99%興味【打ち切り】

朝陽ヨル(月嶺)

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一章〈love turn〉~初デートは素直に~

一 拓視点

「チョコ、おいで」
「………」
「ほらほら、そんな離れていたら迷子になるって」
「変態不審者のお前に寄るくれぇなら迷子になってとっとと帰りてぇよ」

 ……コイツ、マジで奇想天外だ……



✿✿✿✿✿



 一週間前。

「おーい、チョコーメアド教えてー」
「断る」
「そんなツレない所もキュートだな」
「テメェは変わらずイかれてんな」
「せっかく晴れて堂々と恋人になっ」
「うわあぁああっ!! んなこと堂々と言うんじゃねぇよ!!」

 ぼふっ
 がしっ
 俺は慌てて咄嗟にコイツの口を手で押さえた。すると手首を掴んできた。

「ひぃッ!?」
「嬉しいな……チョコから俺に触れてくれるなんて」
「くくっ口押さえただけだろがっ!」
「口を押さえるなら口で押さえてほし」
「あ゛あッ! わあったよ! メアド渡しゃいいんだろ!?」
「うん!」

 これはわざとか? わざと困らせてんのか? いや脅してんのか? これも脅しの一つってことなんだな!? なんつーヤツだ……!

「登録……と。よし……」

 仕方なくメールアドレスを交換した。
 ……んだよ早速メール……

『来週土曜日八時に○×公園前に集合! 遅刻厳禁だゼ』

 はあ゛!!?

「テメェなんだこの」
「八時だよ! 全員集合!」
「面白くねぇからな!?」
「さすがはチョコ、今日もツッコミが冴えてるな!」
「あ゛あぁぁ……っ!」

 コイツと関わってると頭いてぇよマジで……

「……で、これも強制なんだろ?」
「そんな強制なんて人聞きの悪い。自主的参加だよ」
「じゃあ行かねぇ」

 んな面倒くせぇ。誰が行くかこんな変態委員長と。
 ……けど何しに行く気だ? 土曜の八時ってわりかし早ぇし、遠出でもする気なのか?

「えぇ~せっかく一生懸命考えたのに……」
「………」

 ……おい。なんだよその俺が悪いみたいな悲しげな顔はよぉ。置いてきぼりくらった子犬みたいな顔すんなよ。………いや、それじゃ子犬が可哀想だ。頼むからしょぼくれた顔すんなや



✿✿✿✿✿



 ………で、今に至るわけだ。んだよあのしょぼくれた顔。ムカつくな……断りづれぇだろが。

 俺達は今、見慣れない駅の構内をうろついている。

「いや~こんないい天気で良かった。デート日和だな!」
「でっ、デート!??」

 確かにいい天気だ。雲一つ無く快晴で散歩やジョギング、外で遊ぶにはもってこいの天気かもしれないが。

 デート=恋人同士=二人きり=危険!!!

「俺は帰る」

 ぐるりとその場でターンして元来た道を歩き出すが、ヤツが後ろからぴったりくっついて来る。

「えっ? まだ始まったばっかりだよチョコちゃん。まったく照れ屋には困ったもんだね」
「全力で嫌がってんだよッ!!」
「これも後のデレまでの萌スパイスだな!」

 はぁぁぁ……この変態の脳内どうなってんだよ……。腐ってドロドロかシワないプリン脳だろゼッテー…………そういやコイツ名前なんだっけ? 有馬とか言ってたな。

「……おい、有馬。今日どこ行く気だ」
「………」
「おい」
「………」

 …………もしかして。

「……………ユウ」
「何かな!?」

 うわぁ………まさかとは思ったがどんだけあだ名で呼ばれたいんだよ。めんどくせえ……んなやたらいい顔してこっち見てくんな気色悪ぃ。マジで残念イケメンだなコイツ。………いやいやいや、俺がイケメンと思ったとかじゃねぇし! 一般的にこういうキラキラ系がイケメンの部類だろってことだかんな!? 勘違いすんなよ!?

「おーい、チョコやーい、帰っておいで~」

 ………マズイマズイ。意識がどっか違うところに飛んでた気がする。

「きょ、……今日、どこ行くんだ……?」
「ああ、主に買い物だな」
「買い物?」

 なんだ。デートとか言うからてっきりもっとこう……………。………………………おい。俺は何を想像してんだ? バカじゃねぇの? ヤベェ、この変態のが感染ってんのか!?

「そ、そそそか、買い物か……」

 何で声震えんだよッ!! 俺の口しっかり機能しとけよ今だけでも!!

「チョコ……もしかして具合悪い……?」
「あ? いや……別に……」

 さっきまであんなに輝かしい程の笑顔を向けてきていた有馬が、心配そうに眉を下げて見てくる。

 ほらみろ、変な気遣わしちまったじゃねぇか。……って、なんだよ俺、気色悪ぃ! コイツに気遣う理由とか元々ねぇだろがっ! 早く買い物だかなんだか済ませてとっとと帰んぞ!

「大丈夫?」
「大丈夫に決まってんだろ!」
「そっか、良かった……」

 ホッとした。そんな顔をしている。
 ………なんだよ、さっきまでの変態はどこいった。ナチュラルにいい人になってんなよ……調子狂うだろ…………とか思ってねぇし! コイツのこのイかれ脳は何考えてっかわかんねぇからな! ……それで

「どこ行く気だ!?」
「だから買い物だってー」
「買い物行くのに何で県跨ぐ必要あんだよ!?」

 切符は有馬が勝手に買ってきていたし、嫌々ながらついてきていたせいか電車内ではふて寝していた。乗り換えの駅で看板を見て初めて気づいたが、どうやら神奈川県に向かっているらしい。
 やってきた電車に乗り込み、意外と空いている座席に腰掛けた。

「ちゃんと交通費払ってるだろー?」
「そういう問題じゃねぇ!」

 まったく何買う気だコイツは。

「チョコは鎌倉行ったことある?」
「……ねぇ……けど」
「よかった。じゃあ案内するよ」
「え、あ、ああ……」

 なんだ案内出来るのか。それなら迷わず済むし安心か。……いやいや、こんなんじゃ騙されねぇからな! んないい笑顔でも俺には通用しねぇし!

「つか鎌倉かよ」
「うん。観光も兼ねてね」
「ふぅん」

 なんだ、割と普通に楽しもうとしてるじゃねぇか。ただの買い物の割に遠出ってところはまあ普通じゃねえとは思うが。

「案内出来んのかよ?」
「ふふふ……ナメてもらっちゃ困るな。………あ、ペロペロ俺の体を舐めるのはいいよ? 大歓迎!」
「黙っとけよ! 真面目に続けろ!」
「えー、チョコ……矛盾……。黙ったら続き言えない」
「~~~っ、喋っていいから続けろって!」

 あ゛ぁ……もういちいちめんどくせぇな……

「うん。俺はなんと! 鎌倉が大好きだ!」
「はぁ。……………で?」
「それだけだ!」
「そんだけかよっ!?」

 だからどうした! 

「愛があれば案内なんてお茶の子さいさいさっ」
「正直に出来ねぇって言えよ!」
「いやいや、観光名所は把握済みだからいけるって直感で」
「一番駄目パターンだろがぁっ!!」
「チョコ、電車内は静かにしないと」

 イラッ
 さすがの俺のこめかみに青筋が浮かぶ。眉間が寄っているのを落ち着かせようと親指と人差し指で揉んでみる。
 はぁあああ……行く前から疲れる……んでこんな変態と一緒に見て回らなきゃいけねぇんだよ……マジ拷問だ……

「ほらっ、チョコ見て! 自然が綺麗だ」

 有馬が振り向いて車窓からの景色を眺めてそんなことを言っている。
 自分も振り向いて景色を眺めると、視界いっぱいに目に優しい緑が広がっていた。

「あ、ああ、まあ……」

 なんだよ風景見たくれぇでハシャぎやがって。ガキみてぇ

「やっぱりデートは綺麗な所がいいよな」
「っ……」

 デート。その言葉にドキリとする。

 そうだった……これはほぼ強制のデート……油断出来ねぇ。コイツがこんな知らねぇ場所で何すんだか……あ、買い物か。そうだ、こんな土地勘の無ぇ所で変なこと仕掛けてこれねぇだろうし、コイツの弱点ももしかしたら見つかるんじゃねえか? そう考えてみたらちょっとワクワクしてきた。

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