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精神世界へ

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空模様と心模様がリンクする

今年の5月は雨ばかり


毎日どうしたらユウ君への気持ちが自重できるのか、思い悩んでいる

そんなおり、他の異性から相談される
レイ君

自分のことを何も解決できてないのに、
他人の相談なんて上手いアドバイスができる訳もない
けど、レイ君も一回り以上も下の若い彼女に対する恋心を、会いたくなる現象を、そばに居たくなる気持ちを、自重しようと悩み、頑張る姿に自分を重ね、親身に考えた

一方、羨ましくもあった

男女の立場が私とは逆だけど
もし、私がレイ君だったら

本当に好きだったら、愛していたら

いつまでも待つだろうって

失敗したって良い

待つんだろうな、って


レイ君たちの年齢的なことを考えると
そんな勝手なアドバイスはできなかったけどね

私にはセイコから貰ったアドバイスの受け売りをするくらいしか出来なかった

「考え過ぎないで」って

以前、セイコと飲みながら言われたことも思い出したよ

「沈んだ気持ちのアンタに魅力はないよ!
普段通り、凛として輝いてないとブスに見えるもの(笑)」

だからね
レイ君にも同じ様に
「落ち込んでると魅力なく見えちゃうわよ?」
ってね

そうだよね・・・
そう自分で言っておきながら考えると
自分自身も同じことよね

と同時にセイコも本気で私のことを考えてくれていたんだよね


誰かを愛していることを自分自身、分かっていても

誰かに愛されていることには自分自身、気づいていない



愛している人がいて、私には彼しか見えなくて
周りが見えていなかったことに気付いたのは、こんな相談があった
ユウ君と最後に会ってから丁度3週間後のことだった



その日は昔の職場の先輩のコウさんと何年振りかに飲む機会があって
相変わらず体調は最悪だったけど、今や参加せざるを得ない立場もあって一緒に飲むことに

コウさんは私の入社以来ずっと目に掛けてくれていた先輩だったし、久し振りというのもあって昔馴染みのニシ先輩が営むBARへ行くことになったの

ニシ先輩と私は何年もずっと、やり取りをしていたし、ここ最近はユウ君の相談ばかりだった


ふとしたことからニシ先輩とのLINEのやり取りを見返してみたの


新発見があってね
ニシ先輩から
「恋はどう?」
って質問が来たのは1年とちょっと前の4月中旬のことだった

LINEは凄いね
昔のやり取りがずっと残ってる

抑えて抑えて、自分でも分からなくなってたんだと思う

私は最初からユウ君が好きだったんだ
って、
今になってやっと気付いたの


それは2回目のデートを断って以来、

「でも、会いたいなぁ、かも」以降

頻繁にユウ君に会えていた時期にニシ先輩へ相談を持ちかけていた内容を復習したからだった

ニシ先輩との私の恋バナやり取りは内容こそ、それだけだったけど、
1年以上も前から想いを募らせていたことに気付いて、また、涙が溢れてしまった


自分が可哀想だから?

違う


ユウ君に振り向いてもらえなかったから?

違う


ただ、ただ、悲観的に思い
周りが見えずに突っ走ってしまった私の愚かさに、それらを含めて涙が流れたんだと思う


ニシ先輩とのそのLINEの、もっと前まで時代を遡ってみたから

分かっていること、気付けずにいたことに直面したんだ


直面した事実は

恋は盲目ってこと


今も、過去にも、私を愛してくれている人、私を好いてくれる人、私を気にかけていてくれる人は、性別に関わらず、居てくれるってこと


ニシ先輩は冗談混じりながらも、何年もずっと、私に会いたいとか
時にはどストレートにアピってきたり

どこまでの気持ちだったかは分からない

けど、今の私と変わらない


変わらない?


だとしたら


そのときの私と今のユウ君は変わらない?



ニシ先輩とのやり取りは何年も前のこと

返信が何時間も遅かったり、返すこともなかったり
お誘いは断ってばかりだったし
でも、私からしたら憧れの人であったのも事実
人として好きだけど
恋愛対象なんて考えたこともなかった


ユウ君、アナタは私をどう見ていたのかしら?


結局のところ私は
愛されるより、愛することを選んだ

それだけのこと


自分がやったことは自分に返ってくる


過去の
ユウ君と出会う前の、もっと過去の清算から始めなければ

私の罪は
そこから?

いや、それよりも更に過去から?


私は過去の自分探しから始めることにした・・・



答えは直ぐ近くにあった

私を好きでいてくれるニシ先輩と、今もまだ続いているのは、私だってキライではないから
尊敬しているし憧れている

思えば、ユウ君だって私を嫌っている訳じゃない

ただ、恋愛対象ではないってこと

そんな、当たり前のこと、私は最初から分かっていたはず

分かっていて
それでも想いを届けたくて
でも、上手くできなくて
気付いて欲しかったけど
気付かせることもしないで

その上、勝手に悔やみ、悲しんでいただけ


愚か


私は愚かだ


人の想いは錯誤する

その不条理なスパイラルは
想いも時代も構わず、方向性だけ誘って

まるで神の啓示は恰もそこにあるのではないかと錯覚する


一方、時や現況に抗う私もいる

信じた愛を
温め、慈しみ
傷つき
悲しむ
それでも、愛を捨てられない


それが

人なんだと気付く



ヒントはいっぱいあった


アナタが私に言ってくれたこと


仲間がわたしを慰めてくれたこと


知らない誰かだって


街にも溢れるほど


自分の直ぐ近くにあったこと


誰かが歌ってたこと


誰かがつぶやいたこと


キミたちが私にくれた言葉たち




その全てが



愛であったと



人をどう思おうと

それは紛れも無い

愛だよ



その形は


その人にとって心地良いものでなければならない


5月の雨足はドンドン強さを増していく
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