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第5部:よりフェティシュな装いへ
第11話:ほどかれた痕が、日常の奥に滲む ― 誰にも言えない“あの夜の感触”を、まだ身体が覚えている ―
朝、目覚めると、
なおの身体にはぬくもりの記憶がまだ残っていた。
ローションの滑らかな手触り、
太ももにそっと当たった指先。
身体の中のこれまで感じたことのない疼き。
河合さんの固い優しいもの。
なにも着けず、“優しく抱かれた”
なおはもう――その記憶に支配されていた。
(……ちゃんと眠れたのに、身体だけまだ、どこかふわふわしてる)
大学には、今日も“直人”として。
白シャツにジャケット。
スラックスの内側、コルセットは今日は着けていない。
けれど、昨日の締めつけの痕跡が、皮膚にほんのりと残っている。
トイレの鏡で髪を整えようとして、
自分の姿がふと目に入った。
「この“普通の男の子”の見た目の中に、
昨日の“なお”がまだ眠ってる」
そんなことを思って、ほんの少し、胸が熱くなった。
講義中。
脚を組み替えたとき、
貞操具もコルセットもないはずなのに、
その感覚が“あるような気がして”動きが止まった。
(……あれ、何もつけてないのに……)
肌が、“あるはずの拘束”を求める。
(ダメだ……思い出すと……変な感じになる)
午後。
コンビニで買ったペットボトルのお茶を開けるとき、
手首にそっと触れたボディスーツの痕が、まだくっきりとあった。
「今日も、身体のどこかに河合さんが残ってるみたい……」
誰にも聞かれないように、 \
スマホの画面にそう打って、すぐに消した。
バイト先では、美月が出迎えてくれた。
「なおちゃん、今日ちょっとぼーっとしてない?」
「え? そ、そうかな……?」
「なんか、ほら……ほっぺ、赤いよ?」
その言葉に、なおは心臓が跳ねた。
(バレてないよね? でも、ちょっとだけ……気づいてほしい気もする)
更衣室で制服に着替えるとき、
いつものようにボディスーツを手に取って――
そのレースが、昨夜に触れられた場所と同じラインをなぞっていることに気づいた。
(……また、これ着て、“なお”になるんだ)
思わず、スカートの裾を握る指先に力が入る。
誰にも見られていないはずなのに、
身体のどこかが“撫でられた記憶”を訴えてくる。
“触れられたままの自分”でいることが、日常の中で甘く残り香のように続いている。
貞操具が無いのがさみしくも思える。
バイトが終わった帰り道、
ヒールの音が静かな夜道にコツ、コツと響いた。
何も言わずにスマホを開き、
河合にひとことだけメッセージを送った。
「まだ、あなたが身体に残ってる気がするの」
返信は来なかった。
でも、それだけでじゅうぶんだった。
なおの身体にはぬくもりの記憶がまだ残っていた。
ローションの滑らかな手触り、
太ももにそっと当たった指先。
身体の中のこれまで感じたことのない疼き。
河合さんの固い優しいもの。
なにも着けず、“優しく抱かれた”
なおはもう――その記憶に支配されていた。
(……ちゃんと眠れたのに、身体だけまだ、どこかふわふわしてる)
大学には、今日も“直人”として。
白シャツにジャケット。
スラックスの内側、コルセットは今日は着けていない。
けれど、昨日の締めつけの痕跡が、皮膚にほんのりと残っている。
トイレの鏡で髪を整えようとして、
自分の姿がふと目に入った。
「この“普通の男の子”の見た目の中に、
昨日の“なお”がまだ眠ってる」
そんなことを思って、ほんの少し、胸が熱くなった。
講義中。
脚を組み替えたとき、
貞操具もコルセットもないはずなのに、
その感覚が“あるような気がして”動きが止まった。
(……あれ、何もつけてないのに……)
肌が、“あるはずの拘束”を求める。
(ダメだ……思い出すと……変な感じになる)
午後。
コンビニで買ったペットボトルのお茶を開けるとき、
手首にそっと触れたボディスーツの痕が、まだくっきりとあった。
「今日も、身体のどこかに河合さんが残ってるみたい……」
誰にも聞かれないように、 \
スマホの画面にそう打って、すぐに消した。
バイト先では、美月が出迎えてくれた。
「なおちゃん、今日ちょっとぼーっとしてない?」
「え? そ、そうかな……?」
「なんか、ほら……ほっぺ、赤いよ?」
その言葉に、なおは心臓が跳ねた。
(バレてないよね? でも、ちょっとだけ……気づいてほしい気もする)
更衣室で制服に着替えるとき、
いつものようにボディスーツを手に取って――
そのレースが、昨夜に触れられた場所と同じラインをなぞっていることに気づいた。
(……また、これ着て、“なお”になるんだ)
思わず、スカートの裾を握る指先に力が入る。
誰にも見られていないはずなのに、
身体のどこかが“撫でられた記憶”を訴えてくる。
“触れられたままの自分”でいることが、日常の中で甘く残り香のように続いている。
貞操具が無いのがさみしくも思える。
バイトが終わった帰り道、
ヒールの音が静かな夜道にコツ、コツと響いた。
何も言わずにスマホを開き、
河合にひとことだけメッセージを送った。
「まだ、あなたが身体に残ってる気がするの」
返信は来なかった。
でも、それだけでじゅうぶんだった。
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