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アホな飼い主とアホなインコのエピソード
てきとーいんこマーケティング論
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インコを飼ったら、必然的に餌などのインコ用食べ物を定期的に購入することになる。
これはインコ飼ってる間、継続的に発生する需要であり、飼い主である客側からみたら、いわゆる「維持費」だ。
一方、ペットショップやペット用品メーカー側からすれば、継続して購買する飼い主層を戦略的に魅惑するペット用品を取り揃え、売上げアップに勤しむ。資本主義の基本だ。
継続する需要が餌や栄養補助食品の類いであるのに対して、一方で”なくてもいいけど あったら楽しいかも”と思わせるカテゴリーの商品が、いわゆる”インコ用おもちゃ”ってやつだ。
これらがたくさん売れれば、お店やメーカー的にも嬉しい商品だ。
ところで最近の消費者心理のキーワードって何だろうか? 当然このキーワードに沿った商品を提供すれば売れるわけだ。
インコの飼い主である私の出した答えは、”自然で優しいナチュラル志向のおもちゃ”だ。このキーワードから導き出される”インコ用おもちゃ”ってどんなものかと問われたら、優しいぬくもりの残ってる感じのする無着色の木のおもちゃが欲しいと答えるな。
しかし、だ。店頭のインコ用おもちゃコーナーをある日覗いた私は、驚愕のあまり65秒間その場にフリーズしてしまった。
「それ」は、明らかに私の支持する要望を無視した商品だった。
そのコーナーに燦然と置いてあったのは……置いてあったのは……セキセイもどきであった……。
それは、妙にリアリティーを追求しているにもかかわらず、微妙に本物いんこと形の違う、「プラスチック」のインコ型おもちゃであった。止まり木に通してブラブラさせて使うための輪っかとおもりがセキセキもどきの下についている。
形の微妙さ加減が違和感をかもし出し、私は一瞬クラリとなった。
更に変なのは、その彩色だ。微妙とかいうレベルではない。
全体は彩色していない素のプラスチィックの白色に、スプレーで何故か! わざわざ! セキセイの顔の部分を鮮やかな赤色や青色に彩色してあった。
セキセイの顔色ってほとんど白か黄色か緑なのに、コストかけてなぜ、わざわざ青やましてやセキセイには存在しない赤色に着色するわけ? ねぇなんで?
そして頬毛がわりに、何故か胸毛部分に大きな黒い点4つ。
私の思う消費者ニーズは「自然で優しいナチュラル志向」だったが、これはその論理に真っ向から異を唱える商品だった。売れるわけがない、私は内心でばっさり「セキセイもどき型おもちゃ」を否定し売り場を去った。
それからしばらくしたある日のこと、帰宅した我が家のテーブルに”それ”があって私は激しくショックを受けた。
「な、なんでこんなものが、ここにあるんだっ!?」
それを買ってきた夫は
「うちのインコ、喜びそうじゃない?」
とぬかしたんである。
「よ、喜ぶわけないだろがっ!」
「なぜそう言いきれるの?」
「だって、これナチュラル志向の商品でないもの!」
「ほぉ~、じゃきくけど、インコがナチュラル志向だと、いつ言ったわけ? え? インコがそう言ったの??」
「……」
「ナチュラル志向にこだわってるのは インコじゃなくて、あなた、でしょ?喜ぶか否か、それはいんこが決めることじゃないの?」
「そ、そうだっ!インコに決めさせる、望むところじゃーっ!(怒)」
一週間後、その”もどきおもちゃ”は、インコのかけがえない恋人になっていた……。
変な胸の黒点が魅力的らしく激しく愛でている謎……。
うちひしがれる私の横で高笑いする夫と、インコもどきしか目に入らなくなったらしい我が家のアホインコ……呆然。
もしかしてうちのインコの趣味が変態なだけかも、と思ったら、きくところによると同じ状況が案外そこらじゅうで多発しているらしい。
この事態を目の当たりにして、私は初めて考えた。
ペット用品メーカーにおける顧客とは、飼い主なのか? いんこなのか?
両方に満足できるものが理想だと思うが、インコもどきを作ったメーカーは明確だった。この”セキセイもどきおもちゃ”は、使用者である所のインコの希望に徹底的に答えた商品作りをしているのだ。
一方で、飼い主である私の希望は、いまだにナチュラル志向な”ぬくもりの木のおもちゃ”であって、実際 そういう商品も存在するのも事実。メーカーやショップの「飼い主の要望対策」も進んでいるってことなのかもしれない。
しかし、我が家のインコは「鳥の要望に忠実な」商品を愛し続けている、それは紛れもない事実である。
このように、購買層と実際の使用者が一致しない結果、それぞれ同じ目的でありながら商品が二極化している(多様化とはちょっと違うと思われる)のだなと、私は思った。
そして私は、遠い子供の頃の夏の日のことを思いだした。
舌が染まるほど真っ赤っ赤なジュース、キンキンに凍らせてズズ-ッとすするの美味しかったな……、で後で舌の色で親に買い食いしたのばれていたっけな~。
これはインコ飼ってる間、継続的に発生する需要であり、飼い主である客側からみたら、いわゆる「維持費」だ。
一方、ペットショップやペット用品メーカー側からすれば、継続して購買する飼い主層を戦略的に魅惑するペット用品を取り揃え、売上げアップに勤しむ。資本主義の基本だ。
継続する需要が餌や栄養補助食品の類いであるのに対して、一方で”なくてもいいけど あったら楽しいかも”と思わせるカテゴリーの商品が、いわゆる”インコ用おもちゃ”ってやつだ。
これらがたくさん売れれば、お店やメーカー的にも嬉しい商品だ。
ところで最近の消費者心理のキーワードって何だろうか? 当然このキーワードに沿った商品を提供すれば売れるわけだ。
インコの飼い主である私の出した答えは、”自然で優しいナチュラル志向のおもちゃ”だ。このキーワードから導き出される”インコ用おもちゃ”ってどんなものかと問われたら、優しいぬくもりの残ってる感じのする無着色の木のおもちゃが欲しいと答えるな。
しかし、だ。店頭のインコ用おもちゃコーナーをある日覗いた私は、驚愕のあまり65秒間その場にフリーズしてしまった。
「それ」は、明らかに私の支持する要望を無視した商品だった。
そのコーナーに燦然と置いてあったのは……置いてあったのは……セキセイもどきであった……。
それは、妙にリアリティーを追求しているにもかかわらず、微妙に本物いんこと形の違う、「プラスチック」のインコ型おもちゃであった。止まり木に通してブラブラさせて使うための輪っかとおもりがセキセキもどきの下についている。
形の微妙さ加減が違和感をかもし出し、私は一瞬クラリとなった。
更に変なのは、その彩色だ。微妙とかいうレベルではない。
全体は彩色していない素のプラスチィックの白色に、スプレーで何故か! わざわざ! セキセイの顔の部分を鮮やかな赤色や青色に彩色してあった。
セキセイの顔色ってほとんど白か黄色か緑なのに、コストかけてなぜ、わざわざ青やましてやセキセイには存在しない赤色に着色するわけ? ねぇなんで?
そして頬毛がわりに、何故か胸毛部分に大きな黒い点4つ。
私の思う消費者ニーズは「自然で優しいナチュラル志向」だったが、これはその論理に真っ向から異を唱える商品だった。売れるわけがない、私は内心でばっさり「セキセイもどき型おもちゃ」を否定し売り場を去った。
それからしばらくしたある日のこと、帰宅した我が家のテーブルに”それ”があって私は激しくショックを受けた。
「な、なんでこんなものが、ここにあるんだっ!?」
それを買ってきた夫は
「うちのインコ、喜びそうじゃない?」
とぬかしたんである。
「よ、喜ぶわけないだろがっ!」
「なぜそう言いきれるの?」
「だって、これナチュラル志向の商品でないもの!」
「ほぉ~、じゃきくけど、インコがナチュラル志向だと、いつ言ったわけ? え? インコがそう言ったの??」
「……」
「ナチュラル志向にこだわってるのは インコじゃなくて、あなた、でしょ?喜ぶか否か、それはいんこが決めることじゃないの?」
「そ、そうだっ!インコに決めさせる、望むところじゃーっ!(怒)」
一週間後、その”もどきおもちゃ”は、インコのかけがえない恋人になっていた……。
変な胸の黒点が魅力的らしく激しく愛でている謎……。
うちひしがれる私の横で高笑いする夫と、インコもどきしか目に入らなくなったらしい我が家のアホインコ……呆然。
もしかしてうちのインコの趣味が変態なだけかも、と思ったら、きくところによると同じ状況が案外そこらじゅうで多発しているらしい。
この事態を目の当たりにして、私は初めて考えた。
ペット用品メーカーにおける顧客とは、飼い主なのか? いんこなのか?
両方に満足できるものが理想だと思うが、インコもどきを作ったメーカーは明確だった。この”セキセイもどきおもちゃ”は、使用者である所のインコの希望に徹底的に答えた商品作りをしているのだ。
一方で、飼い主である私の希望は、いまだにナチュラル志向な”ぬくもりの木のおもちゃ”であって、実際 そういう商品も存在するのも事実。メーカーやショップの「飼い主の要望対策」も進んでいるってことなのかもしれない。
しかし、我が家のインコは「鳥の要望に忠実な」商品を愛し続けている、それは紛れもない事実である。
このように、購買層と実際の使用者が一致しない結果、それぞれ同じ目的でありながら商品が二極化している(多様化とはちょっと違うと思われる)のだなと、私は思った。
そして私は、遠い子供の頃の夏の日のことを思いだした。
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