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一章〈sports〉~仲直りのお手伝い~
七
「うう……お嫁に行けない」
「男だから大丈夫だろ」
しっかりと足を揃えて体育座りをし、着ている上ジャージで両膝に被せている。下の衣類を穿くより一刻も早く隠したかったからだ。
「ううぅ……想定外だよ……」
「ほら、早く下穿け」
ハーフパンツと下着を渡してくれる。言われた通り早業で下衣類を整えた。そしてコホンと咳払いをしてからその場で正座をしてチョコと向き直った。
チョコは立ったまま見下ろしている。
「……ええっと……本当はこんなことするつもりじゃなかったんだけど……ありがとう」
「ああ」
「嫌じゃなかったのかい?」
チョコは腕を組んで考える素振りを見せる。
「思ってたよりもやれたな。別に嫌とも思わなかったし」
「俺を恋人にして下さい」
「おっ!?」
正座から土下座に変更。
チョコは驚いて面白いくらい飛び跳ねて後退っている。
「キスするのも、慰めるのも嫌だと思わない。それって十分、付き合う条件を満たしていると思うんだよ。付き合っていたら段々とイチャイチャしたくなってくるかもしれないし。それに俺ならチョコの触られる練習をいつまでも付き合ってあげられる。手伝ってあげたいって思ってる。だからお願いします。俺と付き合って下さい」
深々と頭を下げたままにしていると、頭上から冷たい言葉が降り注ぐ。
「あんまり調子に乗るなよ」
「ッ……」
これは怒ってる……!? 返事を待つってさっき言ったばかりなのにまた申し込んでいるから!?
冷や汗をかいて土下座していた身体をを即座に上げてチョコの顔を窺う。
けれど同時にチョコが後ろを向いてしまった。
「……カッコ外したら、いきなり触ってくるとかやめろよな。お前、調子に乗りやすいし」
チョコは耳まで真っ赤になっている。思ったより声音も優しい。
「それって……!」
「すぐに別れる可能性だってあるんだからな! それを忘れるなよ!」
「そうならないように努力するさ!」
「それなら…………って、お前!」
振り向き様にチョコが驚いた顔をして慌てて近寄ってきた。そしてポケットからティッシュを取り出して鼻に強く押し当てられた。
「スゲェ鼻血出てんじゃねぇか!」
「え」
押し当てられたティッシュを掴んで見てみると、血塗れになったティッシュが。
「うわ本当。エッチなことして興奮したからかな?」
「バカ言ってねぇでティッシュ詰めとけ。一応保健室行っとくぞ」
これくらい平気だとは思っているけど、チョコに促されて成り行きで保健室に向かった。今日は保健医の白鳥先生がいて鼻を診てもらうと、ドッジボールが当たった衝撃で傷つけたことが原因じゃないかとのことだった。
時計を見ると授業はもう時間的に終盤だろう。保健室の窓からは丁度校庭が見える。特に何かを考えていたわけではなく、なんとなく校庭に目を向けたら、そこには上半身半裸になった男たちが並んで乾布摩擦をしている光景が映った。
俺とチョコは鳩が豆鉄砲を食らったような顔を見合わせて。
「マジかよ……」
「いなくて良かった……」
信じられない光景に心底思ったことを呟いていた。
「男だから大丈夫だろ」
しっかりと足を揃えて体育座りをし、着ている上ジャージで両膝に被せている。下の衣類を穿くより一刻も早く隠したかったからだ。
「ううぅ……想定外だよ……」
「ほら、早く下穿け」
ハーフパンツと下着を渡してくれる。言われた通り早業で下衣類を整えた。そしてコホンと咳払いをしてからその場で正座をしてチョコと向き直った。
チョコは立ったまま見下ろしている。
「……ええっと……本当はこんなことするつもりじゃなかったんだけど……ありがとう」
「ああ」
「嫌じゃなかったのかい?」
チョコは腕を組んで考える素振りを見せる。
「思ってたよりもやれたな。別に嫌とも思わなかったし」
「俺を恋人にして下さい」
「おっ!?」
正座から土下座に変更。
チョコは驚いて面白いくらい飛び跳ねて後退っている。
「キスするのも、慰めるのも嫌だと思わない。それって十分、付き合う条件を満たしていると思うんだよ。付き合っていたら段々とイチャイチャしたくなってくるかもしれないし。それに俺ならチョコの触られる練習をいつまでも付き合ってあげられる。手伝ってあげたいって思ってる。だからお願いします。俺と付き合って下さい」
深々と頭を下げたままにしていると、頭上から冷たい言葉が降り注ぐ。
「あんまり調子に乗るなよ」
「ッ……」
これは怒ってる……!? 返事を待つってさっき言ったばかりなのにまた申し込んでいるから!?
冷や汗をかいて土下座していた身体をを即座に上げてチョコの顔を窺う。
けれど同時にチョコが後ろを向いてしまった。
「……カッコ外したら、いきなり触ってくるとかやめろよな。お前、調子に乗りやすいし」
チョコは耳まで真っ赤になっている。思ったより声音も優しい。
「それって……!」
「すぐに別れる可能性だってあるんだからな! それを忘れるなよ!」
「そうならないように努力するさ!」
「それなら…………って、お前!」
振り向き様にチョコが驚いた顔をして慌てて近寄ってきた。そしてポケットからティッシュを取り出して鼻に強く押し当てられた。
「スゲェ鼻血出てんじゃねぇか!」
「え」
押し当てられたティッシュを掴んで見てみると、血塗れになったティッシュが。
「うわ本当。エッチなことして興奮したからかな?」
「バカ言ってねぇでティッシュ詰めとけ。一応保健室行っとくぞ」
これくらい平気だとは思っているけど、チョコに促されて成り行きで保健室に向かった。今日は保健医の白鳥先生がいて鼻を診てもらうと、ドッジボールが当たった衝撃で傷つけたことが原因じゃないかとのことだった。
時計を見ると授業はもう時間的に終盤だろう。保健室の窓からは丁度校庭が見える。特に何かを考えていたわけではなく、なんとなく校庭に目を向けたら、そこには上半身半裸になった男たちが並んで乾布摩擦をしている光景が映った。
俺とチョコは鳩が豆鉄砲を食らったような顔を見合わせて。
「マジかよ……」
「いなくて良かった……」
信じられない光景に心底思ったことを呟いていた。
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