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十一話 夏と水
三
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遊びに出掛けるならどこが良いかと夏菜に尋ねると、真っ先に『動物園』と返ってきた。
「遊園地とかじゃなくて? あんたああいう所好きでしょ?」
「遊園地も好きだけど、せっかくココロちゃんがいるんだから、ココロちゃんも一緒に楽しめる所が行きたいんだよね」
「遊園地ならココロも楽しめるんじゃないか?」
「違うよ親父。夏菜は絶叫系ばっか行くから、ココロちゃんは乗れないっしょ」
「ああ、そういうことか」
すんなりと動物園に行くことが決定し、翌日伯父が運転する車で目的地へ向かった。夏菜が指定した動物園は新しく開園したばかりで、客足は相当なものである。
人の多さに伯父はげんなりしている。
「うへぇ……動物園ってこんな混むもんだったかな……」
「おきゃくさんいっぱいだね」
「ねー。ここの動物園は今トレンドだからみんな一回は来たいって言っててさ」
「トレンドってなに?」
「はやってるってことだよ。ここはね、世界初のピヨショーやってるんだよ」
「ピヨショー? ピヨさんのショー!?」
動物園自体も楽しみだが、ピヨと聞けば更に楽しみ度が倍増する。
「入場券を買わないとな。しかし凄い行列だな……入場券を買うだけで一時間はかかりそうだ」
「チッチッチー。並ばなくて大丈夫だよ。ほらコレ」
夏菜が祖父へスマートフォンの画面を見せてきた。その画面にはQRコードが映し出されている。
「昨日電子入場券買っといたんだー。ココロちゃんは小学生だから元々安いし、うちは学割、じいちゃんはシニア割で、お父さんとお母さんは夫婦割! これめっちゃお得なんだよね」
「ちゃっかりしてるわね。私より主婦みたいだわ。その代金払うから、いくら?」
「現金もらうのなんか嫌だから、その分のお土産たくさん買ってよ」
「どれだけ買うつもりよ……」
「友達と自分の分のお土産! あと誕生日プレゼントに奮発してでっかいぬいぐるみでも買ってよ。ねっ、いいでしょお父さん」
「こういう時だけ娘感出してくるんだからさ……ホントちゃっかりしてるよ。誰に似たんだよ……」
愛想の良さは父親似、手際の良さは母親似といったところだろう。二人に似ているなと祖父は無言で親子を見ながら微笑んでいる。
QRコードを入場口でスキャンしてもらい入場する。設置してあるパンフレットを取り、ざっと見るとおすすめのルートと書かれていた。これといって優先することも無い為、おすすめ通りで回ることとなった。
「ココロちゃんはやっぱピヨショー楽しみ?」
「うん。でもピヨさんだけじゃなくて、ほかのトリさんも楽しみ」
「あははっ。トリ好きだもんね。ちっちゃい時にカッパのぬいぐるみあげたら、トリさんだーって言って気に入ってたし」
「カッパさんってトリさん?」
「くちばし付いてるからトリじゃない?」
「嘘教えるなよ」
「じゃあお父さんはカッパが何か知ってるの?」
「そりゃ知ってるに決まってんだろ!」
伯父は腕を組みながら自慢げに話し出す。
「カッパは妖怪! ……あーでも甲羅とか水かき付いてるから両生類とかかも」
「そもそもカッパって空想の生き物でしょ? 生物学とか関係ないでしょ」
「尻子玉抜いてやろ~か~って喋るらしいしね」
「なにそれ?」
「なにって」
「亮一。変なことを吹き込まないようにな」
「へいへい……」
妻と父親から白い目を向けられ気まずさを感じつつも、興味を持っている娘と姪にどう説明すればいいのか考え倦んだ結果、いつも通りへらへらと笑いながら答える。
「大事なもの盗られるから川には近づくなーって意味だったかな」
「えー川なんて全然無いのに」
「田舎にはあんの! カッパの話はもう終わりっ。カッパ以外の動物見ような~」
「カッパがいたら面白そう! 妖怪が集まってる動物園とか」
「それじゃお化け屋敷だろ……」
伯父と夏菜の賑やかなやり取りは見てて楽しいが、自分が話についていけずちょっぴり寂しくて、留守番をしているクックのことを考えた。
ーークックさんなにしてるかな……太郎丸さんとあそんでるかな?
「遊園地とかじゃなくて? あんたああいう所好きでしょ?」
「遊園地も好きだけど、せっかくココロちゃんがいるんだから、ココロちゃんも一緒に楽しめる所が行きたいんだよね」
「遊園地ならココロも楽しめるんじゃないか?」
「違うよ親父。夏菜は絶叫系ばっか行くから、ココロちゃんは乗れないっしょ」
「ああ、そういうことか」
すんなりと動物園に行くことが決定し、翌日伯父が運転する車で目的地へ向かった。夏菜が指定した動物園は新しく開園したばかりで、客足は相当なものである。
人の多さに伯父はげんなりしている。
「うへぇ……動物園ってこんな混むもんだったかな……」
「おきゃくさんいっぱいだね」
「ねー。ここの動物園は今トレンドだからみんな一回は来たいって言っててさ」
「トレンドってなに?」
「はやってるってことだよ。ここはね、世界初のピヨショーやってるんだよ」
「ピヨショー? ピヨさんのショー!?」
動物園自体も楽しみだが、ピヨと聞けば更に楽しみ度が倍増する。
「入場券を買わないとな。しかし凄い行列だな……入場券を買うだけで一時間はかかりそうだ」
「チッチッチー。並ばなくて大丈夫だよ。ほらコレ」
夏菜が祖父へスマートフォンの画面を見せてきた。その画面にはQRコードが映し出されている。
「昨日電子入場券買っといたんだー。ココロちゃんは小学生だから元々安いし、うちは学割、じいちゃんはシニア割で、お父さんとお母さんは夫婦割! これめっちゃお得なんだよね」
「ちゃっかりしてるわね。私より主婦みたいだわ。その代金払うから、いくら?」
「現金もらうのなんか嫌だから、その分のお土産たくさん買ってよ」
「どれだけ買うつもりよ……」
「友達と自分の分のお土産! あと誕生日プレゼントに奮発してでっかいぬいぐるみでも買ってよ。ねっ、いいでしょお父さん」
「こういう時だけ娘感出してくるんだからさ……ホントちゃっかりしてるよ。誰に似たんだよ……」
愛想の良さは父親似、手際の良さは母親似といったところだろう。二人に似ているなと祖父は無言で親子を見ながら微笑んでいる。
QRコードを入場口でスキャンしてもらい入場する。設置してあるパンフレットを取り、ざっと見るとおすすめのルートと書かれていた。これといって優先することも無い為、おすすめ通りで回ることとなった。
「ココロちゃんはやっぱピヨショー楽しみ?」
「うん。でもピヨさんだけじゃなくて、ほかのトリさんも楽しみ」
「あははっ。トリ好きだもんね。ちっちゃい時にカッパのぬいぐるみあげたら、トリさんだーって言って気に入ってたし」
「カッパさんってトリさん?」
「くちばし付いてるからトリじゃない?」
「嘘教えるなよ」
「じゃあお父さんはカッパが何か知ってるの?」
「そりゃ知ってるに決まってんだろ!」
伯父は腕を組みながら自慢げに話し出す。
「カッパは妖怪! ……あーでも甲羅とか水かき付いてるから両生類とかかも」
「そもそもカッパって空想の生き物でしょ? 生物学とか関係ないでしょ」
「尻子玉抜いてやろ~か~って喋るらしいしね」
「なにそれ?」
「なにって」
「亮一。変なことを吹き込まないようにな」
「へいへい……」
妻と父親から白い目を向けられ気まずさを感じつつも、興味を持っている娘と姪にどう説明すればいいのか考え倦んだ結果、いつも通りへらへらと笑いながら答える。
「大事なもの盗られるから川には近づくなーって意味だったかな」
「えー川なんて全然無いのに」
「田舎にはあんの! カッパの話はもう終わりっ。カッパ以外の動物見ような~」
「カッパがいたら面白そう! 妖怪が集まってる動物園とか」
「それじゃお化け屋敷だろ……」
伯父と夏菜の賑やかなやり取りは見てて楽しいが、自分が話についていけずちょっぴり寂しくて、留守番をしているクックのことを考えた。
ーークックさんなにしてるかな……太郎丸さんとあそんでるかな?
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