おっ☆パラ

うらたきよひこ

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第9話 単身赴任おじさんの優しさにほろり

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 朝から何度もアラームを止め、ようやく体を起こした僕──佐藤一真(さとう かずま)は、ビジネスホテルのベッドで大きく伸びをした。昨日はまた別の地方都市へ出張に来ていて、慣れない場所で疲労が溜まっていたが、今日はクライアントとの最終打ち合わせがある。二度寝なんて許されない。
 スーツに着替え、部屋を出たのは朝7時過ぎ。ホテルの一階にあるレストランで朝食バイキングをやっていると聞き、軽く食べていくことにした。ロビーを抜け、レストランの入り口でスタッフにルームナンバーを伝え、中へ入る。
 すると、長テーブルにずらりと並ぶ和洋中のメニューが目に飛び込んできた。最近ずっと忙しくて、まともに朝食をとるのは久々かもしれない。
 皿を手にとってサラダやスクランブルエッグ、ソーセージなどを盛り付けていると、ふと誰かの視線を感じた。振り返ると、やや離れた席で中年の男性がこちらを見ている。彼は50代前半くらい、少しふくよかな体型に、メガネをかけた優しそうな雰囲気。髪は短く整えており、スーツこそ着ていないが、おそらくビジネス客だろう。

「……あれ、もしかして同じ出張の方、かな?」

 僕が失礼にならないように軽く頭を下げると、その男性はパッと顔をほころばせ、こちらに向かって手を挙げてくる。まるで昔からの知人に会ったかのような、フレンドリーな仕草だ。僕は「知り合いだったっけ?」と思いながら、お盆を持ったままその席へ近づいた。

「あの……おはようございます。もしかして、僕になにか?」

「いや、君が“おはよう”って言いたくなるくらい気持ちよさそうに食べ物を選んでいるのが見えてね、つい声かけたくなったんだ。朝から元気そうだねぇ!」

 そう言ってにこにこしながら笑う男性。何とも人懐こい。その空気に押され、僕も自然と笑みを返してしまう。
 聞けば、この人は「浜田 大二郎(はまだ だいじろう)」という名前で、僕と同じように出張のためこのホテルに泊まっているという。大手メーカーの社員で、数年前から地方に単身赴任中らしい。今週はたまたま本社への用事でこの街へ来ており、同じホテルを利用しているのだとか。

「俺も若い頃は東京で働いていてね。今は家族を置いて離れた支社で頑張ってる。でもこうやっていろんな街を飛び回っていると、やっぱり人恋しくなるよ。だからさ、朝ごはんを一人で食べてるのも寂しくてね~。へへ」

 そんなことを照れくさそうに語る浜田さん。彼のテーブルにはすでにバイキングの料理が山ほど並んでいて、どれも美味しそう。僕に「遠慮せずここに座りなよ」と促してくれるので、お言葉に甘えて同じテーブルに腰を下ろした。

「僕は佐藤といいます。こっちで今日お客さんと打ち合わせがあって、それが終わったらすぐ帰る予定なんですけど……」

「そうなのか。大変だなぁ。でもこうして若い子と一緒に朝飯を食べるってのは、なんだか元気が出るよ。俺は普段ずっと単身赴任で、一人で朝飯食べて、一人で会社行って、一人で帰るから……まぁ、慣れたけど、やっぱ寂しいよねぇ」

 人懐こい笑顔の奥に、ほのかに寂しさを滲ませる浜田さん。その言葉に思わず胸がキュッとする。僕自身、実家を離れて一人暮らしだけれど、週末には友人と会うし、会社の仲間もいる。まるで彼ほど孤独にはなっていない気がする。

(家族と離れて暮らすって、想像よりずっと大変なんだろうな……)

 そう考えていると、浜田さんがスマホを取り出して、「見てよ、この写真!」と奥さんやお子さんの写真を見せてくれた。中学生くらいの女の子と、小学生の男の子の二人。一緒に写っている奥さんも穏やかな笑顔だ。
 僕が「わぁ、素敵なご家族ですね」と素直に感動すると、浜田さんはどこか照れながら「いやぁ、最近あまり会えてないからなぁ。子どもたちも大きくなってきて、パパの出番は減る一方……」としんみり。食事の話よりも、家族への愛情を延々と語り始めた。

「子どもたちはどうしてるかなぁ……家内がLINEで送ってくれる写真を見ると、ああ大きくなったなぁって思うんだ。勉強も部活も忙しいらしくて……それで今度の週末は帰省しようかと思ってるんだけど、子どもたちが喜んでくれるかどうか……」

 自信なさげにつぶやく浜田さん。それでも話す間はどこか嬉しそうで、娘さんや息子さんの話題になると止まらない。誇らしさと心配が混ざっているのだろう。僕は相槌を打ちながら、「きっと喜んでくれますよ!」と率直に応じる。
 すると浜田さんは、はっとしたように僕を見つめ、「だよな、やっぱりそうだよな……!」と急に目を潤ませる。思いもよらない反応に、僕は少し焦る。

「え、えぇと……大丈夫ですか?」

「ごめん、俺、昔からちょっと涙もろくてな。単身赴任が続いて家族に会えない時間が長いと、こう……つい感情が込み上げるというか。いや、若い子の前で何泣いてんだって感じだよな、ははは」

 苦笑いしながら目頭を拭く姿は、どこか親しみと哀愁が混じっていて、僕の胸にもぐっとくるものがあった。朝食会場という公共の場だけど、僕はついつい心を込めて言葉を返す。

「いえ、すごくわかりますよ。僕はまだ家族を持ったことはありませんけど、やっぱり大事な人に会えないのは寂しいし、想いが溢れるのは当たり前だと思います。お子さん、絶対お父さんのこと待ってますよ」

「ありがとなぁ、佐藤くん。そういうこと言ってもらえると、今週末に帰省するのが楽しみになってきた!」

 浜田さんは照れくさそうに笑い、食事を再開。僕も横でパンやコーヒーを口にしながら、こういう出会いも悪くないなと思った。最近、本当に“おじさん”世代の人たちとの縁が増えていて、最初は戸惑ったものの、こうして悩みを聞くと人とその人その人の人としての人生があるのがわかって興味深い。

 朝食を終え、僕は仕事の打ち合わせへ向かうためにホテルを出た。ロビーで別れる前、浜田さんは「また後で会ったりするかな?」と言っていたが、僕は「ちょっとわからないです。夕方まで予定が詰まっていて……」と返答。
 そして夕方。無事に取引先との用事を終え、ホテルへ戻ってきたのは19時過ぎ。もうそのまま夜行バスで東京に戻るか、このままもう一泊して朝の新幹線で帰るか悩んでいたら、ロビーのソファでぽつんと座っている浜田さんを発見した。

「あ、浜田さん、まだここに?」

「おお、佐藤くん! ちょうどいいところに。実は……これから夕飯を食べようと思ったんだけど、一人飯も味気なくてさ。もし時間があるなら、一緒にどうかな?」

 嬉しそうな笑顔に押され、僕は断る理由もないし、せっかくだからと「じゃあ少しだけ」とお付き合いすることにした。どうやら浜田さんはこのホテルの近くにある居酒屋を見つけていて、そこがけっこう評判らしい。
 店に入り、カウンターに並んで腰掛ける。軽くビールを頼んだ浜田さんは「明日は午後イチで移動だから、少しくらい飲んでも大丈夫だろう」と言い、僕が「あんまり飲みすぎないようにしてくださいよ」と苦笑すると、「うん、わかってるよ。ありがとうなぁ」と嬉しそうに微笑む。

 注文した料理が続々と出てきて、どれも美味しそう。特に地元の食材を使った魚介料理には僕も目を輝かせる。食べ物の話題に盛り上がりつつ、話はやがて家族の話に戻っていく。

「娘がもう受験生で……なんだかあっという間なんだよなぁ。うちの会社の異動がもう少し早ければ、一緒に受験勉強も見てあげられたのに」

「でもオンラインとかでやり取りはしてるんですよね? 浜田さんが力になれることもあるんじゃないですか?」

「うん、リモートで単語テストしたり、メールで励ましたり……でもやっぱり直接会って話すのとは違うじゃない? 俺がいない分、母親に負担が偏ってる気がして申し訳なくてさ」

 なるほど、と僕はうなずく。家族を支える大切さを痛感しているからこそ、単身赴任という形が負担になっているのだろう。それでも仕事は仕事。家族を養うために稼がねばならない現実もある。
 しんみりした雰囲気になりかけたが、僕は率直に思ったことを口にする。

「でも、そういうふうに家族のことをすごく大切に考えてる浜田さんを、きっとお子さんたちは誇りに思ってますよ。僕だったら、こんなに気にかけてくれるお父さんって素敵だなって思います」

「そ、そうかな……?」

「はい。確かに離れている時間が長いのは寂しいかもしれないですけど、お父さんが一生懸命働いてくれてるんだってわかってると思います。だから、帰省したら思いっきり家族サービスしてあげてください!」

 あまりにストレートな励ましに、浜田さんは照れくさそうに顔を上げ、「ありがとな、佐藤くん……若いのに、なんだか頼りがいがあるなぁ」とポツリ。
 それだけでなく、ビールで少し酔いが回ったのか、急に僕の肩をポンと叩きながら「よし、今日からお前は俺の『もう一人の息子』みたいなもんだ!」などと言い出す。

「はは……『息子』ですか。じゃあ僕も浜田さんのことを『お父さん』って呼ぶべきですか?」

「勘弁してくれ、店の人に怪しまれるからな。……でもなんかいいよなぁ、こうして素直に話を聞いてくれる子がいて……俺、久々に嬉しいよ」

 照れ笑いしながらしみじみ語る姿に、僕の胸も温かくなる。いつの間にか僕はまたしても“おじさん”の心をキャッチしてしまったようだ。最初は偶然だけど、こうやって会話を重ねるうちに、お互いにポジティブな気持ちになれるなら悪くない。
 やがて時刻は21時を過ぎ、明日のこともあるのでそろそろホテルへ戻ろうという流れに。お会計を済ませて外へ出ると、浜田さんは「よし、明日は早朝にお土産を買って帰るかな。子どもに喜ばれそうなやつ探すぞ!」とすっかり上機嫌だ。僕は「そりゃいいですね」と笑って相槌を打つ。

 翌朝、チェックアウトするためにロビーへ降りると、ちょうど浜田さんがフロントに並んで精算をしているところだった。僕の姿を見つけると、大きく手を振ってこちらに来る。

「おはよう、佐藤くん。昨日はありがとうな! 帰省が楽しみになったよ」

「いえ、僕も楽しい時間を過ごせました。お気をつけて帰ってくださいね、家族サービス、頑張ってください!」

「ああ、頑張るよ。……これ、地元のお菓子らしいんだけど、会社へのお土産によかったら持って行ってくれないか? 昨晩、一緒に飯を食ってくれて嬉しかったからさ」

 と、小さな包みを手渡される。可愛らしい和菓子の詰め合わせだ。こういう気遣いまでしてくれるのは、人柄のなせる業だろう。僕は恐縮しながらもありがたく受け取った。
 別れ際に「東京に戻ったら、またどこかで会えるといいな」と何気なく言うと、浜田さんは「俺は単身赴任であちこち回るから、もしかしたらまた鉢合わせするかもな」と笑う。そうか、僕も出張でいろんな場所へ行くから、またいつか偶然会うかもしれない。
 そう思うと、胸がほっこりする。浜田さんは最後にちょっとだけ真顔になって、「家族を持つって、すごく大変だけど、本当にいいぞ」と小声で告げた。そして「若いお前に偉そうなこと言って悪いが、もし将来そういう道を選んだら、ぜひ大切にしてやってくれ」と付け足す。その目には優しさと少しの寂しさが混じっていた。

「はい、ありがとうございます……なんだか人生の先輩にいい話を聞けた気がします」

 僕が素直にそう答えると、浜田さんは「はは、ちょっとカッコつけすぎたかな」と照れ笑い。けれど、その笑顔にはどこか力がみなぎっている。きっとこれから家族のもとへ帰ったら、大いに愛情を注ぐに違いない。

 電車に乗り込み、僕は浜田さんからもらったお菓子の袋を見ながら、昨晩の会話を思い返す。単身赴任の寂しさに負けず、家族のために働く姿。なんとも温かくて優しい存在だ。

 最近、色々なおじさんたちと出会って思うけれど、みんなそれぞれ抱えているものがある。寂しさや責任感、意外な一面や秘密の趣味……それでも僕に向けられる眼差しは、いつも親しみと好意に満ちていて、僕自身も励まされるばかりだ。

「さて、帰ったら会社へのお土産を渡して……それから先輩に報告書を提出か。ああ忙しい。でも、ちょっとだけ心が軽いかも」

 車窓の向こうに広がる景色が徐々に都会へと変わっていく。次はどんな出会いがあるだろうか。正直、もう驚かないつもりだったが、毎回その個性やドラマに触れると心が震える。
 家族の写真を大事そうに見せてくれた浜田さんの表情を思い出すと、少し胸が熱くなる。そう、彼が抱えているのは大きな愛と、愛故の孤独かもしれない。でも僕は、そんな彼の想いに触れることができて幸せだと感じる。もしまた出会うことがあれば、今度はもっと家族トークを聞かせてほしい。

 電車が駅へ到着し、僕は再び都会の喧騒へ降り立つ。あの穏やかな出張先から一転、仕事モードに戻らなければならないけれど、心の中には確かな暖かさが残っている。
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