129 / 206
第7部:新しい春に、もう一人の“僕”
第28話:河合さん
「……柊くんと、会ってきたんだ」
なおは、湯気の立つマグカップを両手で包みながら言った。
対面に座る河合は、その報告に表情を緩める。
「メールで聞いていたけど、うまく仲良くなったんだね。……安心した」
「うん。すごく素直で、でも……少しずつ、自分の身体に向き合ってて。まっすぐで、いい子だなって思った」
言葉にするうちに、なおの目が伏せがちになる。
河合は静かに、その変化を見逃さない。
「……でも、どうかした?」
「わたしも……あの子を見てて、思い出したの。最初、自分が“なお”になったときのこと」
膝の上に手を重ねて、なおはゆっくりと語る。
「怖かった。でも、怖いより、気持ちよくて。――プラグを着けて、コルセットを締めて、自分の身体が”違うもの”になっていく感覚が……」
そこまで言って、なおははっと口をつぐんだ。
でも河合は、ただ優しく頷くだけだった。
「今も、着けてるの?」
その問いに、なおは頷いた。
「うん。……ねえ、河合さん。見てほしい。わたしが、どんなふうに“鍵のかかった身体”でいるのか。ちゃんと、知ってほしいの」
そっと立ち上がったなおは、ゆっくりとスカートのファスナーを下ろした。
下着の奥、レースの隙間からのぞくのは、銀の金具で留められた貞操具。
それは、プラグの細いベースに引っかけられ、ラインを邪魔せず身体に沿ってしなやかに装着されていた。
「……こんなふうに、なってるの。わたし、もう……これがないと、落ち着かなくて」
河合は無言で立ち上がり、なおの腰にそっと手を添えた。
その指が、冷たい金属の感触を辿る。
「……苦しくない?」
「ううん。むしろ、安心するの。だって……」
なおは顔を上げて、真っすぐに河合を見た。
「これがあるってことは、河合さんにしか、開けられないってことだから」
その言葉に、河合の喉が静かに鳴った。
そして、ポケットから小さな鍵を取り出す。
「じゃあ……今夜は、ちゃんと確認させてもらうよ。なおの全部を」
「……うん」
その夜、なおは一つ一つの装備を外されながら、
自分の身体が“河合だけのもの”であることを、静かに、そして深く受け入れていくのだった。
なおは、湯気の立つマグカップを両手で包みながら言った。
対面に座る河合は、その報告に表情を緩める。
「メールで聞いていたけど、うまく仲良くなったんだね。……安心した」
「うん。すごく素直で、でも……少しずつ、自分の身体に向き合ってて。まっすぐで、いい子だなって思った」
言葉にするうちに、なおの目が伏せがちになる。
河合は静かに、その変化を見逃さない。
「……でも、どうかした?」
「わたしも……あの子を見てて、思い出したの。最初、自分が“なお”になったときのこと」
膝の上に手を重ねて、なおはゆっくりと語る。
「怖かった。でも、怖いより、気持ちよくて。――プラグを着けて、コルセットを締めて、自分の身体が”違うもの”になっていく感覚が……」
そこまで言って、なおははっと口をつぐんだ。
でも河合は、ただ優しく頷くだけだった。
「今も、着けてるの?」
その問いに、なおは頷いた。
「うん。……ねえ、河合さん。見てほしい。わたしが、どんなふうに“鍵のかかった身体”でいるのか。ちゃんと、知ってほしいの」
そっと立ち上がったなおは、ゆっくりとスカートのファスナーを下ろした。
下着の奥、レースの隙間からのぞくのは、銀の金具で留められた貞操具。
それは、プラグの細いベースに引っかけられ、ラインを邪魔せず身体に沿ってしなやかに装着されていた。
「……こんなふうに、なってるの。わたし、もう……これがないと、落ち着かなくて」
河合は無言で立ち上がり、なおの腰にそっと手を添えた。
その指が、冷たい金属の感触を辿る。
「……苦しくない?」
「ううん。むしろ、安心するの。だって……」
なおは顔を上げて、真っすぐに河合を見た。
「これがあるってことは、河合さんにしか、開けられないってことだから」
その言葉に、河合の喉が静かに鳴った。
そして、ポケットから小さな鍵を取り出す。
「じゃあ……今夜は、ちゃんと確認させてもらうよ。なおの全部を」
「……うん」
その夜、なおは一つ一つの装備を外されながら、
自分の身体が“河合だけのもの”であることを、静かに、そして深く受け入れていくのだった。
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。