17 / 30
お兄ちゃん
しおりを挟む
これも以前エブリスタで書いた話だが、改めて書き直そうと思う。
僕が学生だった時の話だ。当時東京に出てきたばかりの僕は、兄の住んでいた一人部屋のアパートに転がり込んでいた。
風呂無し一部屋の言っては何だがボロアパートだった。
夏の蒸し暑い夜その部屋で眠ろうとしていた時である、トントントントンと子供の足音がした。その足音は僕の頭のすぐそばで止まった。
見てる……と思った。覗き込まれている様な視線を強く感じる。僕は固く目をつむり、かけていた毛布を頭からかぶりやり過ごそうとした。
しばらくすると、その気配はふっと消えた。僕は恐る恐る頭をあげて辺りを見てみる……。何もいない。
ほっとして、そのまま寝入った。しばらくしてうつらうつらとしている時だった。
突然隣で寝ていた兄が飛び起きて部屋の明かりを点けた。兄の顔は真っ蒼になっていて、冷や汗が額に浮かんでいた。
何事か兄に聞くと「小っちゃい女の子が胸にのしかかってきて、お兄ちゃん……お兄ちゃんって言うんだ」
金縛りにあった兄は俺はお前のお兄ちゃんじゃない、と必死に念じたというではないですか。
僕が聞いた足音の話をすると、兄は身震いをして怯えた。
アパートのあった東京、高田馬場駅から徒歩で少し歩いたところにあるその通りは、昔空襲で沢山の人が亡くなった場所なんだと言う。その通りにある建物では幽霊の目撃譚が頻発していた。
まだ彷徨っているんですかね? 僕たちは少女の冥福を祈り、お菓子と水をそっと部屋の隅に供えた。
僕が学生だった時の話だ。当時東京に出てきたばかりの僕は、兄の住んでいた一人部屋のアパートに転がり込んでいた。
風呂無し一部屋の言っては何だがボロアパートだった。
夏の蒸し暑い夜その部屋で眠ろうとしていた時である、トントントントンと子供の足音がした。その足音は僕の頭のすぐそばで止まった。
見てる……と思った。覗き込まれている様な視線を強く感じる。僕は固く目をつむり、かけていた毛布を頭からかぶりやり過ごそうとした。
しばらくすると、その気配はふっと消えた。僕は恐る恐る頭をあげて辺りを見てみる……。何もいない。
ほっとして、そのまま寝入った。しばらくしてうつらうつらとしている時だった。
突然隣で寝ていた兄が飛び起きて部屋の明かりを点けた。兄の顔は真っ蒼になっていて、冷や汗が額に浮かんでいた。
何事か兄に聞くと「小っちゃい女の子が胸にのしかかってきて、お兄ちゃん……お兄ちゃんって言うんだ」
金縛りにあった兄は俺はお前のお兄ちゃんじゃない、と必死に念じたというではないですか。
僕が聞いた足音の話をすると、兄は身震いをして怯えた。
アパートのあった東京、高田馬場駅から徒歩で少し歩いたところにあるその通りは、昔空襲で沢山の人が亡くなった場所なんだと言う。その通りにある建物では幽霊の目撃譚が頻発していた。
まだ彷徨っているんですかね? 僕たちは少女の冥福を祈り、お菓子と水をそっと部屋の隅に供えた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる