ほっかいどいんこ!

ぽんたしろお

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アホな飼い主とアホなインコのエピソード

インコ介護フン戦記その2

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 お食事中の方は、読まないでくだい。お食事中には不適切な内容ですw。

 要するに、彼女は腹の下に腫瘍を育てつつあったから、腹の皮ものびていき、腫瘍と内臓が全体的に通常配置される位置より下がり気味になっていたのではないか?
一方で、お尻の穴自体はしっぽの付け根に変わりなく位置しているから、フンを下から上へ押し出す形で出さざるをを得なくなってしまっていたのだろう。
 だしにくい状態に陥ったフンは行き場を失い腹にためることができる限界にまでなっていたのだ。どうりで、具合が悪いわけだし、急激にお腹が膨らんだ理由も納得がいく。
 動物病院で発酵した「あれ」は一体何日腹の中にあったのだろうか? いやはや、とんでもない事態だったのね。
飼い主として、この事態を引き起こしたことを反省しつつ、便秘が解消したセキセイと帰宅した。

 で。あやうく便秘で死にかけた当の彼女はというと、かなりご機嫌斜めでお怒りがおさまらないようだった。
 気持ちはお察しするが、これから ずーっと、彼女の苦行を飼い主が担当しなければならないという事態になってしまった。どうしよう? 絶対、嫌われるじゃないか……。

 ここまでくれば、フン戦記の意味もおわかりになると思う。文字通り、フン戦記の幕はきっておとされちゃった
のである。
 翌日、早速彼女をとッ捕まえてフン戦しようとしてみたが、いっこうに上手くいかない。動物病院から帰宅して以降、ご機嫌ななめな彼女であったが、食欲は衰えず、間違いなく貯まってるハズなのに。
「いつまで 押してるんだよっ」
 怒り心頭の彼女は下手な保定を続ける飼い主の指に噛り付いて、とてもフンが出る状態でなかった。9gまでなら貯められることが証明されたので、1日くらいなら平気なんだろうと一旦引き下がることにした。

 で。落ち着いて考えてみることにした。いくら貯まっているからといっても、やはりフンがしたいという衝動にかられている時でないと難しいかもしれない。
 とすれば、いつその衝動が彼女を襲うかが、問題である。そんなこと飼い主がわかりようがないとなりそうだが、彼女が多卵だったことを利用できることに気が付いた。
 彼女には卵を生む為の巣箱を与えていなかったので、自分の寝床である籠の中を擬似巣箱のように思っている節があった。
 巣箱の中のように全くフンをしないというわけではないが、出来るだけ綺麗にしておきたいという気持ちが彼女にはあった。寝ている間のフンの数は極端に少なかったのだ。
で朝、籠から出ると、おはようのあいさつがわりの一発のため彼女は踏ん張るのだ。
 つまり、フンが上手く出るか出ないかは別にして朝、籠から出した時、彼女がその気になってふんばる体制を必ずとる、このタイミングが腹を押す最大のチャンスタイムとなるわけだ。
 朝が決行の時間だ、と飼い主の戦法は決まった。

 翌日の朝、彼女を籠から出した飼い主は、彼女の動きを注視していた。右脚のび~、左脚のび~、羽のびのび~、さあ、次の行程が力み時かっ⁉ とつい飼い主まで力んでいたら毛繕いを始めてタイミングを外された――が! 敵はフェイントをかけた。むーーん……フンばり体制である! 出遅れたっ! あわてて彼女をとッ捕まえ、あお向けにする。
 よりにもよって、このタイミングでとッ捕まえられた彼女のお尻の穴が、驚きのあまり小さく閉まっていく(←
みなさん 読み苦しくてすみませんorz)。逃がしてなるもんかっ! しぼみ切る前にやらねばっ!
グリグリ……ギュ-ギュ-……ど、どうだっ⁉
グリグリ……ギュ-ギュ-……ボトン、やったっ!成功だっ! あたりに飼い主を祝う2日分の発酵の匂いがただよった……。
 その後、彼女が自力でふんばれるまでになった時期もあったが、彼女の体調が良くなると腫瘍が大きくなり、また飼い主の助けが必要になることを繰り返し、約4ヶ月後彼女が旅立つまで飼い主のフン戦記は続いた。
 
 ところで、フン戦記が長くなってしまったが、フンが出来るってことは、彼女がちゃんと食べいたからだ。
具合の悪いインコの致命傷は、なんといっても食えなくなることだ。強制給餌という事態になれば日に3回、4回
流動食のために彼女と格闘しなければいけないわけで、9gまでなら余裕のフン戦記なんて比較にもならないほど給餌の方が大変なはずだ。フン戦記を語りまくる飼い主、実は彼女の食欲で、ほとんど悩まなかったことが、ここでばれてしまうのだ、てへぺろ。

 警告範囲 ここまで 後は安心してお読みいただけます~。

 彼女が全く食欲を落とさなかったのか?といえば、そうではない。概ね、生きる執念で最後まで食い意地を失うことはなかったが、体調があまりにひどいと流石にぐったりしてはいた。
 が。こんな時に思いもかけぬ助っ鳥が登場してくれた。産卵が止まって腫瘍ぶら下げ始めてから、彼女がゲットしたセキセイのダーリンである。用意周到とは、まさにこのことだ。
 ダーリンの愛のゲロこそ、食欲不振の最終兵器、強制給餌など足元にも及ばない激うま(←インコにとっては、であるよ)高カロリーのお食事なんであり、食欲不振なんてぶっとんでしまう代物らしい(←飼い主には全然わからないがw)。
 彼女が最後の半年、頑張れたのはこの愛のゲロのおかげであることは間違いない。

 基本的に彼女には他のセキセイインコと同様、普段と変わらぬ生活をさせていた(ちなみにその頃、セキセイインコを6~7羽飼っていたw)。
 感染症でもなく飼い主として打つ手もない状況だったし、せめて普通に生活させたかった。
 とはいえ、羽を膨らませうずくまっている時には、保温の為、籠に入れる必要があった。こういう時こそ、ダーリン頼みだ。
 遊び呆けているダーリンセキセイをとッ捕まえて
「えさ係り、頼んだぞっ!」
と声をかけ(←無責任)彼女の籠の中に放りこんだ。
 実際、ダーリンを放り込むと籠の隅っこでうずくまって動けなかった筈が、転がるように走り寄り、早速ゲロゲロを催促して食べさてもらい、満腹になるとダーリンにべったり貼りつき、保温効果もばっちりだった。
飼い主的にこれ以上理想の形はないと思った。

 このカップル、彼女4才に対しダーリンは7才でそろそろ、じいさんいんこの域であったが
「頼むから、彼女より先にくだばらないでくれよな~」
が飼い主の切なる願いであった。
 病気いんこの看病させてこの言い草、とんでもない飼い主だよな!(それ、自分な)

 彼女が何を思って旅だっていったのかはわからないが、少なくとも、ダーリンセキセイが旅立った時は彼女が、 天国までサポートしたに違いない。
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