光属性が多い世界で光属性になりました

はじめ

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王子の思い込み

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「アデレイド、昨日は私と踊れなくて悲しい思いをさせてすまなかった。しかも、私の従兄弟が迷惑をかけてしまって、本当に申し訳なかった。変な事はされなかったかい?」

 学園に着いて早々、王子から訳がわからない事を言われる。
 (別に貴方とは踊りたくなかったんですが…………)

「従兄弟の方はとっても素敵な方でしたよ」

 ほほほ、と笑みで返す。

「アデレイドは、あぁいう男が好みなのかい?」

「そうですね、大人な方が好みです」

 王子は一瞬悩む顔をしたかと思えば、途端に笑顔になった。

「僕も同じ系統の顔だ!アデレイドの好みって事だね、嬉しいな、僕もアデレイドの事を好きだよ!これからも仲良くしようね」

 ほんのり顔を赤くしてはにかみながら王子が言う。一方アデレイドは…………

(本当に訳がわからない……王子が好みなんて一言も言ってないし、1ミリも好かれたくないんだけども………)

 顔は笑みを絶やさないようになんとかキープしているが、嫌気がさして、顔がひきつりそうになり限界が来ている。

 このやり取りを周りの女子達が聞いてない訳は無かった……もちろんローズもである。
 この日からアデレイドは露骨な嫌がらせを受ける様になった。

「えっ、靴がない…………はぁ、本当にこういうのは勘弁してほしいなぁ…………」

 職員室に行き、予備の靴を借りに行く。
 その途中、運悪く王子に見つかってしまう。

「アデレイド何故靴を履いてないんだ!!」

「…………無くしちゃって…………ドジですよね」

 ………………………………
 気まずい雰囲気が流れる。王子の意図した答えでは無かった様だ。もっと自分を頼ってくれると思ったのである。

「アデレイド、床は汚い私が連れてってあげよう」

 そう言うと、有無を言わさずお姫様抱っこをしてきた。

(ぎゃーーー勝手に触らないでよね、うわぁ鳥肌立っちゃった)

 そのまま職員室まで、お姫様抱っこされ、王子の一人喋りを聞くハメになったのである。
 そして、またもやその様子を、たくさんの女子達が目撃していた。


「今度はローブ…………」

 アデレイドのローブがズタズタに切り裂かれていたのである。

 どこからともなく笑い声や、「いい気味」などの声が聞こえてくる。

「酷いね…………」

 ディランが駆け寄ってきた。とても心配そうな顔をしている。マークとローズはまだ教室には来ていなかった。すると、王子がやってきた。

「なんだこれは!!誰が犯人だ名乗りでろ!こんなことするやつは人間以下だ猿からやり直せ」

 もちろん名乗り出るものはいない、名乗り出たら何をされるかわからないのは明白だからだ。

 王子関連の事でこれ以上騒ぎを大きくしたくないアデレイドは

「アレクシス様、大丈夫です。また買い直せば良いのですからお気になさらないでください」

 やんわりと、大丈夫な事を伝えた。しかし、その姿が王子には儚く健気に映ったのである。どことなく無理に明るく笑っている様にもみえた。

「アデレイド、これ以上君に何かあったら僕は耐えられないよ」

 急に抱きしめてきた。逃げられなかった……悔しい、、奇しくもそれはローズに目撃されていた…………


 最近ローズが元気がない………「どうしたの?」と聞いても「なんでもないですわ」と悲しく微笑むだけ……

(ローズを元気にするにはどーしたら良いの?)

 根本的な事が抜けているアデレイドでは気づく事ができなかった。


 靴を隠される事から始まった嫌がらせはとうとう呼び出しという形で対峙する事になった。

 放課後呼び出された場所は、目立たない庭の隅、辿り着くと、令嬢達が50人以上は集まっていた。

 代表者の様な縦巻きロールのいかにもな令嬢が近づいてきた。

「貴方、ちょっと可愛いからってアレクシス様に馴れ馴れしいんじゃなくって?あまつさえ、お姫様抱っこや、抱きしめられたり、度が過ぎてましてよ」

(勝手にされたんだけど……思い出してまた鳥肌たってきたーー)

 嫌な記憶が蘇りブルリと体を震わせる。

「私は、望んでいない事です!勝手にされたのです」

 キッパリと自分の意思ではない事を伝える。

「うるさい!!貴方が望む望まないの話ではないのよ」

 激昂する令嬢、外野からもヤジが飛ぶ。

「貴方全然反省してませんのね?なら痛い目見てもらいますわよ、能無しの光属性さん」

 光属性をバカにされた、すごく腹が立つ、しかし、魔法を使ってはならないので、このまま怪我を承知で魔法を受けるしかない。

 魔法の一斉攻撃を放たれたその時、何重ものバリアが張られた。

「大丈夫?」「大丈夫ですの?」「大丈夫か?」

「アデレイド、無事かい?」

 ディラン、ローズ、マーク、そして王子が駆けつけてきてくれたのだった。

「みんな…………」

 痛い思いをしないで済んだが、元凶がここに居る。

「君たち、覚悟はできてるんだろうね?僕は大事な人を傷つけられたら、そこまで寛大じゃいられないよ?」

 王子が冷徹な顔をして、令嬢達を怯えさせている。アデレイドはいい事を思いついた。

「あの~…………ちょっといいですか?」

「なんだい?アデレイド」

 さっきまでの冷徹な顔とは違い、爽やかなスマイルを浮かべる。

「そもそもの話がおかしいと思うのです。訂正すればこの問題は解決すると思うので、この際ハッキリと申し上げますね」

 一呼吸おいて真面目な顔で話し始める

「私はアレクシス様の事をほんっっっっっとうになんとも思っていません!!それと体が病弱なので、お妃さまの候補には絶対になれないのです!!なので、皆様が思っている様な事は何もありません!!わかっていただけましたか?」

 その場にいた全員がポカーンとした。
 ローズを除いて……ローズは前に聞いていた通りの事を言うものだから余りにも清々しく、逆に笑いを堪えるのを必死に抑えていた。

「お分かりいただけた様で良かったです。では、これでごきげんよ……

 このまま退場しようとしたその時、

「アデレイド!!僕の事を好みだと言ってたじゃないか」

 切ない顔をした諦めの悪い王子がここにいた。

の方のお顔が好みとお伝えしたかと…………」

 またもや全員ポカーンである。(ディラン、マーク、ローズ除く)見目麗しい王子を前に好みじゃないと言ってのける人がこの世に居るのかと言う顔である。

「では、皆様ご機嫌よう」

 丁寧なカーテシーをしてその場をさった。

(これでもう、嫌がらせは無くなるでしょう)

 言いたい事もハッキリ言えてスッキリしたアデレイドはニコニコ顔で家路についた。



 ※    ※    ※

 アデレイドが僕を好ましく思っていない?レイシスの方が好み?そんなあり得ない…………あり得ない…………

 そうだ!あの場は大勢いた、照れ隠しであんな事を、なるほど、なんて奥ゆかしいんだ……やっぱり君が好きだアデレイド…………
 どうすれば僕のものにできるかじっくり考えなければ。早く僕のものにしたい。
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