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六話 新しきを知る
一
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休日になったら絶対ご近所探検をしようと計画していた。そして土曜日になると、朝食を済ませ直ぐ様出発する。知らない場所を知っていく楽しみがあり、探検するのはいつもワクワクする。家の周りの道を歩いてみて、目印の掲示板の横を通って自分の居場所を把握する。
うん、お家のまわりはへいきそう。もっと学校の方もいってみよう
凛々華と遊んだ小さな公園を抜けて行き、通学路付近をを探検することにした。
男子たちが遊んでいた広場を目印にして、通学路とは違う道を進んでいく。暫く歩いて行くと信号があった。渡る際はついつい白線の上を踏みたくなり、タンッタンッと跳ねながら白線の上に乗っていく。渡りきったら次は点字ブロックの上を目で追いながら進む。当然下を向いている為、周りへの注意が散漫になっている。歩くスピードは速くないものの、夢中になっているからか近くに人がいても気にしていない。順調に進めるのは周りの人が避けているからだ。
ドンッ
「ひぃゃあっ!?」
「うっ! ……あっ……」
右肩に小さな衝撃を受ける。痛くはなかったが何かがぶつかったのはわかった。顔を上げた時には右横で着物を着ている老婆が右方へよろめき、杖で何とか支えて転ばずに済んだのを見送っていた。
「ふう……危なかったわ」
杖を持つ手が痺れているのか痛いのか微かに震えている。地面を咄嗟に思い切り杖で着き、持ち手に衝撃を集中して受けたからだろう。
ばつが悪くしどろもどろとしていたが、今は恥ずかしいなんて考えている場合ではないと、老婆の前に回って勢いよく頭を下げた。
「うあっ……あのっ……ごめんなさいっ!」
顔を上げてみると、怒っていると思ったがそんなことはなく、老婆は寧ろ目元のシワを深めていた。
「ええよぉ。アタシこそ、とろとろカメみたく鈍くてごめんねぇ」
ゆっくりと穏やかだが、強弱がはっきりとした口調で謝られる。
今は自分が百パーセント悪いと認識していて、首を横に振って主張する。
「ちがうのっ今のはわたしがわるいの! わたしが……あそんでたから」
「子供ん時は遊ぶ。ええこつじゃけえ。……でもそうさねぇ……この黄色のブロックで遊ぶのはよしんしゃいな。使う人が困ってまうよ」
「つかう人なんているの?」
「そうよぉ。これは目の不自由な人が使う物。町にはね、アンタらを守ってくれる物がたっくしゃんあるんやよ。そういう物ば探して、見つけて、知っていくのも勉強やよ。これからたあっくしゃん経験して学んでおいき、お嬢ちゃん」
「……はい、おばあちゃん」
「ええ返事やなぁ。ちゃあんと謝るこつも出来はるしええ子やね。ほなな」
お辞儀をして歩いていく老婆にココロもお辞儀を返してまた歩き出した。今度は点字ブロックの横をしっかりと顔を上げて。
大切なことを聞いたのは確かだが、聞いた言葉は日が経つにつれてどんどん頭の隅に追いやられていくことだろう。しかし忘れることはなく、ふとした時に思い出せる日もまたやって来るだろう。
「おばあちゃん、やさしかったな……」
ココロは祖母に会ったことがない。父方の祖母は既に他界しており、母方の祖母は外国に住んでいる。普段味わうことの無かった貴重な体験をしたものだ。
うん、お家のまわりはへいきそう。もっと学校の方もいってみよう
凛々華と遊んだ小さな公園を抜けて行き、通学路付近をを探検することにした。
男子たちが遊んでいた広場を目印にして、通学路とは違う道を進んでいく。暫く歩いて行くと信号があった。渡る際はついつい白線の上を踏みたくなり、タンッタンッと跳ねながら白線の上に乗っていく。渡りきったら次は点字ブロックの上を目で追いながら進む。当然下を向いている為、周りへの注意が散漫になっている。歩くスピードは速くないものの、夢中になっているからか近くに人がいても気にしていない。順調に進めるのは周りの人が避けているからだ。
ドンッ
「ひぃゃあっ!?」
「うっ! ……あっ……」
右肩に小さな衝撃を受ける。痛くはなかったが何かがぶつかったのはわかった。顔を上げた時には右横で着物を着ている老婆が右方へよろめき、杖で何とか支えて転ばずに済んだのを見送っていた。
「ふう……危なかったわ」
杖を持つ手が痺れているのか痛いのか微かに震えている。地面を咄嗟に思い切り杖で着き、持ち手に衝撃を集中して受けたからだろう。
ばつが悪くしどろもどろとしていたが、今は恥ずかしいなんて考えている場合ではないと、老婆の前に回って勢いよく頭を下げた。
「うあっ……あのっ……ごめんなさいっ!」
顔を上げてみると、怒っていると思ったがそんなことはなく、老婆は寧ろ目元のシワを深めていた。
「ええよぉ。アタシこそ、とろとろカメみたく鈍くてごめんねぇ」
ゆっくりと穏やかだが、強弱がはっきりとした口調で謝られる。
今は自分が百パーセント悪いと認識していて、首を横に振って主張する。
「ちがうのっ今のはわたしがわるいの! わたしが……あそんでたから」
「子供ん時は遊ぶ。ええこつじゃけえ。……でもそうさねぇ……この黄色のブロックで遊ぶのはよしんしゃいな。使う人が困ってまうよ」
「つかう人なんているの?」
「そうよぉ。これは目の不自由な人が使う物。町にはね、アンタらを守ってくれる物がたっくしゃんあるんやよ。そういう物ば探して、見つけて、知っていくのも勉強やよ。これからたあっくしゃん経験して学んでおいき、お嬢ちゃん」
「……はい、おばあちゃん」
「ええ返事やなぁ。ちゃあんと謝るこつも出来はるしええ子やね。ほなな」
お辞儀をして歩いていく老婆にココロもお辞儀を返してまた歩き出した。今度は点字ブロックの横をしっかりと顔を上げて。
大切なことを聞いたのは確かだが、聞いた言葉は日が経つにつれてどんどん頭の隅に追いやられていくことだろう。しかし忘れることはなく、ふとした時に思い出せる日もまたやって来るだろう。
「おばあちゃん、やさしかったな……」
ココロは祖母に会ったことがない。父方の祖母は既に他界しており、母方の祖母は外国に住んでいる。普段味わうことの無かった貴重な体験をしたものだ。
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