受付バイトは女装が必須?

なな

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第10部:鍵と快感、仕込まれる私たち

第一章:鍵があるから、感じる私

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「……今日は、開けないよ」

そう言ったのは、ベッドサイドの柔らかい照明に照らされた、河合の声だった。

なおは、シーツの上でそっと脚を閉じる。
ランジェリーブラとコルセットだけの姿。ショーツの下には──貞操具。

もちろん、鍵は河合のもとにある。

「はい……」

小さな声で返事をすると、河合はなおの太ももに手を置いた。

「怖くない?」

「……怖くないです。……開けなくても……平気です」

「ふふ、すっかり“そういう身体”になったね」

その言葉に、なおの内側がきゅうっと縮こまる。

河合の指が、コルセットの端を撫で、ブラのカップを指先で押し上げる。
中に仕込まれた二重のヌーブラが、河合の手に押されて、やわらかく潰れた。

「ね、感じてる?」

「っ……ん、はい……」

「触れてないのに、貞操具の奥が、じわってしてる」

「……そんな、こと……」

「わかるよ。だって、脚が小刻みに震えてる」

河合は唇をなおの首筋に近づけて、囁くように言った。

「なおが“自分で開けられない状態”で感じるの、すごくいいと思う」

「……はい」

「触れられない。外せない。動かせない。その全部を、他人に委ねてるって、……興奮するでしょ?」

なおの喉が詰まる。

「……はい。……だいぶ、前から、もう……」

「“私、閉じられてるまま、感じちゃってます”って、顔に出てる」

河合の指がショーツの上から軽く触れる。

鍵の重みが、ショーツのリングにわずかに引っかかる音がした。

「このまま……しても、いい?」

なおは目を閉じたまま、こくりと頷いた。

「なおが感じてくれるだけで、十分だから。開ける必要なんて、ない」

言葉とともに、河合の手がなおの身体をなぞる。
胸。お腹。腰のくびれ。
でも、その奥にある“閉じられた部分”には、一切触れない。

──だからこそ、余計に意識してしまう。

ショーツの奥に触れない指。
鍵穴の冷たさ。動かない装備。

それらすべてが、“自分が支配されている証拠”だった。

「……鍵、なくても……感じちゃう……っ」

「それでいい。だって、鍵は僕が持ってるから」

なおの腰が、小さく震えた。

その震えが、ベッドのシーツに染み込むように、夜は静かに続いていった。

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