14 / 73
一章〈love turnⅡ〉~意外な一面とゴムの味~
五
「………コレ、お前一人で食う気?」
「いやいや、チョコと二人で」
どうやら最初の注文時に天ぷら蕎麦膳以外に色々と頼んでたらしい。まだ蕎麦も残ってるのに、有馬が同時にもう持ってきていいとか言ったもんだから、店員がいそいそと運んで来た。抹茶アイス、葛餅が二つずつ。それに加えてあんみつと、ところてんも二つずつある。あまりにデザートの量がおかしい。
「大食い選手権みてえになってっけど……」
「いい例えだねぇ! あの番組楽しいよな」
「呑気に言ってる場合じゃねえだろ。まあ菓子だから食えねぇこともねぇかもしんねぇけど」
「チョコの祝いだからどんどん食べていいよ」
……はぁ。何が祝いだ。同意したってだけで祝うようなことじゃねえだろ。本当変わったやつだ。よくわかんねぇ
「……溶けちまうから、先アイス食うわ」
「うん」
ズルズルズルズズー……
「ごちそうさま」
「食べんの早くね!?」
有馬の蕎麦が一瞬で消えた! いや、実際一瞬じゃねえけど、俺がアイスを何口かつついてる間にまだ半分以上あった蕎麦が無くなってる。スゲー……
「そうかな?」
頼んでまだ五分くれぇしか経ってねぇけど……
そりゃ美味いから進むが……にしたって早ぇな。俺も食べねぇと……アイスはまた後で蕎麦食おう。伸びたらマズいし
ズルズル……ズルズル……
イマイチ上手く蕎麦を啜れないでいる。それは視線がなんとなく気になるからだ。有馬が食べるのを止めて見てくる。
「……見てねぇで食えよ」
「いやさ、俺食べるの早いみたいだし、先食ったらもっと早く終わっちゃうだろう?」
「……ゆっくり、食えば、いいだろ……」
もぐもぐもぐもぐ、ゴクン
しっかり噛んで飲み込む。俺は食べるのがあまり速くない。
「チョコが食べてるのをゆっくり眺めて楽しむのもいいなって思って」
「ゴホッ、ゴホッ……!」
「わっ、大丈夫?」
「……て、テメェこそ大丈夫かよ…」
頭が。何を見てそんな言葉が出てくんだよ。食べてるの見て楽しむとか悪趣味だろ。それに俺、どう見ても男だよな? ……あ、思い出した。コイツ、ホモだった
「問題ありまくりじゃねぇかぁあッ!」
がっつり頭を落として下を向き、畳目掛けて心の内を思い切り吐露した。
「チョコ!? 何にそんな悶えてるんだ!?」
「悶えてねぇ!」
顔を上げて残りの蕎麦を啜っていく。
もぐもぐもぐもぐもぐもぐ……ゴクン
よし、蕎麦は終いだ。次はこのあんみつか……こんだけ菓子食ったら胃もたれしそう……
「待ってました! はい! チョコ、あーん」
「………」
あんみつを乗せたスプーンを突き出してくる。真顔でそのスプーンを見ながら自分のあんみつをつつく。
なにをやってんだこのバカは
「チョコ! スプーンから落ちちゃうよ!」
「自分で食えこのバカッ!」
これの為に大量のデザート頼んだのかよ。くっっだらねぇ!
「えー? じゃあチョコが食わせてよ」
「はぁ?」
「あー」
「………」
……………………………………………………
「いつまで口開けてんだよ」
「チョコがあーんしてくれるまで」
「ガキかテメェは」
あ゛ー……座敷で端だからまだ他の客からは見えにくいし、とっととやって終わらせるか……コイツ引かなそうだし
「ほらよっ!」
「んぐっ!? ゴホッゴホッ……!」
ヤベェッ、勢いつけすぎた!
「あ……その……」
「っえふ……ふぅ~……ふふふ……チョコは……、強引なんだな……」
………あ?
「初めてで強引とか、チョコ……もっと優しくしてくれよ……」
涙目になりながらもちょっと嬉しそうに呟いている。
……変態トークが始まった。心配しなくてもこれはまったく平気だな
あんみつの後はところてんと葛餅、溶けかけのアイスを一気に平らげた。やっぱり少し胃がもたれているように感じる。
げふ……やっと食い終わった……。途中でギブアップして、食ったのほとんどコイツだけど。よく食えんな……俺が食細いのかもしれねぇが。コイツ顔の割に大食いなのか?
「はぁ~やっぱり食後のデザートは美味いねぇ」
「あーそうかよ……良かったな」
「デザートを食べるとまた空いてくるから不思議だよ」
「そら確かに不思議だな……」
どんだけ食う気だよ、そんな食うから身長伸びたのか? 俺ももう少し食おうかな……
身長が伸び悩んでいるのは食事かも、だなんて懸念を抱きながら、出された温かい蕎麦茶を飲んで休憩した。
「さて、腹休めたし行くか?」
「ああ……」
「会計お願いします」
この店高そうだよな……外観とか内装とかいかにも高級って感じだし。
「チョコ、行くよ」
「ああ。……って、会計は!?」
「え? 済ませたよ」
「いや、俺の分!」
「こういう店は分けられないから一括で払ったよ。大丈夫、ここのサービス券持ってたから」
ぱちん、と。女子が見たら卒倒しそうな薄ら寒いウィンクなんかしてきて、有馬は先に店を出ていった。
交通費とかさっきから払ってもらってばっかじゃねぇか。アイツも鎌倉初めてなんだろ? サービス券とかあるわけねぇじゃん。カッコつけやがって。………まっ、強制デートならアイツが払うの当然……
「…………」
……強制、とか思ってんの……俺だけか……? デートとか言って浮かれて……デートって、カッコつけるもん……かもしれねぇし
「チョコやーい、来ないとはぐれるよ~?」
「え、あ、ああ……」
……なんか、またモヤモヤしてきた……
「大仏楽しみだね。ワクワクするよ」
「……だ、大仏で……んなワクワク、とか……なるのか……?」
「ああ、なるともさ! だって仏様だよ? 正に日本の代表じゃないか!」
「そ、そっか……」
コイツが話してんの、テンションやたら高ぇ時以外は普通……つか、スゲェ天然……、だよな。なんつーか、初めて日本に来てはしゃいでますって感じ
「あの額のおできみたいのとか押したくなるだろう?」
「それは罰当たりじゃね?」
「そうなんだよ……だけど押してみたい衝動に駆られる……。あれは白毫っていって、瞑想した時にあそこから光が放たれて世界を救ったって言い伝えがあるんだよ」
「それ知ってて押したらかなり罰当たりだろ!」
つか、よく知ってんな。それもパンフレットに書いてあったのか? コイツの頭ん中マジでどうなってんだよ。ドギツイピンクに所々天然っぽさ……パステルカラー入って、頭良さそうな……紫? ……スゲー色合いだなおい
「いやいや、チョコと二人で」
どうやら最初の注文時に天ぷら蕎麦膳以外に色々と頼んでたらしい。まだ蕎麦も残ってるのに、有馬が同時にもう持ってきていいとか言ったもんだから、店員がいそいそと運んで来た。抹茶アイス、葛餅が二つずつ。それに加えてあんみつと、ところてんも二つずつある。あまりにデザートの量がおかしい。
「大食い選手権みてえになってっけど……」
「いい例えだねぇ! あの番組楽しいよな」
「呑気に言ってる場合じゃねえだろ。まあ菓子だから食えねぇこともねぇかもしんねぇけど」
「チョコの祝いだからどんどん食べていいよ」
……はぁ。何が祝いだ。同意したってだけで祝うようなことじゃねえだろ。本当変わったやつだ。よくわかんねぇ
「……溶けちまうから、先アイス食うわ」
「うん」
ズルズルズルズズー……
「ごちそうさま」
「食べんの早くね!?」
有馬の蕎麦が一瞬で消えた! いや、実際一瞬じゃねえけど、俺がアイスを何口かつついてる間にまだ半分以上あった蕎麦が無くなってる。スゲー……
「そうかな?」
頼んでまだ五分くれぇしか経ってねぇけど……
そりゃ美味いから進むが……にしたって早ぇな。俺も食べねぇと……アイスはまた後で蕎麦食おう。伸びたらマズいし
ズルズル……ズルズル……
イマイチ上手く蕎麦を啜れないでいる。それは視線がなんとなく気になるからだ。有馬が食べるのを止めて見てくる。
「……見てねぇで食えよ」
「いやさ、俺食べるの早いみたいだし、先食ったらもっと早く終わっちゃうだろう?」
「……ゆっくり、食えば、いいだろ……」
もぐもぐもぐもぐ、ゴクン
しっかり噛んで飲み込む。俺は食べるのがあまり速くない。
「チョコが食べてるのをゆっくり眺めて楽しむのもいいなって思って」
「ゴホッ、ゴホッ……!」
「わっ、大丈夫?」
「……て、テメェこそ大丈夫かよ…」
頭が。何を見てそんな言葉が出てくんだよ。食べてるの見て楽しむとか悪趣味だろ。それに俺、どう見ても男だよな? ……あ、思い出した。コイツ、ホモだった
「問題ありまくりじゃねぇかぁあッ!」
がっつり頭を落として下を向き、畳目掛けて心の内を思い切り吐露した。
「チョコ!? 何にそんな悶えてるんだ!?」
「悶えてねぇ!」
顔を上げて残りの蕎麦を啜っていく。
もぐもぐもぐもぐもぐもぐ……ゴクン
よし、蕎麦は終いだ。次はこのあんみつか……こんだけ菓子食ったら胃もたれしそう……
「待ってました! はい! チョコ、あーん」
「………」
あんみつを乗せたスプーンを突き出してくる。真顔でそのスプーンを見ながら自分のあんみつをつつく。
なにをやってんだこのバカは
「チョコ! スプーンから落ちちゃうよ!」
「自分で食えこのバカッ!」
これの為に大量のデザート頼んだのかよ。くっっだらねぇ!
「えー? じゃあチョコが食わせてよ」
「はぁ?」
「あー」
「………」
……………………………………………………
「いつまで口開けてんだよ」
「チョコがあーんしてくれるまで」
「ガキかテメェは」
あ゛ー……座敷で端だからまだ他の客からは見えにくいし、とっととやって終わらせるか……コイツ引かなそうだし
「ほらよっ!」
「んぐっ!? ゴホッゴホッ……!」
ヤベェッ、勢いつけすぎた!
「あ……その……」
「っえふ……ふぅ~……ふふふ……チョコは……、強引なんだな……」
………あ?
「初めてで強引とか、チョコ……もっと優しくしてくれよ……」
涙目になりながらもちょっと嬉しそうに呟いている。
……変態トークが始まった。心配しなくてもこれはまったく平気だな
あんみつの後はところてんと葛餅、溶けかけのアイスを一気に平らげた。やっぱり少し胃がもたれているように感じる。
げふ……やっと食い終わった……。途中でギブアップして、食ったのほとんどコイツだけど。よく食えんな……俺が食細いのかもしれねぇが。コイツ顔の割に大食いなのか?
「はぁ~やっぱり食後のデザートは美味いねぇ」
「あーそうかよ……良かったな」
「デザートを食べるとまた空いてくるから不思議だよ」
「そら確かに不思議だな……」
どんだけ食う気だよ、そんな食うから身長伸びたのか? 俺ももう少し食おうかな……
身長が伸び悩んでいるのは食事かも、だなんて懸念を抱きながら、出された温かい蕎麦茶を飲んで休憩した。
「さて、腹休めたし行くか?」
「ああ……」
「会計お願いします」
この店高そうだよな……外観とか内装とかいかにも高級って感じだし。
「チョコ、行くよ」
「ああ。……って、会計は!?」
「え? 済ませたよ」
「いや、俺の分!」
「こういう店は分けられないから一括で払ったよ。大丈夫、ここのサービス券持ってたから」
ぱちん、と。女子が見たら卒倒しそうな薄ら寒いウィンクなんかしてきて、有馬は先に店を出ていった。
交通費とかさっきから払ってもらってばっかじゃねぇか。アイツも鎌倉初めてなんだろ? サービス券とかあるわけねぇじゃん。カッコつけやがって。………まっ、強制デートならアイツが払うの当然……
「…………」
……強制、とか思ってんの……俺だけか……? デートとか言って浮かれて……デートって、カッコつけるもん……かもしれねぇし
「チョコやーい、来ないとはぐれるよ~?」
「え、あ、ああ……」
……なんか、またモヤモヤしてきた……
「大仏楽しみだね。ワクワクするよ」
「……だ、大仏で……んなワクワク、とか……なるのか……?」
「ああ、なるともさ! だって仏様だよ? 正に日本の代表じゃないか!」
「そ、そっか……」
コイツが話してんの、テンションやたら高ぇ時以外は普通……つか、スゲェ天然……、だよな。なんつーか、初めて日本に来てはしゃいでますって感じ
「あの額のおできみたいのとか押したくなるだろう?」
「それは罰当たりじゃね?」
「そうなんだよ……だけど押してみたい衝動に駆られる……。あれは白毫っていって、瞑想した時にあそこから光が放たれて世界を救ったって言い伝えがあるんだよ」
「それ知ってて押したらかなり罰当たりだろ!」
つか、よく知ってんな。それもパンフレットに書いてあったのか? コイツの頭ん中マジでどうなってんだよ。ドギツイピンクに所々天然っぽさ……パステルカラー入って、頭良さそうな……紫? ……スゲー色合いだなおい
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった
くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。
血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。
夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。
「……涼介くん」
薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。
逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。
夜、来て。
その一言が——涼介の、全部を壊した。
甘くて、苦しくて、止まれない。
これは、ある夏の、秘密の話。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話