超進化ペット!ピヨ 改訂版

朝陽ヨル(月嶺)

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六話 新しきを知る

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「ここの暮らしには慣れたか?」
「まだあんまり」
「伯父さん伯母さんはどうだ?」
「伯母さんはちょっとこわいけど、でも二人ともやさしい。色んなことをおしえてくれるから」
「そうかそうか」 

 ココロの家庭の事情を知っている祖父は預かる前からいつも心配していた。預かる前には家に度々顔を出すこともあったくらいで、こうして一緒に暮らせるようになり、ココロには悪いが良かったと安心している。
 仕事に打ち込むことはいい事かもしれない。しかし子供を蔑ろにしてまで熱中することではないだろう。そうやって我が子たちを諭せなかった負い目なのかもしれない。

「伯父さんも伯母さんもおじいちゃんもココロの味方だ。何でも聞いていいからな。何か必要な物があったら言ってくれれば買うから遠慮せずに言いなさい」
「ありがとう」 

 こうして優しくしてくれる祖父が好きで、ココロはもっと祖父のことが知りたくなった。 

「じゃあ、おじいちゃんのすきなものおしえて」
「好きなもの? そうだな……大豆かな」
「だいず? めずらしいね」
「大豆をバカにしちゃいけないぞ。畑のステーキと言って栄養豊富でとても体にいいんだ。クックが食べている納豆だって大豆から出来ているんだぞ?」
「ピヨさんは、えいようがあるからなっとうヨーグルト食べるの?」
「それもあるだろうが、ただ単に好きなんだろうな。ココロがシリアルを好きで食べるようにな」

 納豆自体好きではなくて、そんな納豆にヨーグルトなんて絶対不味いとしか思えない。クックや太郎丸が好きで食べていると言うのだから、もしかしたら食べてみたら美味しいのかもしれない。でもやっぱり食べてみる気にはなれなかった。

「ピヨは穀物や野菜が好物だからな。ココロのシリアルだって、とうもろこしや玄米で作られているんだぞ」
「じゃあクックさんとわたしは同じのを食べてるってこと?」
「そうだな。たくさん色んな物を食べて、栄養をつけて、身体を動かせば健康に育つ。それはピヨも人も同じだろうな」
「そっか……クックさんにも色々食べてもらって、大きくてけんこうになってもらわなきゃ」 

 郵便局に到着して切手を買い、貼付して成り行きでポストへ投函する。あとはこの手紙が海の向こうにいる二人に届いてくれることを願うばかりである。

「「ただいま」」
「おかえりー」 

 家に帰ってきたら伯父の声が聞こえた。『おかえり』と言葉が返ってくるのは引っ越してきてもう何回も聞いているのに未だに慣れない。くすぐられているようなむず痒さでちょっぴり嬉しくて恥ずかしい。
 洗面台で手を洗ってうがいを済ませてからリビングに行くと、デスクワークをしている伯父を見かける。 

「なにかいてるの?」
「んー? 仕事の予定を書き込んでんの」
「なんのおしごとしてるの?」
「コレだよコレ」 

 伯父は両手の人差し指と中指を立てて指同士をぶつけるように動かしている。 

「チョキ? ……はさみ?」
「それそれ。女の子が将来なりたい職業でも結構上のやつだよ」
「はさみ……女の子……お花やさん?」
「あー! それも女の子に人気! でもそっちじゃない! コレコレ」 

 ココロの髪を一房持ち上げて切る動作をされれば簡単に閃いた。 

「びようしさん!」
「ドンピーン!」
「すごい……伯父さんびようしさんなんだね!」 

 女の子の憧れの職業である美容師と聞いてテンションが上がる。 
 伯父もすごいと言われて悪い気はしない。寧ろいい気分しかしない。

「昔はカット専門だったけど、今はカット兼マネージャーやってんだよ。ココロちゃん髪長いし切ってあげよっか?」
「いまはいい。のばしたいから」
「うんうん。髪型アレンジとかイメチェンしたくなったら言ってよ。ちゃちゃっとやっちゃうからさ」
「その時はおねがいしちゃおうかな」
「まっかせといてー。こんな風に出来るなんて伯父さん素敵ー! って言わせちゃうよ」 

 こんなにも自分に協力的になってくれている伯父は好きになれそうな気がしてきた。美容師という職業という点も踏まえると印象はかなりプラスになる。
 祖父もリビングに入ってきて和室の襖に手をかける。 

「私はこっちで読書でもしているから、何かあったら呼んでくれ」
「ありがとう、おじいちゃん」 

 ココロの言葉に微笑む祖父。そして和室に入っていった。 

「もう手紙出してきたんだ? 早いねー。子供の行動力って凄いや」
「おじいちゃんにお手紙見てもらって、切手買ってもらったの」
「ふーん。じゃあ次からは一人で出来ちゃうね。子供の成長は早いもんなんだな~」
「伯父さんは子どもいるの?」
「えっ。会ったことあるでしょ」
「えっ。そうなの?」 

 ココロの予想外の質問に驚き、ココロも予想外の返答に驚いた。顔を合わせながら二人共にキョトンとしてしまう。 

「あーでも小っちゃかったから覚えてないか。今は学校の寮で暮らしてて多分夏休みには帰ってくるだろうから、会ったら思い出すかもよ?」 

 伯父の子供がどういう人物なのかピンとこない。けれど会えるなら会ってみたいと思った。
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