選ぶ。
今日は“可愛く”より、“清楚”がいい。
首元にリボンのついたブラウスと、
少し丈の短いスカート。

座ったときに膝がちょうど見えるくらいの、ちょうどいい長さ。

(河合さん、喜んでくれるかな……)

ふと、手元にあったプリンのスプーンを見つめる。

(美月ちゃん、優しかったな……)

少し胸がきゅっとした。
でも、それは後悔ではなくて、
**「大切な人に、背中を押してもらった」**という、温かな記憶だった。

時計はまもなく約束の時間。
なおは小さく深呼吸して、玄関の鍵を閉める。

そのときの姿――
ふんわりしたスカートに、艶めいた唇、
小さく揺れるピアスと、
“秘密を抱えたまま、誰かを想う”強さを纏った目。

鏡の前に映る“なお”は、
まぎれもなく「彼のための女の子」だった。

「ご奉仕する」って、きっと、
“愛してもらう自分”を、もう一度相手に贈ること。
感想 2

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