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十四話 わかり合いたい気持ちと想い
四
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「ぐすっ……」
愛美は近くの公園のブランコに座り涙を浮かべていた。
公園に遊びに来ていた複数の親子たち。その中の一人の母親が「大丈夫?」と声を掛けるも愛美は「大丈夫!」と愛想笑いをする。そう答えられればこれ以上関わるのを憚られ、公園に来ていた大人たちは遠巻きに愛美を見て心配している。
「マミちゃーん!」
ココロ、クック、フランソワが公園へ駆けつける。
その姿を見たら目を擦り涙を拭って気丈に振る舞う。
「もうっ、やっと来たの?」
「う、うん、どうしようって話してて。あとフランソワちゃんからお話聞いてた」
「え? なにそれどういう……」
「あーーっ!」
「クックさんだー!」
公園の滑り台で遊んでいた幼児二人がクックを発見すると直ぐさま駆け寄ってきた。
幼児たちの声で愛美の言葉はかき消されてしまった。
クックは近寄ってきた幼児に手を振る。
「皆サン、コンニチハ」
「「こんにちはー!」」
挨拶が済めばOKサインとでも思っているのか、幼児二人はクックの脚にしがみついたりよじ登ったりしている。
それに対してクックは動じずただ立っている。
そこに幼児たちの母親二人もやって来た。
「ごめんなさいね、ココロちゃん、クックさん」
「へいきだよ」
「平気デス」
「あら、こっちのピヨちゃんは綺麗ね」
フランソワに視線が向けられると愛美は自慢げな顔をして答える。
「花がたのフランソワって言う名前で、あたしがそだてたんです」
「まあ、お嬢ちゃんが? すごーい!」
「ピヨ繋がりのお友達? 素敵ね~」
褒められると愛美は勿論のことだが、フランソワも何となく自信に満ちているような、優雅な立ち姿を見せている。
幼児ではあるが子供二人を乗せて微動だにしないクックのことをココロは堂々としていて勇ましく誇りに思う。
「ほぉら、お話の邪魔しちゃ悪いから、そろそろ帰るわよ~」
「ええーっやあーだぁー!」
「もっとあそぶぅ~!」
「マタ明日遊ビマスカ?」
「あそぶー!」
「あそぶー! やったあー!」
「じゃあねーやくそくだよー」
「バイバーイクックさーん」
クックが言えば駄々をこねる幼児たちはすんなり帰りを受け入れて、明日遊ぶ約束をして母親達と帰っていった。
クックのやり取りを終始見て愛美は唖然としている。
「なにいまの………」
「クックさんがだいすきなこどもたちだよ。ここに来るとあそんであげるの」
伯父や伯母、祖父とご近所回りをしてクックのことは粗方把握されている。その中で子供というのは無邪気なもので、最初は怖がっていたものの安全であると分かればすぐに懐いてくれたのだ。今では東町内の有名ピヨである。
「……そう、なんだ。それと、さっきフランソワから話聞いたって言うのはなに?」
「クックさんもピヨさんだからフランソワちゃんと話せるんだよ」
「ふーん……」
認めたくない。しかし認めざるを得ない。愛美の中で葛藤しているようだ。あの親子達の反応や言葉は信用するしかない。でも自分が知らないものを認めたくはなかった。
「フランソワはなんて言ってたの?」
「いつもみんなにじまんしてくれるからうれしいって。大すきって言ってくれるから、フランソワちゃんもマミちゃんが大すきなんだって」
「そんなの当たり前のことだから。それくらいじゃフランソワから聞いたって言われても信じられないよ」
いつもそうだ。愛美と話していると何故か否定的に返されることが多い。どうしてそうされるのか分からずココロは困惑する。
何かが引っ掛かっている気がする。その何かが分からずもやもやとした気持ちが膨らんで途端に破裂した。
愛美は近くの公園のブランコに座り涙を浮かべていた。
公園に遊びに来ていた複数の親子たち。その中の一人の母親が「大丈夫?」と声を掛けるも愛美は「大丈夫!」と愛想笑いをする。そう答えられればこれ以上関わるのを憚られ、公園に来ていた大人たちは遠巻きに愛美を見て心配している。
「マミちゃーん!」
ココロ、クック、フランソワが公園へ駆けつける。
その姿を見たら目を擦り涙を拭って気丈に振る舞う。
「もうっ、やっと来たの?」
「う、うん、どうしようって話してて。あとフランソワちゃんからお話聞いてた」
「え? なにそれどういう……」
「あーーっ!」
「クックさんだー!」
公園の滑り台で遊んでいた幼児二人がクックを発見すると直ぐさま駆け寄ってきた。
幼児たちの声で愛美の言葉はかき消されてしまった。
クックは近寄ってきた幼児に手を振る。
「皆サン、コンニチハ」
「「こんにちはー!」」
挨拶が済めばOKサインとでも思っているのか、幼児二人はクックの脚にしがみついたりよじ登ったりしている。
それに対してクックは動じずただ立っている。
そこに幼児たちの母親二人もやって来た。
「ごめんなさいね、ココロちゃん、クックさん」
「へいきだよ」
「平気デス」
「あら、こっちのピヨちゃんは綺麗ね」
フランソワに視線が向けられると愛美は自慢げな顔をして答える。
「花がたのフランソワって言う名前で、あたしがそだてたんです」
「まあ、お嬢ちゃんが? すごーい!」
「ピヨ繋がりのお友達? 素敵ね~」
褒められると愛美は勿論のことだが、フランソワも何となく自信に満ちているような、優雅な立ち姿を見せている。
幼児ではあるが子供二人を乗せて微動だにしないクックのことをココロは堂々としていて勇ましく誇りに思う。
「ほぉら、お話の邪魔しちゃ悪いから、そろそろ帰るわよ~」
「ええーっやあーだぁー!」
「もっとあそぶぅ~!」
「マタ明日遊ビマスカ?」
「あそぶー!」
「あそぶー! やったあー!」
「じゃあねーやくそくだよー」
「バイバーイクックさーん」
クックが言えば駄々をこねる幼児たちはすんなり帰りを受け入れて、明日遊ぶ約束をして母親達と帰っていった。
クックのやり取りを終始見て愛美は唖然としている。
「なにいまの………」
「クックさんがだいすきなこどもたちだよ。ここに来るとあそんであげるの」
伯父や伯母、祖父とご近所回りをしてクックのことは粗方把握されている。その中で子供というのは無邪気なもので、最初は怖がっていたものの安全であると分かればすぐに懐いてくれたのだ。今では東町内の有名ピヨである。
「……そう、なんだ。それと、さっきフランソワから話聞いたって言うのはなに?」
「クックさんもピヨさんだからフランソワちゃんと話せるんだよ」
「ふーん……」
認めたくない。しかし認めざるを得ない。愛美の中で葛藤しているようだ。あの親子達の反応や言葉は信用するしかない。でも自分が知らないものを認めたくはなかった。
「フランソワはなんて言ってたの?」
「いつもみんなにじまんしてくれるからうれしいって。大すきって言ってくれるから、フランソワちゃんもマミちゃんが大すきなんだって」
「そんなの当たり前のことだから。それくらいじゃフランソワから聞いたって言われても信じられないよ」
いつもそうだ。愛美と話していると何故か否定的に返されることが多い。どうしてそうされるのか分からずココロは困惑する。
何かが引っ掛かっている気がする。その何かが分からずもやもやとした気持ちが膨らんで途端に破裂した。
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