128 / 206
第7部:新しい春に、もう一人の“僕”
第27話:放課後、静かな駅前のカフェ。
放課後、静かな駅前のカフェ。
大学からの帰り道に、柊はなおにメッセージを送り、少しだけ時間を作ってもらった。
「ごめんね、急に。ちょっとだけ、話したくて」
「ううん、大丈夫。こっちも、会いたかったから」
カフェの隅、壁際の席にふたり並んで座る。
柊は男装のまま、シャツとパンツにジャケットといういつもの格好。
でも、その奥――誰にも見えない身体の下には、コルセットと細いプラグがしっかりと収まっていた。
「なおさん……この間のバニー、すごく綺麗だった。……僕、あんなふうに、なれるのかな」
「柊くんは、もうなってたよ。あのとき、すごく堂々としてたし、可愛かった」
「……ありがとう。でもね、なんか変なんだ。最近、あれがクセになってきてて……」
柊は、声を落としてそっと唇を寄せるように続けた。
「なおさんに着けてもらった、あの……プラグ、覚えてる? あれと同じのを、自分で……買って、着けてきちゃって」
なおは一瞬驚いたが、すぐに表情を和らげた。
「うん、わかるよ。その気持ち」
「え……?」
「わたしも、初めて自分で着けたとき、怖かった。でも、なおのままでいたいって思ったら、不安よりも“安心”になってた」
自分の気持ちが、初めて他人に通じた気がした。
柊は思わずなおの手を握り返してしまう。
「……なおさんも、今は?」
なおは少しだけ頬を染めて、声を落とす。
「……うん。着けてる。今日も、ずっと。コルセットも、プラグも」
柊の喉が、ごくんと鳴る。
視線がふと、なおの太ももに落ちる。
スカートの下――その奥に、自分と同じものが入っている。その事実に、身体が熱くなる。
「……でも、鍵を管理してくださっている河合さんにはバレちゃったんだ」
「えっ」
なおは少し照れくさそうに笑った。
「イベントの帰り……車の中で、わたし、まだ着けたままだったの。そしたら、河合さんがポケットから鍵を出して……“帰ったら、外してあげるよ”って」
その声に、柊の内側まで震えた。
安心と支配。羞恥と快感。
(なおさんには、河合さんというカギを管理する人がいるんだ・・・)
まるで深く甘い檻の中に、大切に閉じ込められているような――そんな優しい拘束。
「なおさん、いいな……僕も、誰かにそうしてもらえたら……」
「柊くん」
なおの声が優しく、でも確かな響きで届く。
「柊くんが望むなら、きっと誰かが鍵を持ってくれる。でもね、今は……わたしが、預かっていてもいい?」
「……うん」
柊は、頷いた。
誰にも見えない場所に鍵があって、身体の奥で何かがつながっている。
それが、すごく、すごく嬉しかった。
大学からの帰り道に、柊はなおにメッセージを送り、少しだけ時間を作ってもらった。
「ごめんね、急に。ちょっとだけ、話したくて」
「ううん、大丈夫。こっちも、会いたかったから」
カフェの隅、壁際の席にふたり並んで座る。
柊は男装のまま、シャツとパンツにジャケットといういつもの格好。
でも、その奥――誰にも見えない身体の下には、コルセットと細いプラグがしっかりと収まっていた。
「なおさん……この間のバニー、すごく綺麗だった。……僕、あんなふうに、なれるのかな」
「柊くんは、もうなってたよ。あのとき、すごく堂々としてたし、可愛かった」
「……ありがとう。でもね、なんか変なんだ。最近、あれがクセになってきてて……」
柊は、声を落としてそっと唇を寄せるように続けた。
「なおさんに着けてもらった、あの……プラグ、覚えてる? あれと同じのを、自分で……買って、着けてきちゃって」
なおは一瞬驚いたが、すぐに表情を和らげた。
「うん、わかるよ。その気持ち」
「え……?」
「わたしも、初めて自分で着けたとき、怖かった。でも、なおのままでいたいって思ったら、不安よりも“安心”になってた」
自分の気持ちが、初めて他人に通じた気がした。
柊は思わずなおの手を握り返してしまう。
「……なおさんも、今は?」
なおは少しだけ頬を染めて、声を落とす。
「……うん。着けてる。今日も、ずっと。コルセットも、プラグも」
柊の喉が、ごくんと鳴る。
視線がふと、なおの太ももに落ちる。
スカートの下――その奥に、自分と同じものが入っている。その事実に、身体が熱くなる。
「……でも、鍵を管理してくださっている河合さんにはバレちゃったんだ」
「えっ」
なおは少し照れくさそうに笑った。
「イベントの帰り……車の中で、わたし、まだ着けたままだったの。そしたら、河合さんがポケットから鍵を出して……“帰ったら、外してあげるよ”って」
その声に、柊の内側まで震えた。
安心と支配。羞恥と快感。
(なおさんには、河合さんというカギを管理する人がいるんだ・・・)
まるで深く甘い檻の中に、大切に閉じ込められているような――そんな優しい拘束。
「なおさん、いいな……僕も、誰かにそうしてもらえたら……」
「柊くん」
なおの声が優しく、でも確かな響きで届く。
「柊くんが望むなら、きっと誰かが鍵を持ってくれる。でもね、今は……わたしが、預かっていてもいい?」
「……うん」
柊は、頷いた。
誰にも見えない場所に鍵があって、身体の奥で何かがつながっている。
それが、すごく、すごく嬉しかった。
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
