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第4部:それぞれの想い
15.見てはいけないものを、見てしまった
休日の夕方。
駅前の書店で文具を探していた私は、
エスカレーターを降りる視界の端で、
ふと見覚えのある“横顔”を見つけた。
白いスカート。細身の脚。
軽く巻かれた前髪の奥で、ふと笑う口元。
なおだった。
その隣には、スーツ姿の男性。
(河合さん……)
ふたりは寄り添うように並び、
そのままレストラン街の奥へと消えていった。
私は動けなかった。
エスカレーターの途中で、手すりを強く握ったまま。
(あれが……あの子が、あの人といるときの顔)
一度も見たことのない“なお”だった。
あの笑顔は、私には向けられたことがない。
そう、はっきりわかってしまった。
恋人の前でしか見せない、甘えた表情。
あれは、“誰かのもの”になった顔だった。
胸が痛い。
なのに、どこか納得していた。
そっか。
ちゃんと、あの人と繋がってたんだ。
心も、身体も、全部。
帰りの電車のなか、涙は出なかった。
でも、胸の奥がじんじんと熱かった。
いつかこんな日が来るって、
わかってたはずだったのに。
それでも、きっと今日が“恋の終わりの日”だ。
駅前の書店で文具を探していた私は、
エスカレーターを降りる視界の端で、
ふと見覚えのある“横顔”を見つけた。
白いスカート。細身の脚。
軽く巻かれた前髪の奥で、ふと笑う口元。
なおだった。
その隣には、スーツ姿の男性。
(河合さん……)
ふたりは寄り添うように並び、
そのままレストラン街の奥へと消えていった。
私は動けなかった。
エスカレーターの途中で、手すりを強く握ったまま。
(あれが……あの子が、あの人といるときの顔)
一度も見たことのない“なお”だった。
あの笑顔は、私には向けられたことがない。
そう、はっきりわかってしまった。
恋人の前でしか見せない、甘えた表情。
あれは、“誰かのもの”になった顔だった。
胸が痛い。
なのに、どこか納得していた。
そっか。
ちゃんと、あの人と繋がってたんだ。
心も、身体も、全部。
帰りの電車のなか、涙は出なかった。
でも、胸の奥がじんじんと熱かった。
いつかこんな日が来るって、
わかってたはずだったのに。
それでも、きっと今日が“恋の終わりの日”だ。
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