怪談居酒屋~幽へようこそ~

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何か見える②

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 ☆

 私が一番最初にそれと行き会ったのは小学校の高学年の時でした。たぶん五年生だったんじゃないかな。海に家族で遊びに行ったときです。

 その頃から私の目はすでに悪くて、度の強い眼鏡をかけてそれでも遠くはよく見えませんでした。

 泳いで遊んで民宿に泊まって、それはとても楽しかったことを覚えています。父と母と兄と私、四人で行ったんです。

 民宿で朝ご飯を食べて、海へ出る前にちょっと休憩した時です。私は民宿の二階の窓から海を見ていました。ぼやけて見えるんですが、波が行っては返って綺麗なんですね。その青さだけは私の目でもわかりました。ビーチにはまだポツポツと遊んでる人がいるくらいで、静かな時でした。

 ふと遠くに何か見えたんです。何か白くてくねくねしたものが。船かな? あれは多分船が蜃気楼みたいに揺らめいて見えているんじゃないかと思ったんです。
 でも、私はそのくねくねしたものを見たとき。何かとても不吉な予感がしたことを憶えています。それは船にしては浜辺にいるようにも見えて、不自然なんです。
 しかし、私の視力ではそのくねくねしたものの正体は分かりませんでした。

 兄に「あれ、何か変なもの見えない?」と言いました。兄は最初ちょっと見て「別に何も見えないよ」と返すんです。
 私は「ほら……あそこの白いくねくねしたやつ」私が指さすと「どれ」といって兄は目を細めました。

 次の瞬間です。兄は突然「うわぁぁぁ!」と悲鳴を上げて倒れました。父と母は何事かと私らのもとへ走り寄ってきました。
 何事だ! と父が言うので、私はあれが見えた辺りを指さして「あれを見たら急に倒れた」と言いました。

 父も目を凝らして私が示した先を見るんですが、「何もないじゃないか」というんです。
 私も見てみると、あの白いくねくねしたものはもう見えませんでした。

 目を覚ました兄も何を見たかは憶えていませんでした。結局浜辺の照り返しの強い光を見たので昏倒したのだ。という事にその場は落ち着きました。でも兄はずっと何かに怯えているようでした。

 その後も時々、外を歩いているときや高いところに上った時にあの白いくねくねしたものを見たんです。いつ見ても私の目ではあれの正体は分かりませんでした。
 私に見えているときは、どうやら他の人にも見えるようなんです。

 ある時外を散歩している時でした。私の目に遠く水平線の辺りに、またくねくねしたものが見えたんです。でも私はあの日以降、それが見えても他人にそれを教えることはありませんでした。大抵の場合それは見つかることなく何事もなく終わることが多いのですが。その散歩のときは運悪く、私の後を歩いてきた女の人がいたんですが、見てしまったんでしょうね。「きゃあぁぁぁ!」と短く叫んで倒れたんです。

 しまった! と思ったときはもう遅かったんです。私は女の人に駆け寄り「大丈夫ですか?」と声を掛けました。女の人は完全に意識を失っており、私は救急車を呼びました。
 そんなことが何度かあったんです、私にははっきり見えなくても、それを近くの人が見てしまうんでしょうね。

 なんでそんなものに取り憑かれたかわかりません、なんせ正体が私にはわかりません、視力は先天的なものでよくすることもできないんで、私にはあのくねくねの正体を見ることができませんからね。

 色んな、例えば自称霊能者に除霊を頼んだり、お祓いを受けてみたりもしましたが、そもそもあれが霊とかそういうものなのかすらわかりません。やっぱり効果はなかったです。

 そんな時にここの噂を聞いたんです。どうか私からくねくねを祓ってはいただけないでしょうか。
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