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護られる理由
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異変は、静寂を裂く轟音から始まった。
城全体が震える。
天井から砂塵が落ち、窓の外に白い閃光が走る。
「……っ」
セラフィエルの背の翼がざわめく。
あの光は知っている。天界の気配だ。
「追手か」
広間に現れたヴェルドが低く呟く。
次の瞬間、壁を突き破って白翼の天使たちが降り立った。
「堕天使セラフィエルを確認!」
冷たい宣告に、心臓が強く跳ねる。
なぜ、今頃になって――
反射的に前へ出る。
「私が出る」
罪人は自分だ。
自分の問題だ。
だが強い力で腕を掴まれる。
「下がれ」
「離せ、これは――」
「今のお前では無理だ」
初めての、明確な拒絶。
悔しさが胸を刺した。
だが、言い返すより早く光が放たれた。
セラフィエルの名を呼ぶ声が重なる。
「セラフィエル!」
敵の声。断罪の響き。
次の瞬間、視界が闇に覆われる。
ヴェルドの腕が、強く引き寄せた。
次の瞬間、闇が光を呑み込んだ。
耳をつんざく悲鳴。
圧倒的な力が空間を裂く。
ヴェルドの声が低く響いた。
「俺のものに触れるな」
その声音に、温度はない。
ただ殺意だけがある。
戦闘は一瞬だった。
光は砕け、白翼は地に落ちる。
静寂が訪れ、ゆっくりと視界が開ける。
気づけば、ヴェルドの胸に抱き込まれていた。
腕が背に回っている。
「怪我は」
低い声が、すぐ近くで落ちる。
セラフィエルは、無意識にその衣を掴んでいた。
はっとする。
「……私は平気だ」
離れようとするが、腕は解かれない。
「震えているな」
赤い瞳が覗き込む。
「怖かったか」
「……違う」
強がりだ。
だが指先はまだ布を掴んだまま。
ヴェルドの親指が、頬に触れる。
血ではなく、優しい温度。
「安心しろ」
低く、甘い声。
「俺がいる限り」
額が触れ合うほど近い。
「お前は奪われない」
その言葉が、胸の奥深くへ落ちる。
守られた。
選ばれた。
必要とされた。
それがこんなにも、甘いとは。
セラフィエルは、ほんの一瞬だけ。
腕の中で力を抜いた。
城全体が震える。
天井から砂塵が落ち、窓の外に白い閃光が走る。
「……っ」
セラフィエルの背の翼がざわめく。
あの光は知っている。天界の気配だ。
「追手か」
広間に現れたヴェルドが低く呟く。
次の瞬間、壁を突き破って白翼の天使たちが降り立った。
「堕天使セラフィエルを確認!」
冷たい宣告に、心臓が強く跳ねる。
なぜ、今頃になって――
反射的に前へ出る。
「私が出る」
罪人は自分だ。
自分の問題だ。
だが強い力で腕を掴まれる。
「下がれ」
「離せ、これは――」
「今のお前では無理だ」
初めての、明確な拒絶。
悔しさが胸を刺した。
だが、言い返すより早く光が放たれた。
セラフィエルの名を呼ぶ声が重なる。
「セラフィエル!」
敵の声。断罪の響き。
次の瞬間、視界が闇に覆われる。
ヴェルドの腕が、強く引き寄せた。
次の瞬間、闇が光を呑み込んだ。
耳をつんざく悲鳴。
圧倒的な力が空間を裂く。
ヴェルドの声が低く響いた。
「俺のものに触れるな」
その声音に、温度はない。
ただ殺意だけがある。
戦闘は一瞬だった。
光は砕け、白翼は地に落ちる。
静寂が訪れ、ゆっくりと視界が開ける。
気づけば、ヴェルドの胸に抱き込まれていた。
腕が背に回っている。
「怪我は」
低い声が、すぐ近くで落ちる。
セラフィエルは、無意識にその衣を掴んでいた。
はっとする。
「……私は平気だ」
離れようとするが、腕は解かれない。
「震えているな」
赤い瞳が覗き込む。
「怖かったか」
「……違う」
強がりだ。
だが指先はまだ布を掴んだまま。
ヴェルドの親指が、頬に触れる。
血ではなく、優しい温度。
「安心しろ」
低く、甘い声。
「俺がいる限り」
額が触れ合うほど近い。
「お前は奪われない」
その言葉が、胸の奥深くへ落ちる。
守られた。
選ばれた。
必要とされた。
それがこんなにも、甘いとは。
セラフィエルは、ほんの一瞬だけ。
腕の中で力を抜いた。
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