受付バイトは女装が必須?

なな

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第7部:新しい春に、もう一人の“僕”

第28話:河合さん

「……柊くんと、会ってきたんだ」

なおは、湯気の立つマグカップを両手で包みながら言った。
対面に座る河合は、その報告に表情を緩める。

「メールで聞いていたけど、うまく仲良くなったんだね。……安心した」

「うん。すごく素直で、でも……少しずつ、自分の身体に向き合ってて。まっすぐで、いい子だなって思った」

言葉にするうちに、なおの目が伏せがちになる。
河合は静かに、その変化を見逃さない。

「……でも、どうかした?」

「わたしも……あの子を見てて、思い出したの。最初、自分が“なお”になったときのこと」

膝の上に手を重ねて、なおはゆっくりと語る。

「怖かった。でも、怖いより、気持ちよくて。――プラグを着けて、コルセットを締めて、自分の身体が”違うもの”になっていく感覚が……」

そこまで言って、なおははっと口をつぐんだ。
でも河合は、ただ優しく頷くだけだった。

「今も、着けてるの?」

その問いに、なおは頷いた。

「うん。……ねえ、河合さん。見てほしい。わたしが、どんなふうに“鍵のかかった身体”でいるのか。ちゃんと、知ってほしいの」

そっと立ち上がったなおは、ゆっくりとスカートのファスナーを下ろした。
下着の奥、レースの隙間からのぞくのは、銀の金具で留められた貞操具。
それは、プラグの細いベースに引っかけられ、ラインを邪魔せず身体に沿ってしなやかに装着されていた。

「……こんなふうに、なってるの。わたし、もう……これがないと、落ち着かなくて」

河合は無言で立ち上がり、なおの腰にそっと手を添えた。
その指が、冷たい金属の感触を辿る。

「……苦しくない?」

「ううん。むしろ、安心するの。だって……」

なおは顔を上げて、真っすぐに河合を見た。

「これがあるってことは、河合さんにしか、開けられないってことだから」

その言葉に、河合の喉が静かに鳴った。
そして、ポケットから小さな鍵を取り出す。

「じゃあ……今夜は、ちゃんと確認させてもらうよ。なおの全部を」

「……うん」

その夜、なおは一つ一つの装備を外されながら、
自分の身体が“河合だけのもの”であることを、静かに、そして深く受け入れていくのだった。
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