小説練習法の紹介

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トレーニングその十四 TRPG

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 大塚英志氏が創作を教える学校でカリキュラムにTRPGを入れてくれと頼んだことがあるそうです。それからTRPGにかつてのめり込んだというTRPG畑出身を自認する作家も沢山います。そしてTRPGのリプレイから生まれたロードス島戦記という小説もあります。
 TRPGは創作の基礎を学ぶのにとても有効なツールなのです。今回はこの遊びについて少し考えてみようと思います。

 TRPGとはボードゲームの一種で、ルールブックや関連小説なんかを参考にシナリオを書き、審判と物語の進行役を務める一人のゲームマスターとゲームをプレイする複数のプレイヤーとで会話形式で遊ぶゲームです。TRPGはテーブルトークロールプレイングゲームの略です。アドリブでセリフを言ったり、サイコロを振りキャラクターの行動を判定したりする、プログラムで動くRPGとは比較にならないくらい自由度が高い遊びです。
 遊ぶためには数人で集まらなくてはならないのですが、最近ではネットでやり取りをするオンラインセッションなどもあるようです。

 実は子供の頃に少しかじったくらいで僕自身はあんまりTRPGをやったことは無いんですが、幾つかルールブックや設定資料集なんかを読んでみて、ゲームのルールを理解するだけでもかなり勉強になった記憶があります。
 ゲームのルールブックを読めば、ある程度の心得のある人ならすぐにシナリオが書けると思います。もちろん面白いシナリオを書くのは難しいですが、ゲームに必要ないくつかのパートを組み合わせる形でシナリオを執筆するので一から創作するよりは随分と物語が形になると思います。

 情報収集パートで謎を解き、事件の真相に迫りダンジョンへ突入し最後はバトルで締めくくる。と言った一定のパターンがあります。このパターンを使って短編小説を書いてみるのも良い練習になると思います。一番良いのは実際にTRPGを遊ぶことだと思いますが、そこまで時間が取れないとかゲームのプレイに興味がないと言う人も、一度TRPGのルールブックを読んでみることはとても勉強になると思います。僕個人のお勧めはクトゥルフ神話TRPGです。ネット上に多数のシナリオがアップされていますしそのままクトゥルフ神話系のストーリーのたたき台になります。トレーニングその十三で紹介したシェアードワールド小説でクトゥルフ神話を書きたいなと思ったら、文句なくお勧めの資料はTRPGのルールブックです。

 ネット上でTRPGのシナリオを配布している人たちがいると話しましたが、ルールブックを読んで、そういったシナリオを読むだけでも凄く勉強になります。しかし*20の『キャラクター小説の作り方』にも語られているんですが実際にプレイヤーやゲームマスターとしてゲームをすることで身に付く要素も大きいようです。

 ルールブックに書かれている設定やルールは物語を喚起しやすいよう調整されています。そういった要素を一つ一つ確認してみると自分で世界観を作るときにも、どういった要素が必要とされるのか参考になるでしょう。
 またTRPGの実際のプレイを記録した、リプレイ小説というものもあります。これを読むのも参考しなりますし、実際にゲームをプレイする際にもその手順を学べるので、気になったTRPGがあるならそのリプレイを読んでみるのも良いでしょう。

 TRPGについては以上です。
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