初級技能者の執行者~クラスメイトの皆はチート職業だが、俺は初期スキルのみで世界を救う!~

出無川 でむこ

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第一章

第40話 チュートリアル終了

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俺達は3時間掛けて、基地に着いた。

一方、アイリスは車に降りた途端に急いで岩の後ろに走って行った。
うん、自業自得だな、なんかビシャビシャ音が聞こえるけど、気のせいだ。

「主人ー、アイリスはどうしたのだぁ?」

「ファフニーは気にしなくてもいいんだぞー」

俺はファフニーの頭を撫でる。
撫でるとキューと喉を鳴らす。
何だか、自分の妹を持ったみたいで可愛らしかった。

すると、羨ましそうにクレナも見つめていたから、撫でた。
先ほどまで、怖い表情から一変して、上機嫌になる、良くも悪くも分かりやすくて助かる。

俺はアイリスを呼んだ。

「おーい、アイリス行くぞー」

「ふぁーい・・・」

遠くから弱々しい声が聞こえる。
しばらくすると、岩陰からアイリスがお腹を押さえて出てくる。
俺達は基地に戻ったのだ。

俺達が返ってくると、最初に来たのが・・・。

「お帰りなさいなの」

疾嘉だった、疾嘉は俺達をジロジロと見つめる。

「ふむ、怪我はなさそうなの」

成る程、疾嘉は俺達の事を心配していたようだった。
そうだな、相手が相手なんだ、心配するのも無理ないのかな?

「ところで、豚杉さん」

「おい、ちょっと待て」

前言撤回だ、俺の事は心配していなかったようだ。
相変わらずの豚を見るような目で見ていやがる、コヤツめ!!

奥の方から、誰から誰かがチラ見をしている。
茶髪の短髪の女性・・・、最初の修業相手のユキだ。
俺はユキと目が合うとこちらに歩いてくる。

「オカエリ・・・」

ユキはそう言ったのだった。
珍しい、普段は自分から喋ろうとしないのに・・・何故カタコトなのかは置いといて。
何故、そんなにソワソワしているんだ?
気になっていると、疾嘉が咳払いをして話はじめる。

「黒杉さん、結局どうでしたか?」

「そうだった」

俺は肝心の報告を忘れていた、大体は疾嘉さんのせいだけど、せいなんだけど!!
感情を抑えて、今までの出来事を話した。
月ノ城の事や、俺達のクラスメイトの事、そして最後に逃げられた事を簡潔に話した・

「ふむ・・・、逃げられちゃいましたか。」

「連れて帰れなくてすまないな」

「いいえいいえ、むしろ貴方達が生きてて良かったですし、むしろ3ヶ月掛った事を2日やり遂げるだけでも儲け物です。」

それは疾嘉の素直な称賛だった。
普段、疾嘉さんには汚い豚の目で見られているから何だかムズムズするし、嬉しかったりの複雑な気分だった。
そういや、疾嘉さんに一つ渡すのを忘れてた。

「疾嘉さん」

去ろうした、疾嘉を呼び止めた。

「何でしょうか?」

「そういや、魔物を倒した時に出てきたときにこんな物拾いました。」

「もっと早く言ってほしかったなの。」

それはすまなかった、うん。
俺は収納から、バーのマスターから見せてもらった奴と同じの禍々しい石を渡す。
あんだけ、魔物を倒したんだ、あちらこちらに石が落ちていたから何個か拾って持って帰ったのだ。
疾嘉はその意思を見せると、険しい顔をする。

「これはどこで拾ったなの?」

「魔物から拾いました、なんだか月ノ城さんの禍々しいオーラに似ていたので持ち帰ってきました。

疾嘉は何やら考えているようだ。
その目は黒い石を観察するように見る、どこか心当たりでもあるのであろうか?
数分の間、沈黙が続いて、疾嘉はやっと口を開く。

「こちらを貰っても良いなの?もしかしたらウサさんを戻せるかもなの」

疾嘉の突然の話に驚いたのだった。
なんせ、あの状態の月ノ城さんを何とかできるかもしれないと言っているのだ。

「本当ですか!?」

「なのなの、だから持っている石を譲ってほしいなの」

俺は収納から黒石を全て渡した。
疾嘉はお礼を言って、アバダギさんだっけ?その研究室に一人で向かったのだった。

すると次はサンクが

「では、私はこれにて」

「あぁ、付き合ってくれてありがとう。」

「いえいえ、こちらこそありがとうございました。」

互いに握手して、自分の部屋に戻った。
さて、先ほどソワソワしているユキなんだが・・・。

「どうしたんだ、何か言いたいことでもあるんですか?」

「ハグレが呼んでる。」

ただ、その一言だけ言ってスッキリしたように、何処かへ行ってしまった。
それだけかよ!!もっと重大的な何かだと思ったよ!?

「ヨウイチ・・・」

アイリスが俺の裾を引っ張る。
未だに、アイリスの顔色がよろしくないようだ。

「先に部屋に戻る・・・」

「お、おう・・・」

そう言って、お腹を押さえてトボトボと俺の部屋に戻っていった。
何故、自分の部屋に戻らない・・・。
流石に此処までなるのは少し予想外だった。
それを見た、クレナは心配するようにアイリスについて行った。

「ヨウイチ、アイリスを見てくるわ。」

「すまないな。」

残りはファフニーなんだか。

「ファフニーはどうする?」

「むむ?主人について行くのだー」

ファフニーと俺はハグレがいるエンジニア室に向った。
しばらく、歩いていると患者服を着ている、シルクさんがいた。
どうやら、訓練所で修業している人達を見ていた。

「シルクさんじゃないですか。」

俺がシルクさんの名前を呼ぶと、猫耳帽子をピコピコ反応させて、こちらを振り向く。
なんだか、何時のシルクさんの調子ではなかった、それどころか何だかしおらしかった。

「あ、よーくん、お久しぶりです。」

うーん、なんだか調子が狂うなぁ。
俺はシルクさんに近づいて、頬を引っ張る。

「いひゃい!?ひゃひをすふんでふかぁ!?」

「はは、すまないな!何だかその表情を見てると何だかムズムズしてな!!」

俺は頬を引っ張るのをやめた。
あんな状態のシルクさんは見たくないからな、何時も明るく振りまく姿を見たいんだ。

「もうー!いったい何するんですかー!」

怒っているけど、そこまで怖くないんだよなぁ・・・。

「すまんすまん!シルクさんがあまりにも元気がないのでついやってしまいました。」

そう伝えると、シルクは我に返って謝る。

「す、すみません・・・、やっぱりあの時の事を引きずってしまいまして。」

「いや、良いんですよ。それに疾嘉さんがもしかしたら、あの状態の月ノ城さんを救えるかもしれないって言ってましたし。」

「それは本当ですか!うーさんを救えるんですか!!?」

それを聞いた、シルクは目を見開いてグイっと近づいてくる。
近い近い近い!!!
俺は咄嗟に後ろに下がり、黒石の事を説明をする。

「な、なるほど!でかしましたよ!よーくん!!」

さっきとは違って、目に希望に満ち溢れていた。
うんうん、やっぱりシルクさんはこうではないとだな。
俺は手を振って、シルクさんと別れた。


―――――エンジニア室

それは何時もの光景だった。
そこには武器を叩く、ハグレの姿があった。
自動ドアの音が聞こえたのか、こっちを向く。

「よぉ旦那!二日ぶりじゃねぇか!」

そう言って、ゴーグルを外して、こちらへと歩いてくる。
叩いていた武器を見てみるとどうやら、刀の形をしていた。
刀と言えば、ハグレがから貰った刀が綺麗に一刀両断されたんだよね・・・。

「久しぶりだな、ハグレ」

「おうよ、おかげさまでな!」

俺は達は何時もの挨拶で互いの拳をあわせた。

「所で要件はなんだ?」

「ふむ、実はだな、新しい刀を作ろうと思ってな。」

ほぉ、それは丁度良かった。
俺はハグレに自分が月ノ城さんの戦闘で折れてしまった事を伝えた。
ポッキリ折れた、刀は見たハグレは少し悲しそうに見つめていた。

「やはり、勝てなかったか・・・・」

「やはりとは?」

「いやな?月ノ城さんの妖刀には単純に勝てないのは分かってたんだ。
ただ、こうも簡単に綺麗にポッキリ折られるとなぁ、鍛冶職人かつエンジニアとして越えられない壁があってよぉ悲しくなるんだわ。」

職人としての意地なんだろう。
しかし、俺はハグレの腕前は紛れもなく本物である。
今回は相手が悪すぎたのだ、武器もそうだけど月ノ城さんの抜刀術は時限を超えているのだ。
単純に私の技量不足でもあるから、ハグレのは悪くはないんだよなぁ。

「それでだな、旦那に頼みたい事があるんだ!」

「お?俺が出来る限りなら」

「まぁ、旦那というより、そこにいるファフニーのお嬢ちゃんに頼みたいんだ!」

ハグレはファフニーの方を見て、再び俺の顔を見る。

「ほぇ?私なのかー?」

「おうよ、嬢ちゃんに旦那の武器づくりに色々手伝ってほしい事があんだ!例えば蒼い炎とかよ!
ドラゴンの炎ってのは生命や魂の輝きで出来ているんだ!普通の炎じゃ作れねぇ武器が作れるわけよ!」

「ほー・・・」

それは興味あるな、ドラゴンの魂は高貴なものと聞いた事あるな。
しかし、ファフニーがなぁ、天然そうだからあまり高貴そうには見えないんだよねぇ。
そう思いながらファフニーを見ていると。

「それにだな、俺の見立てだと嬢ちゃんの炎は素晴らしい物だ、特に蒼い炎は昔はこの世界を守った神竜の証なんだ、神竜はとても賢いと聞いたことはあるぞ。
もしかして、嬢ちゃんの先祖は神竜だったかもしれないな!」

「ほえぇー」

俺から見たら、ファフニーは今の会話は分かってないと思うんだが気のせいだろうか?
だって、明らかにアホの顔をして理解していない感じがしかしない。

「ファフニー、ハグレを手伝ってやってくれないか?」

「主人の頼みならば!」

「おうさ!嬢ちゃんよろしく頼むわ!旦那の為に良いものを作ってやろうぜ!!」

「おー!」

二人は気合入れて、作業に取り掛かったのだった。
さて、この場にいると邪魔になるだろうだから俺は退散しますかね。


俺は何時もの場所で一人で使っていないスキルを練習をしていた。

―――――――――――――???


ここは北東の最果て

木は枯れ、土は死んでいる。
とても人が住める場所ではなかった。
しかし、魔素はとても濃く、"魔人"達には絶交の居場所だった。

一人の女性の魔人が王座に向って走り出す

「ま、魔王様ぁ!!!」

魔王、それは"魔人"の王にして頂点に立つ物。
魔人達を統べる者として君臨する。

「なんだ、騒がしいな、一体どうしたんだ。」

綺麗な黒髪の美しい氷のような瞳をもち。
その瞳を見たものは惹かれない者はいないぐらいに、その瞳に負けない位の整った顔立ちをしていた、20代ぐらいの成年の姿をした者が書庫で仕事していた。
彼の名はアーク・S・ブライ
この世界の絶対的支配者、最強の魔王として君臨している。

「北の"魔獣"がこちらに向って進行しています!!数はおよそ10万体!!」

「おいおい、またかよ!!今週で6回目だぞ・・・、俺は疲れていると言っておけ!」

そう彼が魔王なのだ。

「ですが、流石にあの規模でこちらに進行しているとなりますと周りの町に被害が!!」

「えー・・・、俺だって魔力は無限じゃないんだよー?このままだと過労死しちゃうよー!」

そう彼こそが 魔 王 な の だ!!!

「今は亡き姉の為にもこの世界を守ると言ったのは貴方でしょう!?」

「えー・・・、どうしても行かないとダメ―?」

「お願いします、お願いしますから!!後でおやつも奮発しますから!!」

そう、このダメ人間っぽい人がこの世界で最強の魔王である。

「しょうがないにゃぁー、ちょっとだけだぞぉー、ほらーベルゴも行くぞ」

そう言って、ベルゴと言う女性を腕を引っ張る。

「ま、魔王様!?」

「ほら!いくぜ!」

アークは邪悪の笑みをしながら、指を鳴らす。

「『転移』」

その瞬間、景色は一瞬で変わり、上空にいたのだ。
見下ろすと、そこには魔物の群れが見える。

「ふんふん、127053体いるのな。」

「え、数えたんですか?」

「え?これぐらい簡単だろ?副官ならしっかりしろよなー」

「す、すみません・・・。」

魔王は首、腕、足、足首と準備体操を始める。
そう、絶対なる強者は準備体操を欠かさないのだ!!

「さて、やりますかねぇ」

魔王は美しい水色の目が氷が溶けるように赤色になり真紅の目になる。
そして、両手の親指と人差し指で写真を撮るよに構える。

「うんうん、外に出たらは外の景色を撮るのが一番だな!!今日は良い写真撮影ができそうだな!」

「ま、魔王様?」

やがて、手に大量の魔素が溜まっていく。
やがてその魔素は大気を震えさせる、それに気づいたのか魔物達は一斉に上を見る。

「さぁ、此処からは通行禁止だぜ!!『道をふさぐ者(サタデー・フィーバー)!』」

大気中に充満した、魔素を赤い結晶に具現化させて、血の雨が光るように魔物に降り注ぐ。
その結晶は魔物一体一体ずつに"心臓"を貫いた、貫いた心臓はやがで結晶化して、やがて心臓は止まり絶命する。

僅か3分、12万体もいた魔物は全て、魔王の力によって全滅した。

「よし!解決!」

「ひぇー・・・!」

そう言って、ベルゴに向けて親指を立てた。

「ウワッハッハッハ!さて!おやつは後でいいから、後始末よろしくねぇー」

「は、はい・・・ありがとうございました。」

そう言って、彼は転移で消えて行った。

そう、陽気に笑う彼こそは最強の魔王「アーク」なのだ!

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